生田緑地の生物多様性保全活動

萌芽更新地区にヤマザクラ稚樹を補植
日時 2020/6/25(木) 10:00〜13:30
場所 生田緑地 整備事務所裏、萌芽更新地区
参加者 岩田臣生、岩田芳美

2018 年 5 月、活動中に地面に落ちていたヤマザクラの実を見つけて、いくつかを拾いました。
樹木の種子を発芽させる方法については、自然会議において、磯谷会長から資料を頂戴していたので、この種子を発芽させて苗をつくることを試してみることにしました。
ヤマザクラの実は、種子を取り出して、良く洗い、新聞紙に包んで、冷蔵庫で冷蔵保管することで、発芽し易くなると書いてあったと思います。
こうして冷蔵保管した種子を 2019 年にプランターに播種しました。
そしたら、4 月下旬には発芽し、成長し始めたので植木鉢に移植しました。
今年は更に成長していましたので、早く本植えしたいと思っていました。
大きくなってしまうと移植は難しくなると思いますので、雨上がりで濡れている雑木林で活動することにしました。
苗は、根の部分をイネワラで包み、気持ちとしては、土を落とさないようにして、イネワラには水を吸わせて、葉量は半分程に減らしました。
一旦、バケツに入れたものの、水の入ったバケツをいくつも運ぶことはできないので、背負い籠に苗のみ入れて、現地に運びました。
と言っても、何処に植えるかを決めてあった訳ではありません。
萌芽更新地区のオカスミレなどが咲いていた急斜面は、樹木が少なかったと記憶していたので、この辺りに補植してみることにしました。


しっかり濡れたアズマネザサなどを掻き分けて現地に入ると、枯木に大きなキクラゲが生えていました。

降雨に促されてか、植物の繁茂は著しく、植樹可能な状態ではありませんでした。
そこで、高木、低木などの影響を受けないと思われる場所の見当をつけて、その範囲に、ヤマザクラ稚樹の配置を考えて、アズマネザサ、ヤブミョウガなどの茂みを刈りました。
その周辺で木陰をつくりそうなムラサキシキブなどは、枝の剪定もしました。
それから、稚樹を植える穴を掘って、植えていきました。
試しの雑な作業でしたので、この中から、2〜3本でも生き残ってくれれば良いと思っています。
芳美は、今年もまた、ヤマザクラの実を拾っていましたので、来年も苗づくりを行うだろうと思います。






活動中、辺りには、ガビチョウの声に打ち消されながらも、キビタキの声が聞こえていました。
また、一時は、ホトトギスが斜面上の大きなコナラの梢で鳴いていました。
実生のオニグルミが入っていて、その葉上のシマサシガメを確認しようと話しながら見下ろしたら、 萌芽更新地区下のオニグルミの樹冠の表面に、雌花と思われる沢山の紅いものが見えました。 上から俯瞰しないと気がつかない景色でした。
また、腰を下ろして休憩していたら、泥だらけになったナナフシモドキ(成虫)が現れました。



濡れた梅雨期の木製階段の手摺には、沢山のアズキガイが出ていました。
なかなかダンディーなヒゲジロハサミムシや、ニホントビナナフシの幼虫、アトボシアオゴミムシの幼虫、脱皮殻を背負ったクサカゲロウの幼虫など、様々な小さな虫たちがいました。
この階段(通称、スロープ階段)は老朽化しているため、今冬には改修が予定されていますが、ここ数年の梅雨期の様子を見ていると、 この手摺の部分の傷み加減が丁度良いと思っている生きものがいることが分かります。
このような材は、単純に緑地外への廃棄を考えるのではなく、カントリーヘッジの材として、生きもののために再利用することを考えてもいいのではないかと思ったりしました。





※ニホントビナナフシ幼虫、アトボシアオゴミムシ幼虫については、今回も、茅ケ崎の岸さんに教えていただきました。

   かわさき自然調査団の活動
特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for nature Research and Conservation