令和 7 年度第 6 回里山倶楽部 野鳥の森の常緑樹伐採、アズマネザサ刈り 日 時)2025年6月21日(土) 9:00〜12:00 晴 場 所)生田緑地 野鳥の森 A01-(2) 参加者)伊澤高行、加登勇司、北川英樹、吉澤正一 事務局)岩田臣生 計 5名 ![]() (上図)活動場所位置図 A01-(2) 生田緑地は、多摩丘陵東端に位置し、かつての多摩丘陵に普通に分布していた植物が多く残っています。 平成元年(1989) 3月には、野鳥の森第2期整備が完工し、野鳥の森の中央部に、野鳥観察舎が整備されました。 その野鳥観察舎の立つ尾根部分が今回の活動対象です。 尾根頂部の園路は石畳とされ、園路柵の外側に、コアジサイが数株、整然と並んでいます。 コアジサイの自然分布は、関東地方以西、県内では、箱根、丹沢、小仏山地、相模原台地などに多く見られるとあり、 市内では、多摩区の数ヶ所で確認されています。 生田緑地では、整備工事が行われた場所であり、その株の場所が余りに整然としていることから、野鳥の森の整備工事によって、植栽された可能性が無いとは言えません。 しかし、あってはならない植物ではないと思うので、野鳥の森を特徴づける植物の一つとして扱っています。 野鳥の森全体としては、どちらかと言えば暗い樹林であることが特徴になっていますが、その中央部にあって、尾根頂部は比較的明るい環境になっています。 そのためか、コアジサイの外にも、ナガバノスミレサイシン、チゴユリ、ヤマユリ、オオバギボウシ?などが生育しています。 また、対象地区北側の谷部に設けられた園路沿いには、キバナアキギリが見られます。 キバナアキギリの自然分布は、コアジサイと同様ですが、川崎市内では、麻生区、多摩区などで記録されています。 ただ、生田緑地内では、野鳥の森の当該園路沿いに限られていますので、野鳥の森の整備工事によって植栽された可能性も無いとは言えません。 しかし、大都市の市街地の中の都市公園ですから、例え、整備工事によって植栽されたものであったとしても、 自然分布を尊重して選択して植栽されたものであると思われるので、地域の自然を大切に思う先人の気持ちを大切にしたいと考えます。 2007年に活動を始めた市民部会としては、2012/9/11(火)に、野鳥の森地区の植生管理計画を考える市民部会を開催しました。 その活動によって、当該野鳥観察舎は、暗くて、気持ち悪いので、バードウオッチャーは利用していないということを知りました。 2013/5/18(土)の市民部会では、順応的管理に求められる植生管理のモニタリングを、 植生調査とは言えないレベルの自然観察で行う方法について、考えるための活動を行いました。 私たちが、当該地区の北側の谷部の園路の植生管理に手をつけたのは、2014/10/18(土)の里山倶楽部が最初で、 今回の対象地区北側のアズマネザサのヤブに覆われた園路のアズマネザサ刈りを行いました。 ここに、キバナアキギリが分布していました。 また、今回の活動対象地区のコアジサイの保護活動を始めたのは、2017/7/15(土)の里山倶楽部だと思います。 その後は、2018/10/20(土)の里山倶楽部、 2019/7/20(土)の里山倶楽部、 そして、昨年(2024)/9/7(土)の里山倶楽部で、アズマネザサ刈りの活動を行いました。 今回は、コアジサイの保護を目的とするアズマネザサ刈りとしたのですが、尾根頂部斜面を暗くしているシラカシ1本の伐採も、並行して行いました。 昨年度末に、野鳥の森地区のナラ枯れ大径木の伐採が行われ、伐採材が斜面に落とされている情景は、荒れた公園のイメージを強くさせています。 今回の里山倶楽部の対象地区の植生管理は、主に常緑樹を伐採する伐採更新によって、明るい雑木林に再生するための良い機会であると受け止めています。 また、南側の密生するアズマネザサを刈ることは、そこが谷地形であることから、野鳥の水場となる水辺づくりの可能性が生まれます。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() この尾根の南側については、伐採材を避け、夏の日差しを受けながら、アズマネザサ刈りを進めました。 ![]() ![]() ![]() 陽当たりが良くて、暑いので、休憩して、記念の集合写真を撮りました。 ![]() 休憩後は、北側斜面も、南側斜面も、アズマネザサ刈りとなりました。 (南側斜面) ![]() ![]() ![]() ![]() このイヌシデは、この場所のシンボルとして管理しいても良い素材だと思いました。 ![]() ![]() 南側斜面の裾にあった背の高いアズマネザサの林の除伐に取り掛かりました。 これは1回の活動では刈りきれない量のアズマネザサですので、今まで、課題に設定できませんでした。 これを伐開すると谷状の地形が見えてくると思います。 この谷地形の下端は、園路にぶつかり、僅かながら、水流が確認されていますので、この谷部は植生管理次第では、野鳥の森の生物多様性にとって大切な場所になると思います。 今回は、メンバーから、刈ってもいいかとの問いかけがあったので、了解しました。 里山倶楽部のメンバーが、このような大変な労働を要しそうな活動を行いたいと言い出してくれることを嬉しく思いました。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() (北側斜面) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 生田緑地は、大都市川崎の市街地の海に浮かぶ孤島ですが、多摩丘陵の自然を良く残しており、多摩丘陵所縁の山地生の植物は、生田緑地の生物多様性の根幹だと思います。 チゴユリも、その一つですが、この季節は深緑色の実をつけていました。 ![]() ギボウシの仲間が花をつけていました。 ![]() コナラの実生が群生する中に、大切にしたい山地生の植物が開花した証をつけていました。 ![]() カシワバハグマが点々とありました。 ![]() 尾根頂部の園路沿いや南側斜面のあちこちに、ナガバノスミレサイシンが葉を広げていました。 ![]() 南側斜面の数ヶ所に、ヤブコウジが蕾をつけていました。 ![]() コアジサイは、花期を過ぎていましたが、元気に開花していたであろうと思われました。 ![]() ![]() ![]() なお、北側斜面では、モミの幼木が1本見つかりました。 これは、大切に育てたいと思いました。 |