生田緑地の生物多様性保全活動
皆伐更新地区および萌芽更新地区の状態観察と更新管理
日時:2020/12/26(土) 10:00〜14:00 
場所 生田緑地 皆伐更新地区(A14)萌芽更新地区(A06-1a)
参加者 岩田臣生

生田緑地では、現在、コナラ大径木に広がり始めたナラ枯れが話題になっていますが、 私たちは、10数年前に、生田緑地でも将来的にナラ枯れというコナラの集団枯死が起こるかも知れないと考え、 伐採更新という技術を取得するために、川崎市北部公園事務所の協力を得て、実験的に皆伐更新を行うと共に、失敗していた萌芽更新地区の再生にも取り組んできました。
今回は、水田ビオトープ班の定例的な活動が終わった年末ということで、一人で、この二つの伐採更新地区の状態を、ゆっくり観察し、少しだけ、補足的な活動をしておくことにしました。

生田緑地の中央園路近くのコナラの残っていた枯葉が晴れ上がった青空に映えていました。


【皆伐更新地区】
皆伐更新地区は、2010年末に皆伐して、裸地に生えてきた実生のコナラ、ヤマザクラなど、自然発芽した多様な樹木を育てて、樹林に育ててきました。
伐採更新計画時に専門家に聞いた話では、老熟した生田緑地のコナラは萌芽更新できないといわれましたが、10年後の現在も、クヌギとコナラが 1本ずつ、生き残っています。
但し、通常の萌芽更新の萌芽枝のような勢いある成長は見せてくれることはなく、いじけたような樹形となっています。
それでも、伐り株は腐朽し、萌芽枝は別々の樹木になったように見えるので、萌芽更新はできたと言えるかも知れません。
実生から育ったコナラ、ヤマザクラなどは、高さ 8〜10mに達して、胸高直径 10cmを超える程になっていますが、樹林全体としての成長速度、変化の速度は鈍ってきていると思われます。
当該地区の植生管理計画としては若齢林をつくることを目標としたので、今後の植生管理は、間伐ではなく、2回目の伐採更新を萌芽更新目的で実施することになるだろうと思います。
今年は秋季のアズマネザサ刈りを行っていませんでしたので、30cm 程の高さのアズマネザサが生えていましたが、 ヤブ状態になることはなく、コナラや、ヤマザクラなどのある若い雑木林になっていることを実感し、立ち去り難くさえ感じました。
アカメガシワ、ヌルデ、アズマネザサなどと格闘していた、1m以上の高さのものが無い頃は、活動量としては十分過ぎるくらい広いと感じていたのに、 こうして樹林になると、狭い範囲だったのだと実感しました。










【萌芽更新地区】
萌芽更新地区は、2017/1/21(土)の里山倶楽部から 2019/3/2(土) の里山倶楽部によって、萌芽更新目的の大径木の伐採を行いました。
その更新管理としては、里山倶楽部および補足的に水田ビオトープ班の活動としてアズマネザサ刈りを行っています。
里山倶楽部のアズマネザサ刈りは、誰でもできる活動とするために、アズマネザサだけを刈ることにしていて、「もやわけ」や低木管理は、別の活動として実施しています。
今回は、10/21(水) の生田緑地整備事務所及び指定管理者との現地協議の時に、来園者が通行し難い状態になっていると指摘された辺り、 区域(A06-1a)と区域(A06-3) が接する辺りのニワトコ、キブシ、ムラサキシキブなど、園路を覆いかけている樹木の除伐や、大きくなり始めていた低木類を剪定して低く抑える活動を行い、 また萌芽更新の状態を観察しました。
小さな実生サンショウの幹に、ボーベリア菌に侵されたと思われる、白いカビに覆われたカミキリムシが見つかりました。
農業分野では、ボーベリア菌を害虫駆除に利用する技術が進んでいて、マツ枯れ対策への応用も研究されているようですので、 もしかすると、カシノナガキクイムシへの応用技術も開発される時が来るかも知れないと思いました。
地区上の園路付近に繁茂していたオトコエシが実(種子)をつけていました。
萌芽更新は順調に進んでいるようで、萌芽株が並び、そこから出た萌芽枝が成長していました。
2017/2/9(木) に水田ビオトープ班で伐採したクヌギ(伐採時の年輪による樹齢は 47齢)の萌芽も、まだ残っていました。
また、今まで大径木にばかり注目していましたが、地区上側の木道から見ると、径 10cm程度の樹木も、数本目立っていました。
伝統的な萌芽更新では、簡単に伐採できる、このぐらいの太さの樹木を萌芽更新していたのではないかと思われるので、来年は、このクラスの樹木の伐採を予定しても良いのではないかと思いました。

【アズマネザサ刈りについて】
里山倶楽部で行うアズマネザサ刈りは、通常、刃長 9cmの桑切鎌を用いて、アズマネザサだけを刈ります。
アズマネザサ刈りは、基本的に、アズマネザサによって生育環境を阻害されている植物を保護するために行うものなので、保護対象を見分けることが大切です。
皆伐更新地区において実施してきたアズマネザサ刈りは、発芽してきたコナラや、ヤマザクラなどの実生を保護するために、その実生の周囲、半径がその実生の高さぐらいまでの範囲の アズマネザサだけを刈りました。
必要以上に刈ってしまうのは、表土の乾燥を促進してしまうので良くないと思いました。
萌芽更新では、萌芽株の周囲のアズマネザサを刈って、萌芽枝にアズマネザサが届かない状態にします。
また、フデリンドウや、スミレなど、特定の草本の保護のためのアズマネザサ刈りでは、生育保護に加えて、来園者が開花を楽しめるようにするという観点から、 群を意識した保護範囲としています。















帰り道、ピクニック広場東の階段で、「手入れをしてくれて、有難うございます。」と声をかけられました。
「自然が好きなのだけど、放置された自然は良くありません。」と言われました。

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