生田緑地の谷戸の自然保全活動


田圃再生 19
日時 2004年5月25日(火) 11:00〜16:00 晴
場所 生田緑地
参加者 岩田臣生、岩田芳美、吉田多美枝

 今日は、田圃の大きさの確認、泥均し、周囲の植物調査と草刈りが主な作業である。
 田圃の周辺を調べていると、5〜6人のご高齢のグループが来て、地図を見せながら、谷間の探勝路を抜けて岡本美術館に行く道はこれでいいのかと聞いてきた。遠方から来たらしい。目敏く、苗を見つけて、「俺達に田植えをさせろ」という。「昔はやってたから」と言うのだ。「秋の実りの季節に見に来たいね」と言って、去って行った。
 気温が上がっているので生き物の活性が高い。
 シマヘビは、80cmと60cmの2匹いた。初めの頃に見たシマヘビは1m以上あったので、この辺には何匹もいるらしい。
 シュレーゲルアオガエルのオタマジャクシを5〜6匹確認した。(これは後で泥均しをしている時に、20〜30匹いることが分かった。)
 体長10mm程度のホトケドジョウをヨシ原周囲の水路で確認した。(これも、田圃の側には数十尾いた。)
 ヨシ原のヨシにオニヤンマの様なトンボがとまっている。少し小ぶりではあるが、オオヤマトンボなど、他のよく似たトンボとの区別はつかなかった。
 シオヤトンボは♂♀合体した奴と単独の♂が水面近くを飛んでいる。シオカラトンボ♂は相変わらず1匹で、乾いた草の根の上、田圃の真中に目印に立てたヨシの天辺などに移動しながら、時々、シオヤトンボを追い払って、縄張りを主張しているかの様である。
 更に、ギンヤンマに墨をかけた様なトンボが、田圃と隣のクワイ畑の上を飛んでいる。時々水面に降りるのは何故だろうか。鮮やかな水色と黒の縞模様の尾が印象的である。後で、この特徴を岩田(芳美)に話すと、クロスジギンヤンマだという。
 体長13mm程で、胸部の縁が薄橙色の甲虫が、飛んできてヨシに止まった。ホタルの仲間と思うが。
 田圃の畦に、ルリシジミが2匹とまっている。よく見ると、後翅をゆっくり擦っている様に見える。

 水位を下げるために取水口を塞いだ。
 田圃の大きさは、やや不整形ではあるものの、幅6.5m、奥行9mであった。ざっと計算しても17坪はありそうだ。今頃計算しても遅いと思うが。

 「遊園の会」の松岡さんが通りがかって、暫し、お喋りをしているところに、岩田(芳美)が来た。汚れる前にということで、一緒に、横山さんに挨拶に行ったが、留守であった。 後で、出直すことにして引き上げた。

 水をだいぶ落としたつもりだが、田圃の中は30cm程は沈む様である。少しずつ、鍬を使って、泥を均していく。

 植物班の吉田さんが、田圃周辺の植物調査をするために出てきてくれた。
調査は岩田(芳美)と2人で行っていたが、流石に速い。上側の休耕田と更にその上の休耕田、西側の土手(斜面)と調査して、60種以上の植物の種名があげられた。 それが次のリストである。幾つか、ペンディングにしたものがあるらしいが、それでも60種を越えている。この中には、多摩区での初確認となった植物もあったらしい。調査のご褒美であろうか。  

●田圃周辺で確認された植物-----------------------------
 調査日 平成16年 5月25日(火)
 調査地 生田緑地ホタルの里(田圃周辺)
調査者 吉田多美枝(同定)、岩田芳美(記録)
  (草本)
  コバノカモメヅル
  ドジョウツナギ
  チヂミザサ
  コガマ
  コウガイセキショウ
  ヤブカンゾウ
  オニドコロ
  カラスビシャク
  クサニワトコ
  アキノウナギツカミ
  ユウガギク
  セイタカアワダチソウ
  セリ
  カナムグラ
  ツボスミレ
  ヘビイチゴ
  ヨウシュヤマゴボウ
  コモチマンネングサ
  ギシギシ
  カニツリグサ
  カモジグサ
  ヌカボ
  クサイ
  コジュズスゲ
  キショウブ
  ツユクサ
  ヘクソカズラ
  トウバナ
  オオミゾソバ
  カントウヨメナ
  カタバミ
  クサノオウ
  ウシハコベ
  ナガバギシギシ
  メヤブマオ
  ミズヒキ
  ヤブマメ
  トボシガラ
  クサヨシ
  アシ
  イ
  マスクサ
  ヤブミョウガ
  イボクサ
  ヤエムグラ
  カキドオシ
  ハシカグサ
  ヨモギ
  ケキツネノボタン
  イヌガラシ
  ショカッサイ
  ツルマメ
  ノブドウ
  ヤブヘビイチゴ
  ヌマトラノオ

  (木本)
  ヤマグワ
  モミジイチゴ,
  マユミ
  フジ

  (シダ)
  ヒメシダ
  イヌワラビ
  シケシダ
  スギナ
  ミドリヒメワラビ

「クサニワトコ」は生田緑地では初めて確認された植物です。

 北部公園事務所の江原さんが来た。海野・緑政部長が見に来ることになっていたのだが、なかなか来ないので、暫し、雑談となる。
 見ると、横山さんが畑に出てきている。岩田芳美が挨拶に行く。田圃づくりを始める時に挨拶すべきところが延び延びになっていたのだ。田植えの前に、垣根越しの挨拶となった。陽光が照りつけて、とにかく暑い。
 横山さんが、一度引き上げて、又、やってきた。垣根越しの雑談が始まる。
クワイのイモがどの様につくのかという話から、吉田さんと岩田(芳美)は1つずつクワイを貰う約束を取り付けてしまった。
 田圃の水面をマンションの陰が覆った頃、牧野北部公園事務所長が、海野緑政部長を案内して現れた。暫し、雑談した後に、牧野所長と江原さんが先に帰って、残った4人の田圃会談が始まった。
海野さんが生田緑地に勤務していた頃の昔話から、谷戸の整備のあり方、植物の盗掘の問題、犬を放して遊ばせる人の問題など、更に進んで生田緑地の管理運営の話など、非常に重要な話題の田圃会談となった。 


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