里山倶楽部
【2022/9/3 更新】

令和 4 年度第 12 回里山倶楽部
<芝生広場上雑木林のアズマネザサ刈り>

日時 2022年 9月 3(土) 10:00〜13:00 曇
場所 生田緑地 芝生広場上雑木林
参加者 伊澤高行、岩渕裕輝、加登勇司、北川英樹、北澤千晴、政野祐一、吉澤正一
事務局 岩田臣生、岩田芳美・・・9 名

生田緑地整備事務所裏の倉庫前に集合してから、芝生広場上雑木林に向かいました。
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芝生広場上雑木林は、2019年に伐採更新を計画し、2020年1月に、高さ4m、太さ1cmものアズマネザサのヤブを刈る活動を始めて、 同年10月から今年 1月まで、2年かけてコナラなどの大径木伐採を行いました。
これは、2019年から始まったナラ枯れに対して、皆伐更新地区での経験に基づいて、芝生広場上雑木林の生物多様性を保全しながらの伐採更新に挑戦しようとする活動です。
当該地区には、丹沢、箱根のブナ帯から周辺のシイ・カシ帯に分布している植物、つまり山地生植物が生育していますので、皆伐更新ほどのインパクトを与えることなく、 ナラ枯れが始まった雑木林をコナラ若齢林に変えるための活動を行っています。

当該地区は、北向きの斜面で、標高差は 18mあり、勾配は概ね 3/10 程度です。
下端部、芝生広場に面している場所にベンチがあり、そこにリュックなどを置いて活動しています。

今回は、実生や萌芽株の周囲のアズマネザサを刈る活動を行いましたが、ベース・ベンチ付近では、1m程に育ったコナラ実生もありました。
この辺りは、斜面の樹木やアズマネザサが減って、明るくなり、生育条件が向上したので、順調に育ってくれると思います。
コナラ実生
コナラ実生
ベース・ベンチ付近は、ヌスビトハギが繁茂して、咲き乱れていました。
また、近くに、センニンソウが咲いていました。
センニンソウは、谷戸の田圃附近にもあったのですが消えてしまったので、この花が咲いていたことは嬉しいことでした。
ツル状に伸びて、辺りのアズマネザサに絡みついて咲いていましたが、キンポウゲ科の木本であることはハンショウヅルと同じです。
県内では、普通の植物ですが、普通の植物が普通にあることは大切だと思います。
センニンソウ
攪乱された場所に生えるヘクソカズラ(別名ヤイトバナ)も、アズマネザサに絡みついて咲いていました。
花の芯がヤイト(お灸)の痕に似ていることでヤイトバナと名付けられたようですが、もうヤイトを知る人は少ないので、臭いに起因するヘクソカズラが普通に使われています。
ヘクソカズラ

アズマネザサは、1〜1.5mの高さに繁茂していました。
7/23(土)は余りの暑さに、1時間しか活動できませんでしたが、この日は、適当な距離を離して、アズマネザサ刈りに夢中になっていました。
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中間で一度、ベース・ベンチに集まって休憩しました。
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後半の活動を始めました。
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今回の参加者は、皆さん、活動経験も多かったので、一人一人適当に離れて、自由に楽しんでもらうことにして、岩田は要所要所でアズマネザサ刈りを行いながら全域の状態観察を行いました。
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ヤマザクラ、コナラ、アオハダ、アカシデなどの萌芽などを確認しました。
ゴンズイの実が紅くなっていました。
ゴンズイ実
伐採したヤマザクラの伐り株からも、無事に萌芽していました。
ヤマザクラ萌芽株
ヤマザクラ萌芽株
そもそも高齢のコナラであり、ナラ枯れも始まっていたので、萌芽更新を考えずに、伐倒して、伐り直しをしていませんでしたが、その中に、萌芽してきたコナラが複数ありました。
本来の萌芽更新となるかは分かりませんが、萌芽更新させるつもりで管理したいと思います。
コナラ萌芽株
コナラ萌芽株
コナラ萌芽株
これらの萌芽枝では、ツマキシャチホコ(蛾)の幼虫が観察できました。
この幼虫がいただけで、コナラ林になっていると思ってしまいます。
ツマキシャチホコ幼虫
大径木伐採の過程で、止むを得ず伐採したアオハダが萌芽枝を伸ばしていました。
アオハダは、神奈川県植物誌によれば、県内では、丹沢、箱根、小仏山地に多く、横浜市青葉区や川崎市麻生区などの丘陵地に稀に見られるとあります。
雌雄異株らしいのですが、当該地区にあるアオハダは、生物多様性保全上重要な樹木であると考えます。
アオハダ萌芽株
これも大径木伐採のために伐採せざるを得なかったアカシデ?でしたが、径が 10cm程だったので、若しかすると萌芽更新できるかも知れないと思って、丁寧に扱っていたら萌芽していました。
アカシデ萌芽株
斜面上方でも、所々に、アズマネザサに覆われながらコナラ実生が生えていました。
コナラ実生
積んであった伐採材の脇からカラスザンショウが発芽していました。
カラスザンショウ
大径木伐採時に圧し倒してしまったツノハシバミが実をつけていました。
ツノハシバミも山地生の樹木で、川崎市内では生田緑地だけに分布しているようです。
ツノハシバミ実
アズマネザサを掻き分けて歩いていたら、ササキリに出会いました。
ササキリ
ベース・ベンチ付近では、オスグロトモエが現れました。
夜行性の蛾なので、葉陰で休んでいたところをアズマネザサ刈りしたので飛び出してきたのかも知れません。
オスグロトモエ

この日の活動の終わりに、今回の活動記念の集合写真を撮りました。
それから、倉庫前に戻って、道具を片づけて、解散しました。
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