生田緑地の生物多様性保全活動

下の田圃の田起こし、湿地の水辺保全
カナムグラ刈り、セリバヒエンソウ駆除など

日時:2021/5/10(月) 10:00〜14:00 
場所 生田緑地 下の田圃地区(B07)、湿地地区(B05)、ピクニック広場、梅畑広場など
参加者 岩田臣生、岩田芳美

エゴノキの花が咲きました。

マユミの花も咲いています。


下の田圃地区の枯れヨシは、4/1(木) に刈りましたが、その後に発芽したヨシが、もう 2m程の高さに成長しています。
下の田圃の中にも、沢山のヨシが立ち上がり、ミゾソバも、15cm程に育っていました。
シュレーゲルアオガエルの産卵も進んで、ホトケドジョウも見られるので、早く田起こしを済ませて、水面を広げておかなければと思いました。
アズマヒキガエルの幼生は、例年なら、子どもの日には上陸していましたが、今年は、まだ、足が出た程度のオタマジャクシが群れをつくっていました。

活動は、1〜2mに育ったヨシを引き抜いて、耕して、トロトロの泥にすることです。
しかし、膝上まで潜った足を引き抜いて、一歩進むだけでも、力が必要で、倒れないようにバランスを取りながら、移動して、 一本一本、ヨシを引き抜いて、また、畦部に伸びているヨシも刈りながら、活動しました。
単調な重労働でしたが、シオヤトンボ(オス)が 3頭、縄張りを主張して、ぶつかり合い、そこに現れた 1頭のメスを奪い合っていました。
メスは、耕している途中の水面に産卵していましたが、後から後から、オスが襲って、連結するという状態を繰り返していました。
シオヤトンボは、春一番に出現するトンボです。
オスは、シオカラトンボ、オオシオカラトンボなどと似ていて、来園者は、普通に、どれも、シオカラトンボと呼んでいます。
この 3種の中では、一番気性が荒いのがシオカラトンボで、一番大人しいのがシオヤトンボです。
このように、メスを奪い合う様は、初めて見ましたが。
シオヤトンボは、神奈川県東部では、急減していて、県の絶滅危惧要注意種とされています。
私たちは、いつまでも、消えないでほしいと願っていますので、子連れのお父さんが、網を振り回して、シオカラトンボを捕ったぞと叫んでいると心配になってしまいます。

ミゾソバが育ち始めて、広がっていましたが、これは、この田圃の元の地主さんから教えられたように、泥の中に鋤き込むだけなので、容易いいことでした。
嬉しかったのは、トウゴクヘラオモダカが出ていたことで、10cm程に育った株が 3つありました。
トウゴクヘラオモダカは、神奈川県絶滅危惧IA類の植物です。
それでも、10年前には県内数ヶ所に残っていましたが、今では、県内では、生田緑地のみに残る植物になってしまいました。

この田圃は、当時の土壌動物班の数人が、生田緑地で田圃をやりたいと言い出して、川崎市北部公園事務所に相談して、了解を得て、再生したものです。
かわさき自然調査団としては、NPOになったばかりで、それまで経験の無かった自然に手をつける活動を行うということで、水田ビオトープ班を新設しました。
再生する場所は、元の地主さんが指定した場所です。
このため、私は、2004年の4〜5月の雨が降っていない日は毎日、ここに通って、チゴザサの根を掘り出して、水面を広げていき、5/27(木)に、田植えを実現しました。
その頃を思い出しながら、少しずつ田起こしを進めました。

途中で、辛くて、どうしようもなくなった時は、諦めて中断し、畦のヒメシダの上に転がりました。
空を眺めて、休憩していたら、何かが飛んで来た翅音がしたので、起きて見ると、ヤマサナエがヨシに止まっていました。
ヤマサナエも、神奈川県では、絶滅危惧要注意種になっているトンボです。
生田緑地の水辺の保全活動を始めて、もう 17年間が経ちましたが、この谷戸に棲息しているべき生物が生きていること、完ぺきではないかも知れませんが、生物多様性保全を実践してきた という満足感が広がり、体の疲れが軽くなりました。
田圃の表面を眺めていたら、小さな水溜まりで、ホトケドジョウが暴れているのが見えました。
ホトケドジョウは、絶滅危惧IB類の淡水魚です。
作業途中で止めるわけにはいきません。
田圃に降りて、ヨシの引き抜き、田起こしを再開しました。

ヨシの生えている場所が終われば、後は、田起こしだけです。
一通り終えたところで、14時を過ぎていましたので、田起こしは終わりにして、梅畑広場に行き、合流して休憩しました。


この日は、田圃に行く前に、湿地地区への水路に水漏れ穴が開いていて、その先の水が消えていたので、立ち寄って、その穴だけ踏み潰して、水が流れるようにしておいたので、 湿地地区の水の状態を観察して、必要な最低限のことは行っておくことにしました。
全域で水涸れが起きていましたが、まだ乾いてはおらず、所々に水溜まりがありました。
トウゴクヘラオモダカは、最も元気なものは花茎を伸ばし始めていました。

オニスゲが開花していました。

タツナミソウも咲いていました。

トウゴクヘラオモダカを覆っていたミゾソバやチゴザサなどを取り除いていたら、足元に、ケラが現れました。
下の田圃の田起こしを始める前に、土嚢をつくろうとして、土を起こしたら、ミイデラゴミムシが現れたのを思い出しました。

セリバヒエンソウは種子をつくり、カナムグラは成長の速度を速めていました。

のかわさき自然調査団の活動

特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation