生田緑地の生物多様性保全
【2017/2/2 更新】
ハンノキ林の保全(南端部のアカメガシワ伐倒)

日時 平成29年(2017) 2月2日(木) 10:00〜13:00
場所 生田緑地 ハンノキ林
参加 岩田臣生、岩田芳美、鈴木潤一、田村成美

ハンノキ林に到着した時に、クロジがアズマネザサの繁みの縁にいました。
クロジは、生田緑地では、冬に観察できます。
神奈川県では、繁殖期が絶滅危惧T類、非繁殖期が減少種とされている野鳥です。
大きなカメラを構えたバード・ウオッチャーが二人、夢中でシャッターをきっていましたので、一言断って、現地に入りました。

ハンノキ林の更新については、平成18年(2006) 12月に植物班の協力を得て毎木調査を行い、 ハンノキが少ない南端部に繁茂していたヤマグワ、アカメガシワ、アオキなどを除伐し、ここをハンノキが育つ環境にすることから始めました。
先ずは、ヤマグワ、アオキなどのヤブを除伐し、林内を湿地化するための水流をつくり、ハンノキの幼木を移植してみました。
しかし、ハンノキの幼木が育つためには明るさが充分ではなく、また、蛾や、ハバチ、甲虫幼虫などに傷めつけられ、5本中3本が枯れました。
残った 2本も、湿地に後から発芽した実生に比べて、成長は非常に遅いものでした。
原因は明るさ不足なので、付近に形成されていたアカメガシワの林を除伐することにして、毎冬、数本ずつ除伐してきました。
今回は、中でも一番大きかったために後回しにしてあったアカメガシワ 1本を除伐することにしました。

除伐なので、弱らせないようにとか、切断面を綺麗にとかは考える必要はありませんが、木道側には倒さないようにしなければならないと考えました。
そのために、伐り始める前に、ロープを張っておくことにしました。
しかし、これが容易ではありませんでした。
ロープを掛けるのに良さそうな場所は一つでしたが、問題は、どのようにして、ロープを掛けるかです。
方法も含めて、任せてみたところ、スズランテープの先にペットボトルをつけて、枝分かれした部分に投げ入れるという方法を何回も試していましたが、一向に届く様子がありませんでした。
ロープを直接、放り投げる方法も試してみましたが、全く届かないことが分かりました。
そこで、竹林から枯れ竹を伐り出してきて、これを使ってロープを掛けました。
このドタバタのせいかどうかは分かりませんが、バード・ウオッチャーの注目を集めてしまいました。

このアカメガシワの幹は僅かに木道側に傾いていましたので、絶対に木道側に倒れることの無いように、ロープを張って、倒れ始めには強く引かなければならないと思いました。
しかし、当該アカメガシワの重量を考えると、この日の参加者だけでは不安でした。
そこに、偶々、付近で、スギの伐採と片付けをしていた業者さんが、「手伝いましょうか」と声をかけてくれました。
そろそろ、倒れる頃合いだったので、既に張ってあったロープを引っ張ってもらいました。
そのため、木道側に倒れる心配は無くなり、忽ち、伐倒してしまいました。

後は、片付けですが、伐倒するまでに時間をかけてしまいましたので、ザッと枝落としを済ませたところで、この日の活動を終えることにしました。
この場所であれば、暫く放置しても、問題ありません。
残りは、次回にまわすことにしました。

このアカメガシワの切り株の形は異様でした。


この日は、ヤドリギ調査のために来園した藤間X子先生に、萌芽更新地区の伝統的里山管理のための樹木伐採について相談し、伐採しない方が良い樹木があるかどうか、調べていただきました。

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