生田緑地の生物多様性保全活動

ハンノキ林東側隣接コナラ林のアズマネザサ刈り
日時:2021/12/21(火) 9:20〜13:00 晴
場所 生田緑地(下図)
参加者 岩田臣生

生田緑地のコナラ林は、2018年夏にカシノナガキクイムシが生田緑地に侵入したことでナラ枯れが起こり、来園者が危険だということで、園路沿いでは伐採されています。
危険回避を考えると仕方ないことかも知れませんが、枯れたコナラを伐採するだけだと、コナラはどんどん減少してしまいます。
生田緑地の雑木林は、遷移の進んだ地域を除けば、クヌギやコナラが優占しているクヌギ・コナラ群集と呼ばれる落葉広葉樹林です。
これは、私たちが生活エネルギーを薪炭に依存していた時代があって、雑木林が薪炭林として利用されていたことによるものです。
クヌギ・コナラ群集が広がっていたことは、この地域に棲息する昆虫相にも影響しています。
例えば、誰もが子どもの頃には友だちだったカブトムシも、この環境があることで、普通に出会えて、遊べたのだと思います。
コナラが急激に消えてしまうと、今まで親しんできた昆虫に出会えなくなるかも知れません。
生田緑地のナラ枯れ後のコナラ林再生を、皆が考えて欲しいと思っています。
コナラ林再生のためには、ナラ枯れを起こしたコナラを伐採する時に、その場所で小規模の皆伐更新を考えることが良いと思っています。
林床にドングリが散布されていると初夏には、その辺りにコナラが発芽してくるかも知れません。
その発芽したコナラ実生に太陽光があたるように、光を遮る可能性のある樹木を一緒に伐採し、繁茂しているアズマネザサを刈ることを考えましょう。

ハンノキ林東側隣接地のコナラ林でもナラ枯れが始まって、ハンノキ林が明るくなるという好ましい結果もあるのですが、 コナラ林を消したくないと考えて、林内の状態を調べたいと思い、アズマネザサ刈りを行うことにして、12月14日に、 冷たい雨が降る中で、 1回活動しました。
今回は、その続きで、この斜面のコナラの下端をつなぐ位置に、アズマネザサ等を置いて、土留めをつくる活動を行いました。
アズマネザサは 2cm程の太さで、大きなコナラの落枝を上に載せて、なお立っている所もありました。
今回の活動範囲では、コナラ大径木 8本、サクラ大径木 1本などがありましたが、完全に枯れたコナラは半数に留まっているようでした。
斜面上方には、枝先の小枝も落としてしまった枯れコナラが、探勝路から見えました。
このコナラ林については、全面的にアズマネザサを刈り、枯れたコナラや、常緑樹などの伐採を行いたいと考えています。
まだ種子散布を行う活力があるコナラもありそうなので、新たに散布されたドングリを受け止めて、発芽させられる場所をつくっておきたいと考えています。
枯れたコナラの伐採については、ハンノキ林への影響を最小限にして、この狭い斜面内で行いたいと思いますが、伐採材の処理については一本一本について考えながら進めざるを得ないと思っています。
先ずは、高さ 3〜4mのアズマネザサを刈って、斜面内の大径木が見える状態にしてから、作戦を考えたいと思います。








(谷戸の図)
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