生田緑地の生物多様性保全活動


谷戸の水辺の観察と保全  
日時:2025/1/21(火) 9:00〜12:00
活動参加:岩田臣生
場所:生田緑地 城山下谷戸生物保護区〜谷戸合流部〜湿地再生地区


久し振りに、生田緑地整備事務所裏の尾根路を降りて、城山下谷戸生物保護区の状態観察を行い、必要な手入れを行っておくことにしました。
芝生広場上雑木林は、2020年1月に、汚らしいヤブ状態だったアズマネザサを刈り始め、その年の10月から 2022年1月までに大径木を選択的に伐採して、伐採更新を進めています。
当該斜面は北向きでありながら、実生樹木やアズマネザサの成長は著しく、アズマネザサ刈りは欠かせませんが、更に密生した場所では、適宜、間伐も行いながら、 雑木林の育成を図っています。
植生管理の活動は、斜面下端にあるベンチを中心に、雑木林の中の観察を行うための観察路づくりを意識したアズマネザサ刈りを行っていました。
園路からの観察では、斜面上方にはアズマネザサが残るものの、伐採完了後3年の状態とは思えないスピードで雑木林が育っていると感じさせてくれました。

芝生広場との境界には、植栽されたものと思われるドウダンツツジが2m超に育ち、そこにアズマネザサも並立していました。
伐採更新を始めた時は、区域の周囲にヤブをつくるなどして、来園者の立ち入りを妨げるようにしましたが、 そろそろ生垣の状態に戻して、雑木林を観察できる状態にしながら、雑木林は立入禁止であることを明示するなどの方法を考える必要があると思いました。
芝生広場では、西側の雑木林の状態も気になりました。
芝生広場と上の田圃との間の急斜面にシラカシなどの常緑樹が大きく育ってしまったのではないかと思われます。
この地区の常緑樹の除伐を検討する必要があるかも知れません。

城山下谷戸に降りました。
丸太階段を降りた右側の保護柵の中については、生えていた大きなアズマネザサだけは刈りました。
この辺りは湿った日陰地なので、絶滅危惧種のトキホコリが分布しています。
左側は、アオイスミレが分布していましたが、民有地であることが分かってからは、アズマネザサ刈りを控えています。


城山下谷戸分岐点から右側、大階段方向は通行禁止になっており、フェンス・ゲートが設置されていますが、その脇を抜けて、更に柵を抜けて、生物保護区に入りました。
生物保護区の湿地の状態観察が一番の目的ですので、湿地の畔に直行して、荷物を置きました。
湿地は、全体に水が広がっていて、大型の野鳥が安心して水浴びができるように掘った水溜まり部分も良い状態になっていました。


湿地の東側には、湿地から溢れた水が流れる水路をイメージして、小さな水溜まりを掘ろうとしていますが、 硬い地面にも関わらず、水は直ぐに浸み込んでしまいます。
湿地東側は、一旦は、アオキ、アズマネザサなどを刈って、草地状にしたのですが、様々な幼木やアズマネザサなどがヤブをつくり始めたので、 アズマネザサ刈りを行い、落枝なども片づけました。

勿論、ヤマコウバシは残しました。

湿地の中に入って、状態を観察すると、シラコスゲが株毎に盛り上がっていて、その株の間が入り江のようになっていました。
そこで、部分的に、その入り江に水を入れてみました。
降雨のお蔭だと思いますが、湿地の状態は良好と判断しました。





生物保護区を出ました。
アパート跡地につくった苗木畑には、コナラが育って大きくなっていました。
生田緑地のナラ枯れが始まって、ナラ枯れ大径木が戸隠不動尊跡側の隣接地にあって活動できませんでしたので、アズマネザサが繁茂してしまいました。

この脇の水流沿いを歩いて、谷戸の合流部に出ました。
水流は合流部に出た所で、水漏れ穴に消えようとしていましたので、穴を埋めて、水漏れを止めました。

1年前に伐採更新に着手した見晴台下斜面には、一面に、アズマネザサが生えていました。
このアズマネザサを刈ろうと思ったのですが、上端に立っているナラ枯れ大径木が倒れてくるかも知れないと思って、できませんでした。
斜面下であれば、直ぐに逃げられると思って、斜面下のアズマネザサだけは刈りました。
また、この合流部に堰を設けて、少し深い水溜まりをつくりたいのですが、もう少し暖かくなってから考えたいと思います。

ヤブランが黒い実をつけていました。


稲目谷戸に出て、右岸の水流の手入れを行いました。



上の田圃に来ました。
木道下に流れ出していた水漏れは止まっていて、湛水していることを確認しました。




生田緑地共同事業体が、梅ノ木広場の草刈りを行ってくれました。



湿地地区に寄りました。
水路の途中に水漏れ穴がありましたので、補修しました。
また、湿地3段目端にあった径10cm程の樹木を伐採しました。
アケビの太いツルが絡んでいました。

湿地2段目末端にも水漏れがありそうでしたが、この穴は見つけられませんでした。



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