生田緑地の生物多様性保全活動

谷戸の水辺保全など
日時:2020/8/18(火) 9:40〜12:30 
場所 生田緑地 湿地地区(B05)、上の田圃地区(B06)
参加者 岩田臣生、岩田芳美

猛暑が続いているので、谷戸の水辺を観察して、問題があれば手を入れようと思って、生田緑地に来ました。
時間と体力に余裕があったら、周辺の園路沿いの樹木を観察したいと思っていました。
ピクニック広場東階段を降り始めたところで、階段の改修工事の施工範囲を示すために張ったテープが切断されていることに気が付きました。
誰が、何のために?

階段の手摺に、フキバッタがいました。
近づいても逃げようとしないので変だと思ったら、左の後脚がありませんでした。
フキバッタは翅が退化しているので飛べません。どうなるでしょうか。

ピクニック広場からハンノキ林へは、萌芽更新地区上側の自然探勝路を通って、自然観察を行いました。
ツリバナが若い実を垂らしていました。


ムラサキシキブは、まだ緑色の若い実をつけていました。

ヤマホトトギスやヒヨドリバナが咲き始めていました。


自然探勝路沿いの植物は繁茂して暴れていましたので、園内管理の職員が気にしていたのは、多くの植物が園路の通行の邪魔をしていることなのだろうと理解しました。
林縁のオトコエシは白い蕾を見せていましたが、樹林内のオトコエシはまだでした。
タチドコロが蕾をつけていました。


ハンノキ林の水流の源頭部は、アズマネザサが荒れた感じに繁茂し、大きな落枝もありました。
ウグイスが営巣するようなアズマネザサのヤブではなくなっていました。

園路から観た湿地地区にはツリフネソウが繁茂していましたので、水は涸れていないだろうと思って、のんびりした気持ちで入ったのですが、 竹林下から湿地地区に入れていた水流が大きな穴に吸い込まれて、消えていました。
穴が大きかったので、積んであった枯れた竹の枝を持って来て、穴の上に置いて、長靴で踏み込みながら、近くの泥をジョレンで寄せて踏み固めてみました。
しかし、気が付くと、身体の周りをまとわりつくように、黄色のハチが飛び回っていました。
気が付かずに、ハチの巣に、体が当たっていたのかも知れません。
瞬間的に、アシナガバチと思ったのですが、刺されてはいません。しかも、攻撃してくる様子がありません。
アシナガバチは、気が付いた時には刺されているものだと思っていたので、不思議に思いながら、観察すると、飛び回っていたハチは、皆、巣の辺りに戻って、やがて静かになりました。
そっと近づいて観察すると、ムモンホソアシナガバチのようで、アオキの葉の裏に張り付くような巣がありましたした。
春に、上の田圃下草地で出会ったムモンホソアシナガバチ(女王蜂)は、攻撃的な恐ろしい眼をして睨みつけてきましたが、 今回は、大人しくて、眼を合わせることもありませんでした。
水漏れ穴を塞ぐ活動をしていても攻撃してくることは無さそうなので、8/8(土) に残してあったイネワラを追加して、この場所の水漏れ補修を済ませました。



更に、湿地地区の中を調べると、1段目から3段目までの全域の水が消えていました。
水漏れ箇所を調べると、ハンノキ林から入って直ぐの所、8/8(土) に補修した部分の両隣辺りに、大きな穴が開いていて、水漏れしていました。
2 本の水流の大きな水漏れ穴を塞いだことに満足して、水域は広がるのを確認しないで上の田圃に移動しました。

やっと、上の田圃のイネが出穂していることを確認しましたが、下の段は小さな流れを残して、水が涸れていました。
水が干上がった泥の上には、アライグマの足跡が残っていました。
水は土嚢堰の下から漏れていたので、土嚢を外して見ると、マッカチンが3匹もいました。
隠れていたアメリカザリガニを駆除して、イネワラで水漏れを補修しました。



上の段は湛水していましたが、調べてみると、畦の外に水が漏水している所がありました。
近くの畦の内側に手を入れて調べると、僅かな水漏れを起こしていると思われる穴がありましたので、これもイネワラを使って塞ぎました。


田圃下草地の水辺も観察しましたが、熱中症が始まりそうな体調となったので、途中で止めました。
ミズタマソウが花や実をつけていました。

帰途につく前に、カキノキの下のベンチで休憩しました。
7/16(木) に、田圃上の草地のオギ、セイタカアワダチソウ、ヤマグワなどを刈ったので、谷戸の下の方からの風が吹いてくれていました。気温はと見ると、29.7℃でした。
梅畑広場には、キンミズヒキが咲いていました。
コブナグサも大きく育っていました。


ゆっくり周囲を観察しながら、園路にはみ出したアズマネザサなどを刈りながら帰りました。
園路には数ヶ所、環境省絶滅危惧II類、神奈川県絶滅危惧IB類のトキホコリが生えていました。
また、プランターで 30cm 程に育っていたトモエソウを 7/30(木) にピクニック広場に植えていたので、どうなったかを調べてみたら、移植後に成長、開花していたようで、実がついているものがありました。
神奈川県植物誌によれば、県内には広く分布するが個体数は多くないとあるオトギリソウの仲間です。
今回の試みからの判断では、園芸的な管理をすれば、増やすことは可能と思われました。



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