生田緑地の生物多様性保全活動

飯室山南地区の雑木林に侵入したモウソウチク除伐
日時 2020/5/7(木) 10:00〜13:00 晴
場所 生田緑地 飯室山南地区
参加者 岩田臣生、岩田芳美、鈴木潤三、田村成美

生田緑地の飯室山南地区 (A14) には、皆伐更新地区があり、伐採後 10 年目の若齢コナラ林が育っています。
生田緑地の伐採更新は、1998 年末に、国庫補助事業によって伐採した「萌芽更新地区」が第一例ですが、樹林を伐採したことに対してクレームが殺到したと聞いています。
しかも、その伐採更新は、萌芽更新を繰り返す里山の樹林を観察できる場所をつくるという目的でしたから、萌芽更新しつつあった伐り株の全てが枯れたことで失敗であったと、 生田緑地植生管理協議会市民部会において話し合われました。
そのような話し合いが行われた 2009 年頃に、新たな伐採更新の実験として計画したのが皆伐更新地区でした。
伐採更新によって、若齢林をつくりだす技術が、生田緑地の自然を保全するために必要なことだという認識から、伐採更新の成功体験が必要であると考えていましたので、 新たな伐採更新の実験を目立たない場所で実施することを話し合い、この場所を選定し、近隣の事例調査も行い、2010 年末に伐採し、2011 年から更新管理を行ってきました。

皆伐更新中は樹林を育てることを優先して、保護することの無かった草本類でしたが、区域が若齢林と呼べる状態になったので、今後暫くは、草本類を楽しむ管理も行えると思います。
また、生田緑地の雑木林は老齢化しているため萌芽更新はできないと言われたコナラ林でしたが、2010 年末に伐採された皆伐更新地区のクヌギ 1 本、コナラ 1 本は弱弱しいながらも萌芽更新して、生き残っています。
後 5〜6 年もすれば、再び、伐採更新を考えることになると思いますが、それまで生き続けてくれそうです。


この皆伐更新の活動は、自然に発芽した実生をアズマネザサなどから守って育てるという根気強い戦いになり、しかも、それが 7 年はかかるだろうと考えられました。
そこで、子どもたちとそのお母さんを中心にした里山倶楽部Aという仕組み(チーム)を新設して、毎月活動してきました。
毎月、この場所で活動していたので、この地区の周囲に侵出していたモウソウチクが気になっていました。
しかし、モウソウチクは太くて重く、しかも斜面は急勾配でしたので、手軽に除伐できるものではありません。
都市公園のレクリエーションとしての里山倶楽部の活動としては、重すぎる活動だと思いました。
それでも、2014年11月15日の里山倶楽部において、第一回のモウソウチクの除伐を行い、その後も毎年継続しています。
今年も、4月19日(日)の第 2 回里山倶楽部で実施しました。
その際にも、見つけたタケノコは全て除伐しました。

しかし、2 週間以上が経過した今回は、見落としていたものや、その後出てきたものなどが大きく育っていました。
竹になって枝葉を広げたモウソウチクを除伐するよりも、高さ 7〜8mに育っていても、竹になる前の方が、除伐ははるかに楽です。
そこで今回は、タケノコを伐倒する活動を行いました。
アズマネザサが繁茂していたため、アズマネザサ刈りをしながらの除伐となった場所もありました。
多分、60〜70 本を伐倒することができたと思いますので、竹の除伐に比べて、コスト・ベネフィットは良かったと思います。
野鳥の繁殖期ではありますが、伐倒したタケノコが倒れる音はあったものの、3〜4人の機械を使わない半日の活動ですから、大きなダメージにはならないでしょう。
キビタキの麗しい声が響いていました。






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