生田緑地の生物多様性保全活動、

谷戸の水辺保全管理
日時 2019/8/16(金) 12:30〜14:30 晴 29.5℃
場所 生田緑地 ハンノキ林西の池(A07-05)、竹林下水流地区(A08)、湿地地区(B05)、上の田圃地区(B06)、下の田圃地区(B07)
参加者 岩田臣生、岩田芳美

超大型台風として数日にわたって気象情報を賑わせていた台風10号は、四国から中国を縦断し、日本海を北上しました。
台風一過の晴天とはなりませんでしたが、この日は、建設緑政局指定管理者選定評価委員会緑政部会(生田緑地)審議会が青少年科学館で開催されましたので、傍聴させていただきました。
昨年度の生田緑地の指定管理者の評価を行った報告を審議するものでした。
会議資料はいただけませんでしたので詳細は不明でしたが、3 博物館の管理状況の評価が殆どで、生田緑地ビジョンに謳った協働のプラットフォームによる生田緑地のパークマネジメント という視点での評価については行われなかったと受け止めました。
特に、広報、情報発信については協働のプラットフォームという視点での評価項目すら無かったのではないかと思いました。

中央広場に植栽されているスダジイ(次の写真)、マテバシイなどがドングリをつけていました。

□ハンノキ林上の池(A07)
今まで 15 年間の経験では、大雨の後の池の水は澄みきっているものなのですが、この日の池は濁っていました。
最近、10cm超の魚が数尾、泳いでいるのを観ていますので、このような持ち込まれた生物の影響かも知れません。

□ハンノキ林西の池(A07) 
先日の手入れ後、水位に変化は無いようです。

□竹林下の水流(A08)
先日補修したつもりでしたが、充分では無かったようで、塞いだはずの場所から水漏れして、水溜まりになっていませんでしたので、改めて、水溜まりづくりを行いました。

□湿地地区(B05)
植物の繁茂が著しく、水路の位置すら判断できない状態になっていました。
竹林下からの水流が入口の橋の下で水漏れを起こしていましたので、これを塞ぎました。


□上の田圃への導水路 
木道から観て、水路の畔に穴があるように見えたので、これを塞いで、泥上げも行いました。
泥上げのジョレンに、シオヤトンボ?のような小さなヤゴが掬えてしまいました。

□上の田圃地区 (B06)
谷戸の田圃は 6〜7 月の低温と日照不足のために、イネの成長が進んでいませんでした。
都市公園における俄か百姓を始めて 15 年、テレビの天気予報を見る度に、若いアナウンサーの都会生活者的発言に不満を感じるようになっています。
今年は稲刈りすらできないかも知れないと心配していましたが、この日の田圃のイネの状態を見て、何とか形だけでも稲刈りはできそうだと胸を撫で下ろしました。
まだ開花している様子ではありませんが、出穂しているイネが増えていました。


谷戸の田圃は、所謂、公園らしい公園では見られない、川崎とは思えない、昔懐かしい日本文化を感じさせる景観、 心が和む里山らしい景観をつくりたいと考えています。
ただ、同時に、生きもののための田圃でもなければならないと考えています。
米作りだけを考えるなら、「この時期には、田圃の水は落として、中干をしなければ駄目だよ」と言われてしまうのですが、アメリカザリガニ以外の水域にいる生物のために通年湛水としています。
対策としては、田植えの時に、畦から 1mは離して植えておいて、出穂したら田圃中央部の水を落としても畦沿いの水路部には水があるという状態にしようとイメージしてはいますが、 なかなか思うようにいきません。
今夏のような暑さでは、木陰の無い木道を歩くのは楽しくはないと思います。
散策を楽しむ人の姿は殆ど見られません。

田圃下草地のカナムグラ刈りも行いました。

キマダラカメムシが飛んで来て、体にぶつかって、木道上に落ちました。
このカメムシは、江戸時代に長崎県の出島に入ってい来た東南アジア原産の外来種で、少しずつ生息域を拡大し、最近、神奈川県内でも見つかるようになりました。

木道脇のヤマグワの枝に、クワカミキリを見つけました。
クワやイチジクの農家にとっては害虫になりますが、生田緑地においては問題になりません。
出会いを楽しめる、体長 4cm 前後の大型昆虫です。

ノカンゾウは蕾を複数つけるので、かなり長期間楽しめますね。
夏はノカンゾウ、初秋はツリフネソウが優先されるような管理がされても良いと思われます。


□下の田圃地区 (B07)
下の田圃のイネは綺麗に並んではいませんが、出穂が始まっていました。

木道沿いのカナムグラ刈りも行いました。

木道の上に、オオモンクロベッコウを見つけました。
イオウイロハシリグモを狩って運ぶところを撮影したかったのですが、体を木道上に擦り付けるようにして寝ようとします。
近づくと飛び立つのですが、直ぐに戻ってきて、同じ行動を行っていました。何をしているのでしょうか。不思議です。


帰り道、ハンノキ林を通ったら、昨年、カシノナガキクイムシの穿孔が確認されて、殺菌剤を注入したコナラが、誰にもナラ枯れと分かる状態に枯れていました。
カシノナガキクイムシは在来昆虫ですから、これも自然の営みの一場面ではありますが、・・・。

   かわさき自然調査団の活動
特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for nature Research and Conservation