生田緑地の生物多様性保全活動


雑木林や水辺の状態観察と保全  
日時:2023/4/4(火) 9:00〜12:00 晴
場所 生田緑地 飯室山南皆伐更新地区(A14)、桝形山、城山下谷戸、上の田圃〜ヨシ原、湿地地区
参加者 岩田臣生

今春は生きものの営みが殊の外早く進んでいるようです。
水田ビオトープ班や里山倶楽部として保全活動を行っている場所の状態観察を行って、近々必要な保全活動を考えることにしました。

(飯室山南地区)
活動拠点から遠い飯室山南地区は、訪れる回数が少ないので、先ずは、ここから観察しておくことにしました。
生田緑地の雑木林は老熟しているので萌芽更新はできないと言われながら、皆伐更新地区では、伐採したコナラ、クヌギの萌芽を観察していて、共に、1本ずつながら、萌芽更新を期待した株がありました。
これらの萌芽は、11年間生きていましたが、昨年枯れ始めました。
今回は、枯れていることを確認しました。
皆伐更新地区は埋土種子から発芽した樹木が育って、若い樹林を形成していますが、ヤマザクラが開花して、花びらを散らしていました。
この地区に隣接する雑木林は、5月になってから、モウソウチク除伐とアズマネザサ刈りを行えば良さそうです。



(桝形山広場)
桝形山頂部西端は、機械ながら、10cm程度の高さで、アズマネザサ刈りをしてくれていたので、低いアズマネザサの稈の間に咲いているフデリンドウを観察できました。


(城山下谷戸生物保護区)
生物保護区の湿地には、水があり、大型の鳥類でも水浴びをできる水溜まりがありました。
今年も、アズマヒキガエルが産卵したようで、オタマジャクシが泳いでいました。
また、イネ科植物に負けたかと思っていたシラコスゲは、一面に広がっていました。


(城山下谷戸苗木畑)
苗木畑上のナラ枯れコナラ大径木からの大量落枝があり、折れてしまったコナラもありました。
落枝を片づけてあげたいところですが、まだ、落枝は続きそうであり、倒れて来る可能性もあって怖いので、この辺りの保全活動は暫く、中断させてもらおうと思います。


アズマネザサのヤブ漕ぎをして、城山下谷戸末端部を湿地状態に戻すために、昨年12/8(木)、12/15(木)に、水溜まりづくりを行った場所の状態を観察することにしました。
すると、水が溜まって、浅い水域ができていました。
ただ、その水は何処へともなく消えている状態でしたので、今年は、田圃の再生と同様に、手を入れて、湛水するようにすることを考えたいと思いました。


(上の田圃〜ヨシ原地区)
田圃に水はあるのですが、何処かに水漏れ穴があるようで、湛水しているとは言えませんでした。
このため、田圃下草地の池の水は涸れていました。
水の中には、アズマヒキガエル幼生が泳ぎ、畦上にはタネツケバナが咲いています。
春の陽光を受けて、いくつかの蝶が飛んでいて、陽当たりのヒメコウゾの花は満開状態でした。



更に、谷戸の末端部にかけての状態を観察しました。
3/30(木)のヨシ刈りの時に咲いていたヤマザクラは、実をつけていました。
カサスゲが咲き始めていました。


上の田圃の周辺には、セリバヒエンソウが咲いていました。
今年も、駆除活動を行わなければならないようです。

(湿地地区)
湿地地区の状態観察も行いました。
ハンノキ林からの水路に水漏れ穴が開いていて、それより先は水が涸れていました。
ススキの枯葉を刈って来て、それを使って、水漏れ補修を行いました。
チダケサシが発芽して、10cmほどに成長していました。

マユミの葉上に、ミノウスバの幼虫集団がありました。

コゴミの葉上に、アカハネムシが出ていました。


谷戸は、生きものとの出会いがあり、観察を楽しめるので、のんびりしていると、いつの間にか時間が経ってしまいます。


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