生田緑地の谷戸の自然保全活動
谷戸の生物と水環境の調査

日時 2009/5/9(土) 10:00〜14:30 晴
場所 生田緑地
参加者 岩田芳美、尾形達也、神山歩未、毛部川弘行、田中 渉、雛倉正人、岩田臣生

止水域の生物調査を再開することにしました。 合わせて、なかなか実行できずにいた水環境調査を一緒に行う方法を試すことにしました。 これが上手くいくようなら毎月1回のペースで水環境調査を継続することができそうです。
そろそろ水生生物も活動を始めているだろうという期待からでしょうか、今回は7人で活動することになりました。 まず、谷戸の一番下のヨシ原まで降りて、調査をしながら上流に上がっていくことにしました。


1)ヨシ原の池
ここは昨年小さな池をつくって調査を始めたところです。昨年はアメリカザリガニによって、当初いたミズムシも、オタマジャクシも、トンボのヤゴも、 そして試験栽培のイヌタヌキモも、皆食われてしまいました。
今年は開放水面の面積を3〜4倍にしました。4月にはカルガモがやってきましたので、防鳥ネットと防鳥テープを張りました。 アメリカザリガニ・トラップも仕掛けました。
気温23.7℃、水温18℃、PH6.4(BTB)、透視度100cm
(水域)アメリカザリガニ 4〜8cm 7匹、ユスリカ幼虫、ミズムシ、マメゲンゴロウ、シュレーゲルアオガエル卵塊
(周辺)メミズムシ、イネクロカメムシ、ミイデラゴミムシ、オオシモフリコメツキ、イチゴハムシ、クビキリギス、ヒメギス幼虫、ヤマサナエ、シオヤトンボ
マメゲンゴロウ

2)中央水路末端部
ここは、ヨシ原の池に近い水路の末端付近です。 北部公園事務所が水流の水量計測のための堰をつくってくれました。 水路自体は2004年3月に造成されたものです。
水温15℃、PH7.1(BTB)、透視度100cm、水量1.52L/sec.
(周辺)ヒダリマキマイマイ、ガガンボ類♀


3)下の田圃
2004年に再生した田圃で生物調査は田圃の水域で行いました。水環境調査は田圃に流入する水流について行いました。
気温27℃、水温16.5℃、PH6.5(BTB)、透視度100cm、水量0.51L/sec.
(水域)ホトケドジョウ、シュレーゲルアオガエル幼生、シオカラトンボ型ヤゴ
(水面)オオアメンボ、ヒメアメンボ
(周辺)クビキリギス、イネクロカメムシ、キアシヌレチゴミムシ、ヒメギス幼虫


4)上の田圃下の池
ここは、昨年、上の田圃の排水を受ける池として簡単な水溜まりをつくったところです。 水漏れが甚だしく、上の田圃の水が止まると水が涸れるという状態でした。 ただ、イトトンボのヤゴ、クロセンブリの幼虫などが観察され、上の田圃から様々な生物が流されていることが分かりました。
今年は3倍程に広げました。ただ、水漏れは相変わらずです。また田圃からの土砂の流入も多いところです。
水温18.5℃、PH7.4(BTB)、7.4(PR)、透視度70cm
(水中)アメリカザリガニ 2〜7cm 3、マメゲンゴロウ、ミズムシ、シュレーゲルアオガエル幼生、アズマヒキガエル幼生
(水面)ヤスマツアメンボ、ヒメアメンボ
(地面)ケラ、サワガニ
(空中)クロスジギンヤンマ♂、シオヤトンボ♂


5)上の田圃
ここは稲のある間は調査対象にはならないかも知れませんので、数カ所、畦から縁を手網で掬って調べる程度としました。
気温27.5℃、水温15℃、PH7.0(BTB)、透視度58cm、水量1.61L/sec.
(水中)アズマヒキガエル幼生、マメゲンゴロウ(10以上)、アメリカザリガニ2〜7cm 7、ホトケドジョウ 2〜4cm 4、サカマキガイ 3
(水面)ヤスマツアメンボ、ヒメアメンボ、ヒメイトアメンボ
(地上)シュレーゲルアオガエル
(空中)ヤマサナエ、シオカラトンボ

竹林
10:10〜、尾形はホタル・ランタン用にモウソウチクを伐採していました。


6)湿地
湿地は昭和30年代には田圃だった場所で、一番上から1〜3段目と呼んでいます。 今年、1段目と2段目に浅い水域をつくりました。 3段目の水域はアメリカザリガニの駆除ができていません。 ここのどこかにアメリカザリガニ・トラップを仕掛けておかなければなりません。
水環境調査は3段目の末端の池で行いました。生物調査は各段で実施しましたが、結果は一緒にしました。
気温27℃、水温16℃、PH7.2(BTB)、透視度100cm
(水域)ホトケドジョウ、オニヤンマ幼虫、クロセンブリ幼虫、アメリカザリガニ 7cm×3、1〜2cm×多数
(周辺)クロスジギンヤンマ、シオヤトンボ、ヒゲナガハナノミ、クロハネシロヒゲナガ、カツオゾウムシ、ナナホシテントウ、ミドリシジミ幼虫
カツオゾウムシ ヒゲナガハナノミ
集合写真 13:14〜13:15


7)ハンノキ林上の池
ここには昨年秋からアメリカザリガニ・トラップを仕掛けています。 生物調査はデッキから手網で掬える範囲でのものです。 里山の自然学校で行っている生物調査では、池の中に入って採集しています。
気温23.5℃、水温16.5℃、PH6.6(BTB)、透視度100cm
(水域)アメリカザリガニ 3〜8cm×11、ヌカエビ 多数、メダカ 1、オオアメンボ
オオアメンボ

   かわさき自然調査団の活動
特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation