生田緑地の生物多様性保全活動

アズマヒキガエル観察、特別な植物保護のためのアズマネザサ刈りなど
日時:2022/3/15(火) 10:00〜15:00 晴
場所 生田緑地 下図ルート
参加者 岩田臣生、岩田芳美



今回は、アズマヒキガエルの様子を観察して、特別な植物の保護のためのアズマネザサ刈りなどを行いました。
谷戸に降りたら、ハンノキ林上のデッキの上に、テングチョウが現れました。


上の田圃には、待っていたアズマヒキガエルが数匹いました。
ただ賑やかな蛙合戦は起きておらず、静かに抱接しているペアが 5組、単独のオスが 3匹、卵塊が 2塊ありました。
例年だと、40〜50匹のオスが集まって、数匹のメスを奪い合う賑やかな蛙合戦を展開しますが、集合のタイミングが乱れたようです。
今夜も産卵すると思いますが、今年は静かな繁殖イベントになったようです。




急に春らしい光が溢れて、タネツケバナが咲いていました。


下の田圃には、まだ卵塊は見られませんでした。
今年は、この水域は使われないのかも知れません。


戸隠不動尊参道のサクラは酷い状態になっていました。
植栽樹は、適切な管理が必要と思いました。

戸隠不動尊跡から眺める雑木林はナラ枯れが始まりましたので、間もなく見られなくなる景観です。


苗木畑の上のナラ枯れコナラの大木は、今冬の伐採ができませんでした。
コナラ、クヌギの幼木は、萌芽更新目的の伐採を行おうと考えています。
アブラチャンの花が咲き始めていました。

城山下谷戸の分岐点周辺は、管理が必要な状態になっていました。


城山下谷戸から急な木階段を上りました。
桝形山広場への尾根路に出ました。
業者による枯れコナラの伐採では、ヤマツツジやヤマコウバシなどの低木はどうなるのでしょうか。
アサダなどは、間違えて伐採されることなく保護されるのでしょうか。
枯損木の伐採だけでは、落葉広葉樹林として雑木林を保全することは困難です。
小さな皆伐更新が適切だと思いますが、伐採されたくない樹木を残してもらえるのか不安です。


桝形山広場のサクラが問題になっていますが、根元の周囲を保護するようにしなければ、新たなサクラを植えても、直ぐに弱ってしまうのではないでしょうか。

桝形山から東口へ降りる園路の谷側にも、枯木が数本ありました。大丈夫でしょうか。

東口に近い雑木林に、有毒植物なのですが、ネジキが一本あります。
これの根元周りのアズマネザサを刈りましたが、非常に弱っているように見えました。


毎年行っていますが、スミレ保護のために、アズマネザサやシダ植物などを刈っています。
今年は発芽が遅いのか、10株程度しか見つけられませんでした。
ウグイスの綺麗な声や、コゲラのドラミングが聞かれました。
この辺りの雑木林ではアカシデが多数見られます。




東口経由で野鳥の森に移動しました。
野鳥の森の水流は、保全活動で意図したように、連続する水溜まりになっていました。


水流の脇に、イチョウが倒れかかっていました。
別の樹木にもたれかかっていました。


水源付近には、コナラでしょうか、倒木が何本もあり、荒れた状態になっていました。
園路にまで落ちて来ることは無いと思いますが、公園緑地の管理としては、放置して良いことではないと思いました。


野鳥観察舎付近でも、枯れコナラが目立つようになっていました。


保護しようと考えていた植物がまだ発芽していないのか、見当たりませんでした。


菖蒲池に降りる階段を歩きました。
この辺りは、枯れコナラとサワラなどの常緑樹が混在していました。
枯木だけを伐採するだけだと、常緑樹林になってしまいます。
ナラ枯れ対策としては、適切なギャップをつくって、小規模な皆伐更新を行って、明るい雑木林をつくってほしいと思います。



菖蒲池にはアズマヒキガエル(オス)の声が響いていました。
アズマヒキガエルは全身泥だらけになって、蛙合戦を展開したようです。
卵塊は一ヶ所にかたまっていました。


これを観察する人だかりができていました。
僅か数日だけの光景です。
生田緑地で出会える国産最大のカエルですから、来園者が集まっても不思議ではありません。


異常に気温が上昇して、暑い春の訪れでした。

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