田圃管理
日時 2004年7月4日(日) 12:30〜14:30
場所 生田緑地下の田圃
参加者 岩田臣生、岩田芳美
生田緑地内の沢の水量が減っている。生田緑地の湧水の量は変動が大きいと聞いていたが、こうして毎週の様に調べていると、よく分かる。
野鳥の森の水流にはホトケドジョウがいると聞いて、見に行ったのだが、水深が1・程度になっており、ヤブ漕ぎして調べたが、ホトケドジョウを確認することはできなかった。
ホタルの里を流れる沢の水量も少なくなっている。池への水路も枯れている。池の中には、ホトケドジョウが数匹(4〜5・)いた。オタマジャクシもいるが、これは以前のとは違うカエルのオタマジャクシの様だ。取水口の堰を直して、水が入る様にした。カワニナ、サワガニ、ホトケドジョウを確認した。
田圃側の沢では、上の取水口には水が見えない。泥の溜まりと化している。下の取水口には僅かに流れがあるが、田圃に流れ込んではいない様だ。水位差がなければ、流れが生じないのは当然だが、田圃の水温が上がっているのが気になる。ホトケドジョウも、オタマジャクシも、(写真2)の様なコナギや、イボクサの繁みに隠れる様に集まっている。奥の方は、いくらか水温も低いのだろうか。しかし、大きめのホトケドジョウは、姿が見えない。畦から見つけられるのは、1cm程度のものばかりだ。コミズムシが水底と水面を往復している。
田圃の奥に咲いていたヤブカンゾウが散りかけている。替わりに、ヤブミョウガが白い花をつけて、木陰を明るくしている。
オオシオカラトンボ♂は相変わらず元気に飛び回っている。時々、♀が飛んできて、水面を尾で叩いている。
暑い。
田植えから38日が経った。イネは順調に伸びていると思う。
虫は、と見ると、(写真2)の葉の重なり合った中に、小豆粒の様な蛹が2つ入っていた。
イネの葉陰を、イトトンボが飛んでいる。アジアイトトンボと思ったが、水面近くをスーッと飛んで見えなくなった。この田圃にもイトトンボがやってきたのだ。初確認である。
畦の草が、また伸びている。横山さんの畑との境の畦は、歩くとズブズブと沈む様になった。
通りがかりの老年の夫婦が、「ホタルはまだでていますか」と聞くが...。
田植え後 38 日経った 7月 4日の田圃である。
田圃の奥である。左側が畦で、ヒメシダが繁っている。右はイネ、上がミカドガガンボのために保全した場所である。ここには、ヨシ、ヒメガマ、チゴザサ、セリ、イボクサ、コナギなどが繁っている。この日、オタマジャクシや、ホトケドジョウは、こんなところに遊んでいた。
《ちょこっと聞きかじり》 1
イチモンジセセリとヒメジャノメ
藤沢にお住まいの岸さんが、前号の「イネの害虫たち」について、「イチモンジセセリとヒメジャノメだよ」と教えてくれました。岸さん、有り難うございます。
イチモンジセセリは、田植えの直後から、イネに戯れていた。葉にとまると、葉が垂れて、体が水面に触れるか触れないかというところで、飛び立って、また次の葉に...という具合に。私は、何をしているのだろうと思いながら、ただ観ていた。
このイチモンジセセリの幼虫を、農家はイネツトムシと呼ぶ。稲作にとっては害虫である。農薬が使われる様になって、別のイネ科植物を食草にしている様だ。生田緑地全域で見られる蝶である。
ヒメジャノメの幼虫の食草としては、イネ科13種、タケ類5種、カヤツリグサ科8種などが記録されていると、中山周平先生の著書「野や庭の昆虫」にはある。
明るい草地や林縁を好んで生活している蝶で、生田緑地全域で見られる。
《ちょこっと聞きかじり》 2
コナギ Monochoria vaginalis Presl みずあおい科ミズアオイ属
6月26日に田圃一面に広がった雑草(?)を取ったが、植物班からの連絡で コナギ だということが分かった。
コナギの他、前回の植物調査によって確認された植物のうち、アキノウナギツカミ、イボクサ、コウガイゼキショウなどは、稲作と一緒に日本に広がった史前帰化植物であると言われている。また、ヤエムグラは、同じ史前帰化植物でも、麦の伝来とともに渡ってきたものであり、ヤブカンゾウは、中国から有用植物として持ち込まれた史前帰化植物である。
それぞれの発芽の時期のせいか、田起しをして、草の根を取り去った田圃の中から発芽したのは、今のところ、コナギだけである。田植え後1週間ぐらいで発芽し始めている。(写真2)の中央あたりの植物がコナギである。水中にある時は細長い葉をしているが、空中に出ると幅が広がり、心臓卵形の葉となる。
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