生田緑地の自然保全活動　生物の棲息環境保全2013/4/16

生田緑地の生物の生息環境を再生・保全する活動

下の写真は中央地区北側の雑木林です。
2011年5月の市民部会で現地調査と話し合いを行い、ヤマツツジやヤマユリが咲く、明るい雑木林を目標に設定し、夏の間に業者によるアズマネザサ刈りを行い、同年12月の市民部会で常緑樹小径木や竹などの除伐を行い、 2012年10月の市民部会で下草刈りを行った雑木林です。
長期間放置されていた雑木林ではありましたが、このように生き残っていたヤマツツジが咲いてくれました。ヤマユリが咲くようになるには時間がかかると思いますが、整備された中央広場に面して気持ちの良い景観を提供できていると思います。

合議に反する樹木伐採でトキホコリは生き残れるのか？
放置された処理材の片付けとモニタリング
日時　2013/4/16(火) 10:00～11:00　晴　
場所　生田緑地　中央広場南地区(23-2,23-3)　
参加者　岩田臣生、岩田芳美、鈴木潤三

生田緑地は4月から全面的に指定管理者が管理することになりました。この指定管理者による公園管理によって生田緑地の生物の棲息環境が脅かされることの無いようにするために、 4月8日に生田緑地を一緒に歩いて、管理上注意すべきことについて現地協議を行いました。その時に、中央広場南側の雑木林23-2,23-3の斜面裾部の樹木が伐採され、残されたスギは枝打ちが行われ、地面はすっかり明るくなっていました。しかも、雑木林の林床にスギの枝葉が散乱していました。
この時同行していたシダ植物班からは、その場で抗議を受けてしまいました。生田緑地植生管理協議会が機能していないという御叱りです。
2010年10月の生田緑地植生管理協議会市民部会に参加していた野鳥班からも、後日、クレームが届きました。市民部会で合意したことを、数年経ったら考えを翻し、話し合いをせずに、好き勝手な植生管理を行ってしまうというのは、余りにも乱暴であり、民主的な行動とは言えません。
自然生態系について配慮することなく、ひたすら、木を伐り、下草を刈り、処理材は放置するという行為を良いことだとして、行政までもが、植生管理計画を無視して、これに協力するのであれば、生田緑地の生物多様性は低下し、今まで生き残ってきた生物が消えていくことになります。
生田緑地植生管理協議会というシステムは、4月から生田緑地マネジメント会議自然環境保全管理会議が継承することになっています。生田緑地をより良くするための民主的な合意形成、そして決めたことは守るということが、普通に行われるようになることを願っています。

この辺り（23-2,23-3の裾に接した部分）はトキホコリが生育する場所です。
トキホコリは、国のレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類、神奈川県では絶滅危惧ⅠＢ類、東京都区部では絶滅、その他の東京都では絶滅危惧ⅠＡ類に指定されている植物です。
神奈川県内の分布は、綾瀬市、鎌倉市、川崎市の3市、4地区でしか記録されていません。

2010年10月6日の市民部会では、＜パーゴラ西側の針葉樹（スギ）についてはトキホコリの保護の観点から伐らないこと＞、＜トキホコリは保護すべき植物として、その生育環境は保全すること＞が合意されました。
しかし、その後、この園路を中央広場の整備に合わせて舗装し直すこととなり、大部分のトキホコリは消えるけれども、このスギなどのある辺りは暗くて、湿っているので、そこには残るだろうということで、園路舗装は進められました。
その残るだろうとされた場所を、3月に生田緑地の雑木林を育てる会が、合議に反して、樹木を伐採し、スギの枝を落として明るくしてしまいました。
この目的は、トキホコリが健在であることよりも重要なことだったのでしょうか。

この日の前半の活動は、8日は時間がなくて調べられなかった状態の調査と若干の手入れ、林床に放置されたスギの枝葉の片付けを行うことにしました。
しかし、他団体が植生管理計画を破って、やり散らかしたことの後片付けは面白いものではありません。しかも、スギの葉が体に着いて、チクチクし、不快でした。そこで、園路に2つ、枝葉の山をつくったところで止めることにしました。

片付けは程々にして、23-3区のモニタリングを行いました。草本層には、シダ植物は除外して、23種の植物が見られましたが、注目すべき種はありませんでした。

当該区域の上の方を調べて驚いたのは、樹齢50年ほどの樹木が何本も伐採され、地面には倒木が放置され、まさに「山が荒れている」という感じの様相を呈していました。
先日、Ｔと名のる人が「生田緑地の山が荒れている。倒木が放置されたままだ。市民ボランティアとしての見解を聞かせろ。」と強い口調で電話してきました。忙しい時に、何故、このようなクレームをつけられなければならないのかと不愉快に思い、電話を切らせてもらいました。
普段活動している生田緑地の北側のエリアでは、これ程酷い状態の所はありませんので、この人が何を言いたいのか分からず、ただただ、しつこくて不愉快な男だと思ってしまったのです。しかし、ここの状態を見れば、「こんなに荒れた状態にして、管理ができていない。」と思うのは極めて普通の感覚だと思います。
当該地区の樹木の伐採については合意されていませんでした。またしても、合議を破る行為が行われていたことを知りました。何本もの樹木が伐採され、環境はすっかり変わり、荒れていると言われても仕方のない状態でした。
市民部会で行うべきことを、「やらせてくれ。」と煩かったので任せてしまったことを後悔しました。

参考
2009年11月25日　市民部会特別回　北部公園事務所、Ｓ会、市民部会事務局が現地で話し合いを行い、通称アジサイ山と呼んでいた23-1区について、Ｓ会がアジサイの管理を行うことにしました。
2010年10月6日　市民部会　アジサイ山を含む集水域（23区）の植生管理について現地で話し合いを行いました。
中央広場南側地区植生管理計画
 2011年9月　市民部会　23-3区のアズマネザサ刈りを行いましたが、上の方を残してしまいました。

アズマネザサ刈り
日時　2013/4/16(火) 11:00～12:30　晴　
場所　生田緑地　旧岡本谷戸
参加者　岩田臣生、岩田芳美、鈴木潤三

旧岡本谷戸と呼ばれている中央広場からつつじ山へ登る道の途中の左側に、昔は落葉溜めにしていたのではないかと思われる場所があります。
そこを、私たちは土壌動物の観察会の時に土を採取する場所としています。
昨年の観察会の時には、アズマネザサが繁茂していて、土の採取が困難でしたので、アズマネザサ刈りをしておくことにしました。
植生管理協議会においては、この園路沿いのアズマネザサの巾刈りについて承認を得ています。
そこそこの広がりの緩い傾斜面が奥にあるのですが、ここは昔は落葉の捨て場としていた場所だろうと推察しています。そして、今後も、同様の使い方が可能と思います。

刈り取ったアズマネザサや捨てられていた倒木、落枝などはカントリーヘッジ状に積みました。

園路沿いのアズマネザサも、園路に出ているものは刈りました。

付近には、ツボスミレやアメリカスミレサイシンが咲く季節になっていましたが、その中に、白花のアメリカスミレサイシンが咲いていました。
アメリカスミレサイシンは、北アメリカ原産の外来種です。この場所だけならいいだろうと思っていたら、今年は離れた場所にも出ていました。勿論、他の場所に出たものは駆除しましたが、ここの株も少し減らしておいた方がいいかも知れません。

下の写真は中央地区北側の雑木林です。 2011年5月の市民部会で現地調査と話し合いを行い、ヤマツツジやヤマユリが咲く、明るい雑木林を目標に設定し、夏の間に業者によるアズマネザサ刈りを行い、同年12月の市民部会で常緑樹小径木や竹などの除伐を行い、 2012年10月の市民部会で下草刈りを行った雑木林です。長期間放置されていた雑木林ではありましたが、このように生き残っていたヤマツツジが咲いてくれました。ヤマユリが咲くようになるには時間がかかると思いますが、整備された中央広場に面して気持ちの良い景観を提供できていると思います。合議に反する樹木伐採でトキホコリは生き残れるのか？放置された処理材の片付けとモニタリング日時　2013/4/16(火) 10:00～11:00　晴　場所　生田緑地　中央広場南地区(23-2,23-3)　参加者　岩田臣生、岩田芳美、鈴木潤三生田緑地は4月から全面的に指定管理者が管理することになりました。この指定管理者による公園管理によって生田緑地の生物の棲息環境が脅かされることの無いようにするために、 4月8日に生田緑地を一緒に歩いて、管理上注意すべきことについて現地協議を行いました。その時に、中央広場南側の雑木林23-2,23-3の斜面裾部の樹木が伐採され、残されたスギは枝打ちが行われ、地面はすっかり明るくなっていました。しかも、雑木林の林床にスギの枝葉が散乱していました。この時同行していたシダ植物班からは、その場で抗議を受けてしまいました。生田緑地植生管理協議会が機能していないという御叱りです。 2010年10月の生田緑地植生管理協議会市民部会に参加していた野鳥班からも、後日、クレームが届きました。市民部会で合意したことを、数年経ったら考えを翻し、話し合いをせずに、好き勝手な植生管理を行ってしまうというのは、余りにも乱暴であり、民主的な行動とは言えません。自然生態系について配慮することなく、ひたすら、木を伐り、下草を刈り、処理材は放置するという行為を良いことだとして、行政までもが、植生管理計画を無視して、これに協力するのであれば、生田緑地の生物多様性は低下し、今まで生き残ってきた生物が消えていくことになります。生田緑地植生管理協議会というシステムは、4月から生田緑地マネジメント会議自然環境保全管理会議が継承することになっています。生田緑地をより良くするための民主的な合意形成、そして決めたことは守るということが、普通に行われるようになることを願っています。この辺り（23-2,23-3の裾に接した部分）はトキホコリが生育する場所です。トキホコリは、国のレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類、神奈川県では絶滅危惧ⅠＢ類、東京都区部では絶滅、その他の東京都では絶滅危惧ⅠＡ類に指定されている植物です。神奈川県内の分布は、綾瀬市、鎌倉市、川崎市の3市、4地区でしか記録されていません。 2010年10月6日の市民部会では、＜パーゴラ西側の針葉樹（スギ）についてはトキホコリの保護の観点から伐らないこと＞、＜トキホコリは保護すべき植物として、その生育環境は保全すること＞が合意されました。しかし、その後、この園路を中央広場の整備に合わせて舗装し直すこととなり、大部分のトキホコリは消えるけれども、このスギなどのある辺りは暗くて、湿っているので、そこには残るだろうということで、園路舗装は進められました。その残るだろうとされた場所を、3月に生田緑地の雑木林を育てる会が、合議に反して、樹木を伐採し、スギの枝を落として明るくしてしまいました。この目的は、トキホコリが健在であることよりも重要なことだったのでしょうか。この日の前半の活動は、8日は時間がなくて調べられなかった状態の調査と若干の手入れ、林床に放置されたスギの枝葉の片付けを行うことにしました。しかし、他団体が植生管理計画を破って、やり散らかしたことの後片付けは面白いものではありません。しかも、スギの葉が体に着いて、チクチクし、不快でした。そこで、園路に2つ、枝葉の山をつくったところで止めることにしました。片付けは程々にして、23-3区のモニタリングを行いました。草本層には、シダ植物は除外して、23種の植物が見られましたが、注目すべき種はありませんでした。当該区域の上の方を調べて驚いたのは、樹齢50年ほどの樹木が何本も伐採され、地面には倒木が放置され、まさに「山が荒れている」という感じの様相を呈していました。先日、Ｔと名のる人が「生田緑地の山が荒れている。倒木が放置されたままだ。市民ボランティアとしての見解を聞かせろ。」と強い口調で電話してきました。忙しい時に、何故、このようなクレームをつけられなければならないのかと不愉快に思い、電話を切らせてもらいました。普段活動している生田緑地の北側のエリアでは、これ程酷い状態の所はありませんので、この人が何を言いたいのか分からず、ただただ、しつこくて不愉快な男だと思ってしまったのです。しかし、ここの状態を見れば、「こんなに荒れた状態にして、管理ができていない。」と思うのは極めて普通の感覚だと思います。当該地区の樹木の伐採については合意されていませんでした。またしても、合議を破る行為が行われていたことを知りました。何本もの樹木が伐採され、環境はすっかり変わり、荒れていると言われても仕方のない状態でした。市民部会で行うべきことを、「やらせてくれ。」と煩かったので任せてしまったことを後悔しました。参考 2009年11月25日　市民部会特別回　北部公園事務所、Ｓ会、市民部会事務局が現地で話し合いを行い、通称アジサイ山と呼んでいた23-1区について、Ｓ会がアジサイの管理を行うことにしました。 2010年10月6日　市民部会　アジサイ山を含む集水域（23区）の植生管理について現地で話し合いを行いました。中央広場南側地区植生管理計画 2011年9月　市民部会　23-3区のアズマネザサ刈りを行いましたが、上の方を残してしまいました。アズマネザサ刈り日時　2013/4/16(火) 11:00～12:30　晴　場所　生田緑地　旧岡本谷戸参加者　岩田臣生、岩田芳美、鈴木潤三旧岡本谷戸と呼ばれている中央広場からつつじ山へ登る道の途中の左側に、昔は落葉溜めにしていたのではないかと思われる場所があります。そこを、私たちは土壌動物の観察会の時に土を採取する場所としています。昨年の観察会の時には、アズマネザサが繁茂していて、土の採取が困難でしたので、アズマネザサ刈りをしておくことにしました。植生管理協議会においては、この園路沿いのアズマネザサの巾刈りについて承認を得ています。そこそこの広がりの緩い傾斜面が奥にあるのですが、ここは昔は落葉の捨て場としていた場所だろうと推察しています。そして、今後も、同様の使い方が可能と思います。刈り取ったアズマネザサや捨てられていた倒木、落枝などはカントリーヘッジ状に積みました。園路沿いのアズマネザサも、園路に出ているものは刈りました。付近には、ツボスミレやアメリカスミレサイシンが咲く季節になっていましたが、その中に、白花のアメリカスミレサイシンが咲いていました。アメリカスミレサイシンは、北アメリカ原産の外来種です。この場所だけならいいだろうと思っていたら、今年は離れた場所にも出ていました。勿論、他の場所に出たものは駆除しましたが、ここの株も少し減らしておいた方がいいかも知れません。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation