生田緑地の谷戸の自然保全活動

【里モニ】水環境調査、アメリカザリガニ駆除、草刈り
生田緑地の谷戸の湧水は危機的?


日時 2010/8/29(日)10:00〜12:30 晴
場所 生田緑地の谷戸
参加者 岩田臣生、岩田芳美、佐藤利奈、安達翔平

8月は暑さに負けて谷戸の保全活動は休んでいました。約1カ月ぶりの活動です。
キツネノマゴが広がり、チョウやハチの仲間が吸蜜にきています。


岩田は水環境調査を行い、他の3人はアメリカザリガニの駆除や田圃周りの草刈りを行いました。

水環境調査@ヨシ原の池 10:25〜10:35
カサスゲやヨシを刈って道をつくりながら池に辿り着きましたが、ヨシ原の池は完全に干上がって、底にヒビが入っていました。調査不能です。

水環境調査Aヨシ原付近の流れ 10:35〜10:50
中央の水流は殆ど流れておらず、計測地点では堰の壁を濡らすのみで、流量の計測は不可能でした。
水路内に溜まっている水を調べました。
気温 31℃、水温 24℃、透視度 20cm、BTB 7.2、流量 微量


水環境調査B下の田圃の奥の流れ 11:00〜11:30
調査地付近の草刈りをしたところ、水は底土の表面を幅5〜6cm、深さ数ミリ程度で浸しているという感じでした。
流れを替えて、草刈りの範囲を広げて、計測する気にはなりませんでした。
こんなに少ない状態は初めてです。
気温 32℃、水温20℃、透視度 不能(水を汲めなかった)、BTB 6.5、流量 微量

下の田圃の中に、田圃であったことを語るかのように、野生化したイネが穂を伸ばしています。

ゲンノショウコが咲いていました。


水環境調査C上の田圃への導水路 11:35〜11:50
この水路は辛うじて流れていました。
周囲の草を刈って、水路の補修をしてから調査しました。
気温 31.5℃、水温 23℃、透視度 18cm(補修後の時間が短かった)、BTB 7.4、流量 0.05L/sec.


水環境調査D湿地再生地の池 12:00〜12:10
草刈りをして辿り着いた池の水は涸れていました。 調べてみると湿地の全域の水域が干上がっていました。 定着してきた水辺の生物はと考えると胸が痛くなります。

アゼガヤツリセンニンソウが咲いています。 水草を除く植物にはまだ影響は出ていないようですが、水生生物は逃げ出したか、死んだか、湿った泥の中で必死に耐えているのか。
水流は区域に入ったところで消えていました。


水環境調査Eハンノキ林上の池 12:15〜12:25
水は相変わらず濁っています。湧水は殆ど出ていないように見えます。
気温 32℃、水温 25.5℃、透視度 10cm、BTB 7.2

今夏は雨が殆ど降っていません。 谷戸の湧水は極めて少なくなっています。 ここまで少なくなったのは、活動を始めた2004年以降では初めてのことです。 ホタルをはじめとする谷戸の水生生物は生き残れるのでしょうか。 気になります。


●上の田圃のアメリカザリガニ駆除
田圃の隅に残った水溜まりに小さなアメリカザリガニが集まっています。
こんな所では共食いが始まっています。
こんなアメリカザリガニを捕食しているのか、タヌキやイタチの足跡が柔らかい泥の表面に残っています。
採集するには効率的なので、網ですくいました。

アメリカザリガニ駆除も草刈りも、重要な活動です。
どういう場所に、どんな生き物がいるのか、田圃の周囲にはどんな植物が繁茂しているのか、現地で自分の五感を使って理解することが大切だと考えています。
少なくとも2週間に1度、状態を観察していると、植物の群落の競合関係が見えてきます。
同じ水辺でも、田圃は特殊な水辺環境です。 また、再生した田圃ですから、活動によって多少負荷を与えることがあっても許容されると思います。 そんな田圃で学習を積んでほしいと思っています。
 アメリカザリガニ 大3、中21、小150、合計174

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation