里山の自然学校2015
第2回《田植え》
【2015/5/25 更新】
日時 2015年5月24日(日) 10:00〜15:00 曇
場所 谷戸の田圃 参加者 中川 悠、山下はなの、田村 和 山下真奈実、大橋拓真、沖本世織、甲斐杏澄、工藤千穂、軸丸陽希、富田勇樹、村上柚葉、矢野 悠 12人 講師 藤間煕子、山本 晃、梅原和仁、岩田芳美、岩田臣生 サポート 神山幸雅、田村成美、政野祐一 8人 第2回里山の自然学校は田植えです。 苗は、4月12日に、10枚の育苗箱に播種して、マンションのベランダで育ててきたもので、4枚葉になっていました。 これを朝、生田緑地整備事務所裏に運び、水を与えてから育苗箱から外して、バケツに入れました。 それを皆で田圃まで運びました。 ハンノキ林上の池の所で、クロスジギンヤンマを観察しました。 また、テングチョウが3頭、木漏れ日の中で舞っていました。 今年はテングチョウが多く見られます。 木道の手すりにヒカゲチョウの幼虫がいました。 手すりは絶好の生きもの観察ポイントです。 お弁当の入った荷物は柿の木の下に置くことにしました。 雨どころか、日差しが強くなってきました。 辺りのセリの葉は殆ど食べ尽くされていました。 キアゲハの若齢から終齢までの幼虫が見られました。 田圃に面した木道の日陰の所で、バケツで運んできた苗を洗面器に小分けしました。 今年初めて参加した子どもたちは、運んでいる洗面器を何に使うのか疑問だったようです。 植える苗を洗面器に入れて、各自が手元に持って、田植えを行います。 田圃に入る前に、水の中にどんな生きものがいるのか、観察してもらうことにしました。 水が澄んでいる状態でないと観察できません。 体長2cm程のホトケドジョウが群れていました。 黒くて丸い生きものが素早く動きまわっていました。マメゲンゴロウです。 これらに比べれば大きいオオアオイトトンボのヤゴもいました。 まだ数は少ないもののシュレーゲルアオガエルのオタマジャクシもいました。 こんな生きものがいる田圃で田植えをするのだということを注意しました。 ゆっくり観察してから、苗の入った洗面器を持って、植え方についての説明を聞きました。 苗は状態の良いものを3〜5本まとめて植えることにしました。 子供たちは裸足です。 泥の感触が気持ちいいという子もいました。 田圃に入って一列に並ぶまでに時間がかかるのが例年のことでしたが、今年は比較的短時間でできたと思います。 いよいよ田植えです。 ゆっくり確認するように、一株ずつ植えていきます。 自分の足跡を埋めて、平らにして、そこに苗の根を押し込んで、しっかり育てよと泥を均します。 始めのうちはゆっくりでも、少しずつ短い時間でできるようになります。 今年もユニセフのウオークラリーがあって、参加していた三浦副市長から声をかけていただきましたが、田圃の真ん中から出て行くことができませんでした。 里山の自然学校は11年目ですが、今年は久し振りに、田圃に入って、直接、教えていました。 今年の里山の自然学校の参加者は、全員が、川崎市立小学校の生徒だったということは、伝えておきたかったのですが。 代掻きが不十分だったため、土が出ていて水が無い場所もあれば、土がフワフワで苗を安定させることができない場所もありました。 土の無い所には、少し土を移動させることもありました。 上の田圃の下の段の田植えが終わりました。 田植えをしながら、アズマヒキガエルの小さな幼体を見つけた子が、余りに小さいのに驚いて大声を出していました。 小さなアメリカザリガニを捕まえた子もいました。 直ぐ近くの泥の上に、連結して降りているシオヤトンボが観察できました。 下の段の目印紐を外して、角の不整形な部分の田植えを行っている時には、子どもたちはさっさと上の段の端に並んで待っていました。 そこで、お昼休みの前にもう少し田植えをしておくことにしました。 上の段の田植えをしている間に、下の段の水位を上げるために、畦に開いていた穴を塞ぐことにしました。 畦には沢山の穴が開いていましたが大部分は古いもので、多分、水漏れには関係していないもののように思われました。 明らかに畦の外側に水漏れを起こしていた場所は2ヶ所あって、これを塞ぎ、漏れ出していた流れが止まるのを確認しました。 穴塞ぎをしながら田圃を一周しただけで腰が悲鳴をあげてしまいました。 上の田圃の田植えの途中でしたが、下の段の水漏れ穴を塞いだところで、お弁当にしました。 キアゲハの終齢幼虫を捕まえてきた子がいて、皆で観察しました。 昼食後、上の田圃の上の段の田植えを再開しました。 上の田圃の上の段の田植えは続いていましたが、苗が沢山残りそうでしたので、下の田圃に植えることにしました。 とは言え、深くて長靴は役に立たず、裸足にならなければならないかと考えていたところに、積極的に入るという子どもが現れましたので、先ずは、田圃の中のヨシを取ることからお願いしました。 入ってくれたのは、全員、今年初参加の子どもでした。 湿田はドブ臭いので、直ぐに上がってしまった子もいました。 それから、植える苗は本数は気にせず、握れる程度に千切って、適当に間隔をあけて植えてもらうことにしました。 育苗箱1枚分をそのまま置いておくより、生きものの棲息環境としても、景観としても良いと考えました。 他の子どもたちは、ヨシを使った栞(しおり)づくりなどを教わっていました。 足を洗う水は水路から汲みました。 畦に支柱を立てて、鳥よけテープを張りました。 これを張ればカルガモが来ないというものではないのですが、鳥よけネットに比べれば簡単に張れるので、安心して居着くことが無ければいいという程度の気持ちです。 本来は実りの季節のものだと思いますが、生田緑地の谷戸では田植え後のカルガモ対策のために使っています。 子どもたちは先に引き上げて、市民活動室で感想文を書きました。 感想 ● 生田緑地の田んぼで田植えをした。そしたら しりもちついてしまい、ズボンが...。どうやって洗えばいいのか、考えるのが大変だった。 でも、それをのぞくと去年よりも楽しかった! カズと見物したりとか、とーま先生に教えてもらって、ヨシでみつあみした。しおりでつかう。 また やってみる。 ● たうえがとても楽しかったです。 1cmもないカエルが3びきいました。 いろんな生きものとであえて楽しかったです。 私はたうえがにがてだったけど、2回目をやって好きになれました。 ● 今日の田植えは水の量がまったく異なっていたので植えるのが大変でした。 ひもの人は、だんだんずれてきてくの字の一列になっていました。 見ていると、四年生と大人の差が見えてきました。 四年生は所々たおれたいねがありました。 それと比べて、大人は全くずれず、たおれたりしませんでした。 でも一回経験したら、自分たちと同じようにとても上手くなるのではと思います。 面白かった事は、4人くらい田んぼでしりもちをついたことです。 昨年は2人がころびました。 でも、今年は倍ころんだので少し大丈夫かなと思いました。 あと、かえる居住作戦が楽しかったです。 ささ舟にのせてはこびました。 そうすると、いつのまにか、となりの田んぼまでいってしまっていたのでいそいでもどってきて帰りました。 今日はとても楽しかったです。 ● 私は、学校で田うえを少しやっていたけれど、今回やった田んぼは思ったよりふかかったです。 でも今回はたくさんのなえをうえられたし、楽しかったです。 とくにふかかったのは3回目に入った田んぼで、とてもびっくりしました。 一番ふかい田んぼになえをうえたのが一番楽しかったです。 ● 今日はたうえをしました。 下のたうえがむずかしかったです。 はだしでやったので、あしがいたかったです。 こしがいたかったけどたのしかったです。 ● イネをうえました。 がんばりました。 ● 田うえをした時、足が「ヌメッ」としたりしたけど だんだんなれてくると ぜんぜんへいきになりました。 しょくぶつはきれいでした。 おたまじゃくしもいて、手がでてきているものもありました。 いも虫もいっぱいいました。 ● 私は、はじめての田植えをはじめてやって、はじめはものすごくはりきっていて、うきうきしながら植えました。 と中からなれてきて、植えるのもなれて、早く植えられるようになりました。 さいごに深い田んぼに入った時は、思ったより深くて、びっくりしたけど、やりがいがありました。 とても楽しかったです。 ● 上と中の田んぼは少しあさくて、水がたくさんありました。 ですが、下の田んぼはとても深く、ふともものあたりまで どろが来てました。 植え方は、まず穴をどろでふさいで、しるしにそって植えます。 足あとをふさぐのを気をつけました。 ● 今日ぼくは田植えをして足や手がどろまみれになったけど、なえを植えて とても楽しかったです。 なえを植えるときはこしがいたかったけどがんばりました。 なえはかれているのがあって元気ななえと植えられたからよかったです。 水で足や手をあらったけどかんぺきには落ちなかったからまだどろがついているけど楽しかったです。 いい田植えが出きたからよかったなと思いました。 田植えの近くにあったくわのみがおいしかったです。 ● わたしは田植えがはじめてだったので、なにもわからなくて、さいしょの方は植えるのにすごく時間がかかったけど、だんだんなれてきて、最後の方は「植えていいよ」といわれたら すぐ植えられるようになれました。 田んぼに入って一番思ったのは、足にどろがたくさんついて、足がすごく重くて、歩くのがすごくたいへんだったことです。 そして、どろがいっぱいある所は水がなくて植えるのがたいへんで、水だけの所はどろがなくて いねがぷかぷかういてしまって、りょうほうともおなじぐらいないと植えにくいのだなと思いました。 あと、草花遊びもしました。 長い草で三つあみをして、しおりを作りました。 草で こんなあそびができるなんてすごいと思いました。 ● わたしは田うえをするのははじめてだったけど、畑になえをうえるようにかんたんにできると思っていました。 でも、田うえは畑になえをうえるようにかんたんではなくて、思ったよりもむずかしかったです。 水ばかりある所はうかんでうえられないし、土ばかりある所は水がちっともなくて、なんだかうえにくかったです。 でも、水も土もちょうどいいくらいの所はとてもうえやすかったです。 やる事がなくなってしまった時には、どくだみの葉をかんさつしたり、草花遊びをしたりしました。 どくだみの葉は、タオルを五重くらいにしてもにおいがしました。 草花遊びでは長い葉を三つあみにしました。 とても楽しかったので、またやってみたいと思いました。 感想を読んで 子どもたちに田植えをしてもらう準備をする立場としては、指摘された二点は承知していながら、何が何でも解決しなければならないとは考えていません。 苗はマンション7階のベランダに育苗箱10枚を並べて育てています。 風が強くて、朝夕の灌水だけでは間に合わないほど乾燥してしまうことがあって、苗の一部が枯れかけてしまいました。 しかし、元気な苗だけを使う形でも、苗の量は十分足ります。 小分けする時に外してもらえれば良かったのですが、...。 田圃の代掻きが十分でなかったことについてですが、この田圃は昔の田圃の状態が壊されてしまったところに、2006年に再生したものです。 年々少しずつ田圃の土になってきていると思っています。 棲息する生物も少しずつ増えています。 水漏れが根本的には解決されていませんが、それでも何とか水田として利用できています。 ここの最大の課題は、降雨時などに田圃から溢れた水と一緒に出てしまった生物が生き残れるようにすることであり、すぐに増えてしまうアメリカザリガニを駆除することだと考えています。 以上 |
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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation