生田緑地の生物多様性保全活動

哺乳類調査定点カメラ設置、長かった大雨後の谷戸の水辺の観察と保全
日時:2021/8/19(木) 9:10〜13:30
場所 生田緑地 
参加者 岩田臣生

漸く晴れたので、残してしまっていた定点カメラ 2台を設置、また、大雨でミニ洪水があったと思う、谷戸の水辺の状態確認をしておくことにしました。
モニ1000里地調査の哺乳類調査を始めた頃は、定点カメラの設置場所を探して、数日かけて、獣道を歩き回ったこともありましたが、 寄る年波には勝てず、かつて設置経験のある場所で、最近設置していない場所の状態を調べることで済ませてもらうことにしました。
一ヶ所は、中央地区の北部、皆伐更新を実験した場所の近くで、比較的アクセスが容易な場所に設置することにして、整備事務所裏の倉庫を出発しました。

桝形山の桝形門脇のマテバシイが、カシノナガキクイムシに穿孔され、枯れかけていました。
確かに、マテバシイも、ブナ属です。


桝形山広場の草地の上空、1〜2mの所を、ウスバキトンボが群飛していました。
桝形山から飯室山への尾根路は、長雨で苔むして、滑り易くなっていました。
吊り尾根に、ヤブタバコが蕾をつけていました。


園路から支尾根に入る場所には、アズマネザサが繁茂し始めていました。
そこを抜けて、降りた場所が、設置を考えていた場所です。
太い落枝が転がり、木漏れ日がさしてはいましたが、設置してみることにしました。
気持ちとしては、皆伐更新地区の状態を観察したかったのですが、夏は、水辺の活動を優先すべきと考えて、もう 1台の定点カメラ設置を急ぐことにしました。


桝形山に向かう園路に、ルリタテハが現れましたが、翅はだいぶ傷んでいました。


残る 1台のカメラは、整備事務所から芝生広場に降りる尾根の途中の西側斜面に設置するつもりで、尾根を降りました。
この自然探勝路沿いのコナラは、殆んど、ナラ枯れとなって、大枝を落としていますので、園路沿いの草本層が繁茂して、今まで使っていた出入り口はヤブ状態となっていました。
そこで、少し戻って、常緑樹林化している所から斜面に入って、トラバースして、かつて、子タヌキも撮影できた辺りの獣道の撮影を考えました。
ところが、カメラを出したところで、設置ベルトが無いことに気が着きました。
ベルトが無ければ、どうにもなりません。
仕方なく、倉庫に戻って、探しましたが、見つかりませんでしたので、スズランテープで間に合わせることにして、一巻持って、定点カメラ設置を考えた場所に戻りました。
スズランテープは滑り易いので、しっかり固定することが難しいのですが、細くもなるので、やや下向きに固定することはできました。
問題は、雨が地表を流れているために、最近利用されている獣道かどうかが不明だったことです。
ただ、今年、使い始めたセンサーカメラは、広角で、画像が不鮮明なので、設置方法の工夫が必要なため、様々な場所で試すことを考えています。
撮影される哺乳類の数が減っているのが気になりますが、・・・。

樹液を出しているコナラもあって、雑木林の林床をサトキマダラヒカゲが飛んでいました。


哺乳類調査定点カメラ設置を済ませたので、谷戸の谷底部に移動しました。
ハンノキ林上の池は、ミニ洪水によって、濁りが消え、水は澄んでいましたが、水底の泥は増えて、一部の水面が消えていました。
今秋は、徹底した泥上げをしなければならないと思いました。

ハンノキ林西の池の水は保たれてはいましたが、堤体下部から水が漏れ出していました。
流入する水の量が多い間はいいのですが、減り始めたら、また、水漏れ補修を行っておいて、ここも秋には、泥上げをしなければならないと思います。

湿地地区は、ハンノキ林から引いている水路の途中から、水漏れを起こしていました。
これは予想していたことで、携帯スコップをリュックに入れてきましたので、土嚢をつくって、補修しました。
大雨続きで、流量は多いため、湿地地区内の水涸れはありませんでした。

夏草の繁茂は著しく、苗木畑が埋もれ始めていました。
大雨のせいか、暑さのせいか、昆虫の姿も少なく、ミンミンゼミが煩く鳴いていて、目の前に立っても気が着かずに鳴いていました。


湿地地区上の木陰のベンチで休んでから、田圃の状態を見に行きました。
田圃への導水路に泥が溜まって、木道下の通水のためのパイプが埋まっていましたが、水は木道下に水路をつくって流れていました。
そこで、導水路部の泥上げを行って、竹の枝を使って、パイプの掃除を行い、パイプ経由でも通水するようにしましたが、流量が多いため、パイプだけでは納まりませんでした。
この流量は一時的なので、減少した時に、パイプ経由になれば良いのですが、この時は、パイプにも流れていることの確認に留まりました。

上の田圃の上の段のイネは、かなり暴れていましたので、9月には、倒れないように手を入れる必要がありそうでした。
下の段は、穂先が重そうでしたが、倒れる様子はありませんでした。
周囲の草が同じくらいの高さで繁茂していることで、風の影響を受けなかったのかも知れません。

下の田圃でも、穂が目立つ状態になっていましたが、倒れそうな稲はありませんでした。
木道に近い方には植えずに、水面を広げておいたので、シオカラトンボや、オオシオカラトンボが、5〜6匹、群れていました。

近くのヤブマオが大きくなって、蕾をつけていました。

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