生田緑地の谷戸の自然保全活動
田圃再生
日時 2004/4/15(木) 晴
場所 生田緑地 稲目谷戸 下の田圃地区
参加者 岩田臣生

1枚目の田圃再生 1日目
現地に入って間もなく、元の地主さんである横山さんから声がかかりました。「あんた、誰か。」いつの間にか、垣根の際まで来られていたのです。「本当にできるのか。」と心配のご様子でした。この真意は、試し作業を始めて分かったのですが、田圃にするまでの作業が並大抵でないということなのです。

地上の様子は、昔は1枚の田圃として使われていたようですが、木道から見て、手前側、一番奥、中央部の左右という4つに分けられそうでした。
手前は、背丈30cm程の枯れ草に覆われ、所々に枯れたヨシが立っています。木道に近い所に湧水があります。
中央左側はヨシが少し密になっていて、地面は黒色のヘドロ状です。
中央右側は、地面が赤茶色になって、10cm程度の大きさのセリ(?)が地表を覆っています。
一番奥は、境界線は引きにくいものの、一番乾燥している感じでした。

手前側の地表および土中には、ミミズ、オケラなどが、水中にはヘビトンボの幼虫、カワニナなどがいました。
中央左側の土には、体長6cmという巨大なウジがいました。アブの仲間などの幼虫と思われます。
中央右側の土にはヨコエビなどが、地表にはタニシがいました。
また、どの部分にもクモが多くて、少なくとも10種類以上のクモが、この僅かばかりの範囲に見られました。
それから中央部右側から奥にかけては、バッタの幼生が多くいました。

これらの生物や植物の様子から、手前側は水が綺麗で、環境は良好だが、中央部左側の環境は悪くなっていると推察されます。勿論、これは人間から見た場合の話で、アブやハエの仲間にとっては居心地のよい環境なのだと思いますが。

植物については、植物班班長の吉田多美枝さんの協力を戴いて、植物についての調査を行うことにしましたが、手前側に密生していた植物はヒメシロネ?だろうと思われます。こうした環境の維持と共に、この辺りの植生の保全も必要になるかも知れません。

クモについては、クモ班班長の成田和子さんの協力を戴いて、更めて調査しようと考えています。こんな狭い範囲に、こんなに多くの種類のクモが暮らしているのに驚きました。どんな生活が営まれているのでしょうか。興味が湧いてきます。

試し作業は、手前の右側辺りで始めました。
草丈30〜40cmの枯れ草の根は20cmぐらいの厚さで、密に絡み合っていて、土を残しながら根を取り除く作業は非常に骨が折れるものでした。一人でしたので、0.5平米程度の泥水の溜まりをつくるのがやっとでした。
水田としての利用は、田植えまでに、どこまで開墾できるかにかかっています。
道具はいろいろ用意したのですが、結局、スコップとバケツ(それに、調査のための金ザル)しか、役にたちませんでした。
試し作業の結果、作業の進め方は掴めましたが、時間はかかりそうです。

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