第3回「生田緑地の常緑樹とその分布について調べる」
日時 2007年1月8日(月)10:00〜12:40 晴 場所 青少年科学館学習室と生田緑地( 七草峠〜枡形山〜東口 ) 講師 倉本 宣(明治大学農学部教授、生田緑地植生管理協議会会長) 参加 1班 岩田臣生○、青木豊、井上文男、佐藤利奈、谷口朗、谷口喜美代、渡部富子 2班 堀江洋○、岩田芳美、佐藤登喜子、中臣謙太郎、前田宏、吉田多美枝 3班 倉本宣○、久保田浩二、篠清治、津田、雛倉正人、堀内弘栄 4班 鈴木修司○、井口実、川崎紀明、川崎祥子、小礒毅、藤間X子、野澤興一 合計26名(○印は班長、その他は50音順表記) 倉本・植生管理協議会会長からの挨拶で始まりました。 生田緑地の中の一部の林についてどのくらい常緑樹が生えているかを調査したいと考えました。 どの場所かというと枡形山周辺です。常緑樹が纏まって生えているところしか記録出来ないかもしれないが、園路を歩きながら常緑樹が見分けられたら、常緑樹の表に合わせて記入をして下さい。 どれくらい常緑樹があるか、大きくなっているかを見ていきたいと思います。 もともと雑木林として利用され、下草が刈られて、落葉がはかれていた時には常緑樹は殆ど生えていなかったと思われるので、今、常緑樹が沢山生えているとしたら、その場所をどうしたらよいかを考えて行く必要があると思います。 今日は植物の観察と言うよりは、これから生田緑地の自然をどのようにしていったら良いかを考える為の材料として常緑樹の分布の調査したいと思います。 続いて、具体的な活動内容について、岩田(かわさき自然調査団事務局長)が説明しました。 調査方法 調査対象区域 調査対象区域は、概ね、下図の緑色の範囲で園路から5m程度の区域とし、園路からの観察調査とした。 担当 1、2班はAコース、3、4班はBコースを担当しました。 時間 1時間( 10:20〜11:20 ) 樹種 A)アオキ、B)シュロ、C)ヤツデ、D)モチノキ、E)ヒサカキ、F)ツバキ、G)サザンカ、H)ツルグミ、I)シラカシ、J)アラカシ、K)ウバメガシ、L)ウラジロガシ、 M)スギ、N)ヒマラヤスギ、O)アカマツ、P)モミ、Q)カヤ、R)サワラ、その他は班ごとに追加することとした。 また、高さ2mを基準にして、大小を区別することとした。 用具 対象区域の地図、凡例表、樹種を見分けるための参考資料、双眼鏡、高さ2mの測量用の棒 各班ごとに、自己紹介と役割分担を行いました。 1、2班はAコース、3、4班はBコースを受け持って、どんな常緑樹が、どこに生えているかを調べることにしました。 Bコースは東口から枡形山広場へのコースです。 Aコースは七草峠から枡形山広場へのコースです。 フィールドワーク終了後、青少年科学館学習室において調査結果を整理しました。 4班が調査結果と気がついたことなどを発表しました。 3班が調査結果と気がついたことなどを発表しました。 倉本先生からは次のような話を戴いた。 この活動は「生田緑地はどんな林になったら良いか」ということを考えていく活動です。今日は落葉樹の林の中で目立つ常緑樹を見て、常緑樹について考えてみました。 今回の企画を最初に考えた時には「常緑樹が沢山有るんだね」ということを気がつけば良いと思ったのですが、今日はそれだけではなくて、「どのような種が多いのか」ということも岩田さんが努力をしてくれて見ることが出来ました。 そうして林をみると、例えば、公園の工事で植栽されたものとか、公園の外の民家の庭に植えられたものが鳥によって運ばれ、散布されたものとか、私が学生時代に習った知識が正しければ、中型のヒヨドリのような鳥が沢山増えたために散布がうまくいくようになって増えた植物だとか、もともとは雑木林に無かった植物が見られるようになったり、植生遷移が進んで、雑木林から照葉樹林に変わっていくとしたら増えるだろうと思われるカシの木の仲間も沢山生えていました。 そういう植物をどうしたらよいかということは、生田緑地全体としてその林をどうしていくかを考えていく中で個別の植物をどうしたらよいかを考えていくことになります。 全体の林をどうするかを考えるのは、この場所(今回調査地)だけを見て考えるのではなく、生田緑地全体の自然を理解した上で、この場所をどうしていくかを考えて行くことになります。 これから、長い間付き合っていただかないとそういう所まで行けないと思いますのでお付き合い下さい。宜しくお願い致します。 今日は2mを一つの基準にして木の高さを測りました。私は測る係でしたが、皆で話しながらフィールドを歩くのは楽しいなと思いました。 1、2班が調査結果と気がついたことなどを発表しました。 吉田さん(かわさき自然調査団植物班班長)から活動の感想を聞きました。 私は、調査団植物班で毎月第1日曜日に植物観察会をやっていますので、しっかり樹木を見て勉強しているはずなのですが、今日のコースにこんなに沢山アカガシが有ったことは認識していませんでした。更に、そこにアカガシの大木が有ったということも抜けていました。観察会で説明をする樹木しか見ていなかった、森を見ていなかったということをしみじみ感じました。 私たちが歩いたコースは南向きと北向きの斜面になっていますので、本当はアオキとシュロが多いはずなのですが殆ど有りませんでした。斜面の急さと斜面の向きの関係かなと思いますが後で勉強をしないと判りません。 シラカシとヒサカキは本当に多かったです。何本と言えなかったので、多いは10本としました。もっと多ければ15本。それ以上はいっぱいという表現にしました。 2mを超えたぐらいの高さの木がずらっと並んでいるのです。どうしてかなと思って見ると、崖が急なので高木が無いのです。たぶん、そこで芽が出たものが伸びてきて、他の植物を追いおとして常緑樹だけが伸びたのかなと思いました。シラカシとヒサカキだけが同じ高さで続いていたことは認識を新たにしましたが、いずれはヒサカキが追い抜かれてシラカシになるのだと思います。 今のうちに何とかしないと大きくなって切るのは可哀相なのと同時に、切る方も大変で罪悪を感じることと思います。小さなうちにその林のイメージを持って管理をしたいと思いました。 大きな大木も2m以上のマークだけでくくるのは無理があると思います。 シンボルツリーになるようなシラカシやアカガシが有ったので、生田緑地の案内図の中に書き込んでも良いのではという感想を持ちました。 最後に、倉本先生からまとめを戴きました。 調査のやり方のことですが、岩田さんと相談をして今日のような調査のやり方にしたのですが、実際に調査をしてみると、先ほど吉田さんが仰ったような、色々と改良をしなければならない点が見えてきます。 実際に調査を沢山していて、それを追認してもらうような調査をするのだったら上手く出来ると思うのですが、今はまだ調査をした事が無い場所を沢山の方と調査をしているので、調査をしてみて不具合が有ったり、足りない事が見つかることがでてきます。 回を重ねると少なくなるでしょうが、学生実習のように答えが判っている調査を沢山の方に追認してもらうような調査をするのではなく、一緒に調査をすることで新しい発見があるような活動をしていきたいと思います。今回のように、一緒に新しいデータをとっているのだということで、お願いします。 これが足りないというように気がつれたな事はどんどん言って下さい。 これからも宜しくお願い致します。 調査結果のまとめ Aコース(七草峠〜枡形山)では、11種類、114本の常緑樹が観察された。 このうち本数上位のヒサカキ、シラカシの2種類のみで全本数の71.9%を占めており、この2種が当該地区の常緑樹における優占種となっている。 Bコース(東口〜枡形山)では、24種類、195本が観察された。 このうち本数上位のシラカシ、アオキ、ヒサカキ、ヤツデの4種類で全本数の70.5%を占めており、この4種が当該地区の優占種となっている。 Bコースでは、ヤマツツジが2本、調査表に記載されていたが、半常緑ということで今回の調査対象からは外し、まとめの段階で削除させてもらった。 Aコースにおけるヒサカキ、シラカシについて、その分布を見ると、尾根の南東側に集中していることがわかる。 また、Bコースにおけるシラカシ、アオキ、ヒサカキ、ヤツデの分布を見ると、シラカシは3箇所、アオキとヒサカキは園路が九十九折りになっている地区に集中している様に思われる。
|