ハンノキ林谷戸の水辺保全、セリバヒエンソウ駆除など 日時 2020/5/9(土) 8:50〜13:10 晴 場所 生田緑地 谷戸(ハンノキ林のある谷戸) 参加者 岩田臣生、岩田芳美 私たちが単に「谷戸」と呼んでいる谷戸は、ハンノキ林がある谷戸のことなので、「ハンノキ林谷戸」と呼称した方が特定しやすいかも知れません。 生きものの活動が活発になると水漏れ穴ができやすいので、ハンノキ林谷戸全域の水辺保全(水漏れ補修)、セリバヒエンソウ駆除などを行うことにしました。 湿地地区 B05 3 段目末端の池までは水漏れ穴は見つかりませんでした。 トウゴクヘラオモダカの種子から発芽したばかりの小さな芽を、少しだけ、2 段目に移植しました。 余りに小さいので、難しかったのですが、放っておいても、全ては育たないと思いますので、混みあっている所は移した方がよいだろうと考えています。 根茎から発芽した株からは花茎が伸び始めていました。 ミヤマシラスゲからはだいぶ遅れて、オニスゲが開花し始めました。 神奈川県植物誌によれば、県内では多摩丘陵や相模原台地周辺の休耕田や谷戸の湿地に多く、県西部では箱根仙石原に限られるとあります。 ハンノキ林谷戸においては、昔の植生調査では、ハンノキ林の林床にはオニスゲが繁茂していたらしいのですが、今は見られません。 照度、水などの条件によって、盛衰が影響されるようで、安定していません。 草地の部分には、ハルジオンが咲き出し、ヒメウラナミジャノメ、コチャバネセセリ、ホソヒラタアブ、シマアシブトハナアブ、イオウイロハシリグモなどが観察できました。 竹林下支谷戸 A08 復活させて保全しようとしている水流に水漏れ穴ができていましたので、補修しました。 上の田圃地区 B06 今回も、北東の角の水漏れ穴から、水が流れ出していたので、まず、これの補修を行いました。 田圃に居ついているカルガモが、補修した部分を突いてしまうためではないかと疑ってしまいます。 田圃下草地の池からは、水がオーバーフローしていなかったので、怪しい穴を塞ぐ活動を繰り返しましたが、浸み出している箇所を特定できません。 どうすれば止められるのかと考えあぐねていたら、シオヤトンボ(メス)が飛んで来て、目の前で、産卵行動を始めました。 このような光景を見させられては、水が涸れないように何とかしなければと思わずにはいられません。 この池から下流のオギの群落までの水路沿いのイネ科植物の草刈り、水路の水漏れ補修も行いました。 その後、田圃の畔で休憩しましたが、クロハネシロヒゲナガがフワフワと飛んできました。 この日も、木道には、絶え間なく、来園者が通っていました。 マスクをしないで大声で会話する人、「気持ちいいね」と叫びながらランニングをする人がいました。 シオヤトンボをシオカラトンボだと、得意げに説明するお母さんの大きな声も聞こえてきました。 セリバヒエンソウ駆除 萌芽更新地区下の園路沿いは何度も駆除していますが、セリバヒエンソウの花が咲いていました。 谷戸の降り口から萌芽更新地区下にかけては、オカタツナミソウが開花し始めました。 オカタツナミソウは、福島県以西の本州〜四国に分布し、県内では普通であり、生田緑地でも普通に見られますが、普通に見られる状態が保全されることが大事だと思います。 近年、萌芽更新地区の裾部のアズマネザサ刈りを毎年実施できるようになったことで、この辺りのタチツボスミレやオカタツナミソウを楽しめるようになったと思います。 よく見れば、ツボスミレ、エナシヒゴクサ、フタリシズカなども咲いています。 エナシヒゴクサは、神奈川県植物誌によれば、河原や沖積地の樹林内などに生えるが、ヒゴクサに比べて少ないとあります。 生田緑地は多摩丘陵ですが、持ち込まれたものではないと思います。 草の葉上には、ヤマトシリアゲ、クロムネハバチなどが見られる季節になりました。 ピクニック広場周辺 A05 帰る途中、伸び始めたトモエソウの周囲の草刈りを行いました。 谷戸の降り口付近で、観察できるように保護していたハンショウヅルは、今年、ツルの先端部を摘み取られることもありましたが、何とか花が咲きました。
かわさき自然調査団の活動
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