生田緑地の生物多様性保全活動


谷戸の水辺の点検・補修、ヨシ刈り、カナムグラ刈りなど
日時:2022/7/21(木) 10:00〜12:00
場所 生田緑地 
参加者 岩田臣生、岩田芳美、鈴木潤三、田村成美

(西口トイレの観察)
この日のトイレには、ヒゲナガサシガメがいました。
ヒゲナガサシガメは、神奈川県昆虫誌2004 には掲載されていませんでした。
生田緑地では、2016年7月、2017年9月に出会っていました。
樹上生活のサシガメなので、普段出会う機会は少ないということだと思いますが、トイレ恐るべしですね。


(湿地地区)
(岩田臣生)
竹林下の水流は、止まってはいませんでした。
しかし、2段目末端近くに水漏れ穴があって、水は3段目まで到達していませんでした。
そこでハンノキ林からの水流を調べたら、小さな水漏れ穴が多数ありましたので、これらを塞いで、水を流しました。
流量は増えましたが、3段目には、なかなか水面が広がりませんでした。
そこで、1段目に設けた苗木畑の草むしりを行い、2段目の水辺を明るくするために、枝葉を広げていたヤマグワを刈りました。
何とか、3段目の水涸れした凹みに水面が広がり始めましたが、全域に水面が広がるのを待っている気にはなりませんでしたので、そこまで確認しておいて、田圃地区に移動しました。

水辺には、ヒメシロネが咲いていました。
ヒメシロネは、神奈川県植物誌によれば、「県内では丘陵谷戸や箱根仙石原などに分布するが少ない」とありました。
環境に敏感な植物で、少しずつ生える場所を移動しています。
この地区では、注意して、少しだけ手を貸すようにしています。


竹林下デッキの手摺看板上に、トビモンオオエダシャクの幼虫がいました。
大きな小枝に見える幼虫です。


(梅の木広場〜下の田圃)
(岩田芳美、鈴木潤三、田村成美)
カナムグラ刈りを行いました。
この時期のカナムグラは、太くて、棘の鋭いものが多くなっています。





(上の田圃地区)
(岩田臣生)
上の田圃からの下草地の池が涸れていました。
田圃は湛水して、土嚢堰を越えて、水が流れ出ていますが、沢からの水と合流する場所に大きな穴が開いていました。
これを土嚢で塞いだら、池に水が溜まり始めました。

田圃下草地のノカンゾウが咲いていました。
ノカンゾウを咲かせるためには、その辺りのミゾソバ、ツリフネソウ、その他の草本をかなり抜いて、ノカンゾウが日照を受けられるようにしなければならないと思います。
田圃下草地は、活動を始めた頃は、ツリフネソウを 9〜10月に咲かせるための管理を行っていました。
数年前から、7月には、ノカンゾウが咲くので、この花も楽しめるように管理を追加しました。
7月に開花するので、6月には適度な選択的草むしりをしなければなりません。
しかし、6月はホタルの季節なので、夜の活動が加わります。
その時その時で、これらの植物のどれを保護して、どれをむしるかを判断しながら、管理活動を行うことになります。
これを適切に行う方法が未だ確立できていません。




田圃には、ショウジョウトンボが紅い点を置いてくれていました。


(下の田圃地区)
(岩田臣生)
下の田圃地区の木道沿いは、ツリフネソウやミゾソバが繁茂して、9〜10月の頃の景観を賑わしてくれます。
これは年によって異なりますが、今年はミゾソバが勝っていて、柔らかい黄緑色のカーペットを敷いたようになっています。
その上に、ヨシが倒れかかっているので、今のうちに、倒れかけているヨシを刈っておくことにしました。

鳥見の来園者の方から、この谷戸のヨシの茂みを、オオヨシキリが利用しているという話を聞きました。
冬期の野鳥のために、ヨシ刈りは春に行うようにしていたので、ほぼ一年中、ヨシがある状態に近かったことが幸いしたかも知れません。

枯れていないヨシを刈ることは少ないのですが、今回は、木道沿いのツリフネソウやミゾソバを保護するためのヨシ刈りです。
雨の中のヨシ刈りは大変でしたが、この日は晴れていましたので、楽だろうと思いました。







帰り道、今回は、ウンモンスズメに出会いました。
スズメガの仲間の中でも、独特の雰囲気の美麗種だと思います。
食草は、ケヤキやマユミのようです。
過去の生田緑地の記録では、6月、8月が出現期とされています。
cf. 第7次川崎市自然環境調査 P.95〜116 「川崎市生田緑地における20年間の蛾の記録(佐野悦子、野澤興一、蛾類研究グループ)」


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