生田緑地の生物多様性保全活動

湿地のヤブの刈り取りなど

日時 2017/4/4(火) 10:00〜13:00 晴
場所 生田緑地 湿地
参加者 岩田臣生、岩田芳美、鈴木潤三、田村成美、細川洋子

4月になりましたので、湿地のアズマネザサ、ヤマグワなどのヤブを刈り取ることにしました。
この湿地は、昔は稲目谷戸の一番奥の田圃だった場所で、ハンノキ林という自然林の下(北側)に位置しています。
水田ビオトープ班が、生田緑地の谷戸の自然を再生・保全する目的をもって、本格的に活動を開始した場所です。
その活動の目標は、生田緑地から消えてしまった水辺の植物(絶滅危惧種)の復活・再生でした。
乾燥した土地になってしまっていた当該地を湿地にする活動は容易ではありませんでしたが、今では、目標とした植物が生育し、シオヤトンボも棲息する水辺になっています。
この湿地の下(北側)は某団体が畑として利用していますが、その境界部分、湿地の 3段目の半分ほどは、ヤマグワ、オギ、アズマネザサなどが繁るヤブとして管理することで、 畑側の活動による影響を緩衝することになると考えています。
谷戸の各所で、地上部が枯れたヨシやオギなどを、冬の間も刈らずに残しているのは、アオジなどの野鳥が身を隠すことができる繁みとして活用してもらえると考えてのことです。
春からは、水辺の昆虫類が主役になる季節だと思います。4月中旬までには、水辺に入ってヤブを刈り取るような活動は済ませておきたいと思います。

湿地 3段目
この日の一番の目的は、湿地3段目のヤマグワ、アズマネザサ、オギなどの刈り取りです。
毎春刈っているのに、太さが 3cmにもなるヤマグワが生えてくるのは驚きです。
水辺には、タネツケバナ、ケキツネノボタンなどが咲いています。
また、早くも、ツボスミレが咲き始めていました。



湿地 1段目の木道付近
湿地の縁辺部にシロヨメナが群生する場所がありますが、放置するとアズマネザサが繁茂してしまい、シロヨメナを楽しめないことになります。 そこで、アズマネザサを刈っておきます。


湿地 1段目の東南側の水流沿い
湿地3段目のヤブの刈り取りは毎年実施している活動です。 ある程度進んだところで、後は任せて、東南側、昔、四阿があった場所に近い、水流沿いのアズマネザサ刈りに取りかかりました。
高く伸びたアズマネザサは、ホタルの季節には、邪魔になります。
今のうちに、刈っておきたいと思いました。
フッキソウが広がって、花を咲かせていました。
キタテハが春の陽光を楽しんでいました。 時折、近くに飛んできたスジグロシロチョウ、キタテハを一回り大きくしたようなチョウを追い払っているのを見ると、気が荒いチョウなのかと思ってしまいます。


湿地 2段目と3段目の間のススキやヤマグワなどの刈り取り
湿地 3段目のヤブの刈り取りを終えて、次は、ここだろうと、湿地 2段目の端のススキやヤマグワなどの繁みの刈り取りを始めてくれました。
こんな場所でも、様々な実生が成長してきます。 昔の田圃だった頃をイメージして、思い切って刈った方が良いと思うのですが、いつの間にか少しずつ大きく育っているようです。


予定の湿地3段目のヤブの刈り取りを終えて、別の場所の活動を始めていましたが、この日の活動は終了することにしました。



生田緑地のスミレなどのモニタリング

日時 2017/4/4(火) 13:00〜15:00 晴
場所 生田緑地 中央地区
参加者 岩田臣生

谷戸の湿地の水辺保全活動の後で、生田緑地のスミレ等の状態を観察しておくことにしました。
生田緑地にとって大切だと考えている場所については、盛衰を把握しておくべきだと思います。
ただ、本来なら生育個体数を調べるのだと思いますが、それは難しいことが多いので、花の数を調べて状態の良否を判断しています。
植物班に協力して保護活動を始めた場所のスミレは、今年は園路に近い方が良好で、奥の方は開花時期が早かったのか、花の数は少なく、当該地区全体では 91 でした。
この数字は例年と同様なのですが、分布には変化が見られました。
別の場所で同種とされているスミレは、今年は花が多く、49を数えました。驚きです。
七草峠地区で保護管理しているヒゴスミレは、実に、300の花を数えました。
スミレ類にとっては、良い条件に恵まれたのかも知れません。

   かわさき自然調査団の活動
特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for nature Research and Conservation