生田緑地の谷戸の自然保全活動




ポスター掲示、水の管理など
日時 2012/7/22(日) 10:00〜13:30 曇時々霧雨
場所 生田緑地稲目谷戸
参加者 岩田臣生

萌芽更新地区
昨日の里山倶楽部Bの活動時にツルニンジンが無残にむしり取られていたことから、このことについてのメッセージを現地に掲示することにしました。
最近、アズマネザサの新芽を摘んで園路に転がしてあったり、液体の入った袋が木道脇の樹木に吊るしてあったり、木道沿いのヨシが折られていたりしていて、 それらが全て私たちがやったことだと思われているということを、ある人から教えられました。
私たちは、生田緑地の生物多様性保全を推進する一方、歩いていて気持ちがいいと感じるような里山らしい景観づくりを進めています。 この袋は何となく気持ち悪くて触る気になれなかったものです。 この方の話を聞いてから、この一連の出来事は、私たちの活動の邪魔をしようという意図によるものではないかと思えてなりません。 生田緑地の魅力を下げることになるとは考えないのでしょうか。 まあ、思い過ごしであってほしいと思います。
普段は園芸的な植生管理はしていませんが、ここのツルニンジンについては、皆が花を楽しめるように、他の夏草に負けないように少し手をかしてあげていました。 むしりとるようなことをする理由がありません。
そこで、この事件についての「お知らせ」と「お願い」の二つのメセージを現地に掲示しました。

この「お願い」については、付近で盗掘を受けたりしている2ヵ所にも設置しました。


それから、萌芽更新地区の中の倒れていたヤマユリに支柱を添えることにしました。
区域内は、アズマネザサのほか、様々な実生、ヒヨドリバナなどが1m以上の高さに繁茂していて、歩くのは容易ではありませんでした。 昨日、見かけたイチモンジカメノコハムシの幼虫が、また見られました。 こんな季節の生物調査もしておく必要があるかも知れません。
残念ながら一番大きなヤマユリは折れていましたが、咲く可能性にかけて、一応支柱を立てておきました。 このほかにも5本のヤマユリに添え木をしました。

雑木林の林床で作業をしていると、次々にやってくる来園者が掲示したばかりのポスターを見て、 「ここにジイソブがあったんだって。」、「こんな酷いことをする人がいるのね。」、「○○にもあるけど、あすこでは・・・」 などと話している声が聞こえてきました。

湿地
次に、湿地にいきました。 雨の後の水流の確認です。
前回(7/18)に補修した水路の部分に拳大の穴が開いていて、水はそこに吸い込まれていました。
前回は3mぐらいの区間という幅がありましたが、今回で問題箇所が1点に絞られました。 次回以降の活動でしっかり改修したいとおもいますが、この日は応急的に穴を塞ぎました。
水域は若干水位が下がっている所もありましたが、涸れている所はありませんでした。
アキノタムラソウが紫色の花を咲かせています。
オオシオカラトンボが水辺を縄張りにしています。


上の田圃
上の田圃では、導水路に落葉がたまって流れを悪くしていました。 でも、田圃は雨を受けて、水を湛えていました。
大部分の稲は分蘖(ぶんけつ)も進んでいます。 補植用の苗は不要になりました。 水路を塞ぐ形になっているので、半分ほどを下の段に移動してみることにしました。 根はしっかり張っていて、抜き取るのは大変でした。
下の田圃に植えてみると大きさの違いが歴然としていました。 大きなアメリカザリガニが1匹いました。
上の田圃のマメゲンゴロウは更に増えたようで、ウジャウジャいました。

下の田圃周辺
下の田圃の水は問題ありませんでした。 稲も、周囲の草も育っています。 田圃雑草を少し間引いた方が良さそうです。
田圃の周囲には上陸して間もないシュレーゲルアオガエルがいました。


やはり、木道沿いのヨシが折られているのが気になります。 ヨシにからんだコバノカモメヅルも一緒に切られていました。
オオミゾソバの群落を広げるイメージでヨシを刈り取ることにしようと思います。 ヨシの茂みを生息場所にしている生物もいるので必要以上に刈ることはしません。

コバノカモメヅルは、ガガイモ科カモメヅル属の蔓性多年草で、7〜9月に写真のような星形の花を咲かせます。
本州の関東地方、中部地方、近畿地方の山野の湿性草地や湿地に自生する植物です。 神奈川県では普通に見られ、生田緑地でも普通に見られますが、個体数としては少ない植物です。 また、生田緑地で見られるガガイモ科の植物は ガガイモ、コバノカモメヅル、オオカモメヅルなどです。


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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation