里山の自然学校2011
第5回《夜の昆虫観察》
【2011/7/30 更新】
日時 2011年7月29日(金) 16:00〜21:00 曇後雨
場所 生田緑地(川崎市多摩区) 参加者 A 鈴木萌恵、酒見果歩、谷 実鈴、永喜康雅、内藤真衣 B 原田大雅、大江田慧、上野美紀、金田大輝、丹羽小蒔 C 内藤義人、江口暁香、山本来幸 D 豊島芳璃人、井原沙羅、島田真衣、棟安恵万、高田泰成 18名 OB参加 尾崎基和、尾崎光歩、島田耕助、工藤思由、永喜誠洋、永喜稜晟 6名 講師 藤間煕子、山本 晃、梅原和仁、神山歩未、鈴木志歩、岩田芳美、岩田臣生 7名 里山の自然学校の「夜の昆虫観察」は、例年、枡形山広場でのライトトラップに集まる昆虫を観察することをメインにしていましたが、 今年は地震に伴う土砂崩れの影響で枡形山への車の通行が止められているため行わないことにしました。 ライトトラップ装置が重くて、車でないと運べないためです。 心配された雨が止んで夕方の自然観察は問題ない状態になりました。公園管理事務所裏には元気な顔が集まりました。 雨に替わって、ミンミンゼミ、ニイニイゼミ、ヒグラシのセミ時雨が降り出しました。 今日の前半は夕方の自然観察です。 毎回の定例観察ポイントであった公園管理事務所付近のクワガタレストランは殆ど樹液が出なくなっていますが、 カナブン、クロヒカゲ、キセル貝の仲間が来店していました。 アカボシゴマダラの翅が落ちていました。 アカボシゴマダラは中国原産のタテハチョウ科のチョウで、1998年に藤沢市で確認されて以降、関東地方に分布を広げています。川崎市では2006年頃はまだ珍しいチョウでしたが、今では普通に見られるチョウになっています。要注意外来生物で、在来のゴマダラチョウとの競合が心配されていましたが、今のところ生田緑地のゴマダラチョウは健在のようです。共にエノキを寄主植物としますが、アカボシゴマダラは市街地の中の幼樹が好みのようです。 みんなカタツムリは知っているのですが貝という意識は無いようです。 クワガタレストランにキセル貝の仲間がいたことが不思議に思ったようです。 陸上にも貝の仲間が生息していることを話しました。陸生ホタルは陸生巻き貝を食べています。 谷戸へ降りると、ヤブミョウガが白い花を咲かせていました。 ミョウガというのに、ミョウガとは異なり、ツユクサの仲間です。ミョウガの花とヤブミョウガの花を比較して考えてもらいました。 萌芽更新地区に咲いていたヤマユリは花を落していました。 園路わきの明るい場所にキボシカミキリがいました。 その近くにカビにやられたカミキリムシが死んでいました。生きているカミキリムシにカビが生えることが理解し難かったようです。 ハンノキ林上のデッキでは、オオシオカラトンボに気を取られているところにヤブヤンマ♂が飛んできて、大勢の子どもたちに驚いたように飛び去りました。 一瞬のことでした青い目が印象に残りました。 ハンノキ林内の木道の上に落ちていた木の葉を拾って、木の葉にできたムシコブに興味を持った子がいました。 ハンノキハイボフシはダニによるもの、シロダモハコブフシはシロダモタマバエによるものです。 イヌツゲの枝についている丸いコブが気になった子もいました。イヌツゲメタマフシはイヌツゲタマバエによるものです。 このほか、「秋の里山」の時に落ちているのを拾って何だろうということになるのがヌルデミミフシです。これはヌルデシロアブラムシによるものです。 草地に出てきたところで、山本先生の捕虫網を振り回していた子がナガサキアゲハ♀を採集しました。 尾状突起が無いことで直ぐに見わけられます。 南方系のチョウで10年程前から川崎でも見られるようになって、今では普通に見られるチョウになっています。 田圃の周辺にはセリの花が咲いています。 アカバナにベニスズメ?の幼虫が何匹もついていました。 イネは育っていますが花穂はまだです。 オオシオカラトンボ♂が数匹飛んでいます。時々、オニヤンマが少し上空を飛んで行きます。 下の田圃の周辺では、上空をヤブヤンマ♀が飛んでいました。夢中で小さな昆虫を捕食しているように見えました。 夕方の自然観察だから観察できる黄昏性のヤンマです。 でも、そんなことにはお構いなしにカタツムリ(ミスジマイマイとヒダリマキマイマイ)と戯れている女の子のグループもありました。 枡形山広場に着いてお弁当を食べました。 トイレと水道があることから、お弁当を食べる場所に使っています。 今回は雨になる可能性が高かったことから、展望台1階の舞台を緊急避難場所に使えるように多摩区道路公園センターにお願いしました。 夜の生田緑地では他に避難できる場所がありません。 食後、アリジゴクの観察を行いました。 アリジゴクはウスバカゲロウの幼虫です。雨のかからない地面にすり鉢状のトラップをつくり、小昆虫が落ちてくるのを捕食します。 7〜8月が成虫の出現時期で、子どもたちが採集した個体が蛹になって羽化するのは早くても来年夏になります。 縁の下に入ることを躊躇していた子どもも結局入って、なかなか出てきません。 そのうちに雨が降り出しました。 子どもたちは何匹も採集しましたが、全て、元の場所に放しました。アリジゴクにとっては災難で、あらためてトラップをつくらなければなりませんね。 さて、ライトトラップの代わりということですが、山本先生が広場周辺にバナナトラップを仕掛けてくれました。 子どもたちに何としても昆虫を見せたいと思ってのことです。 夜の雨の中のことです。荷物は舞台の隅に置かせてもらうことにしました。 まずは広場内の樹木に登りだしたアブラゼミを観察することにしました。 みんなサッサとレインコートを着たり、傘をさしています。用意のいいのに驚かされ、ちょっと頼もしく感じてしまいました。 広場周辺に仕掛けたトラップにはカブトムシをはじめ、コクワガタや蛾の仲間がきていました。 夜間と雨という二つの要素が重なっていますので、足場のいいところを歩くことにしました。夜の暗さを味わってもらうのは止めました。 安全にできる夜の自然観察として、ニイニイゼミの羽化観察を行うことにしました。ニイニイゼミは樹木の根元近くで羽化するので子どもたちの観察にはピッタリです。 何本もの樹木に様々な状態の羽化途中のニイニイゼミを確認してから、数人ずつ、思い思いの場所に陣取って観察していました。 次に、もう一度自然の状態のクワガタレストランを観察することにしました。 昼間営業している時と夜の営業中とでは客が異なるのか、実際に見てもらいたいと思いました。 夜間営業中のこのレストランには、カブトムシ♂3♀3、カナブン4〜5、蛾類数匹が来店していました。 スズメバチがいなかったので安心して観察してもらえました。 カブトムシ1組は交尾中でしたが、交尾中のカブトムシはみんな初めて観察したようでした。 中央広場を引き上げる時に、広場内で花火を打ち上げている人たちがいました。 枡形山広場への帰り道は、夜の暗さにも、雨にもなれたようで、歩き慣れた道を歩くように思い思いに連れ立って勝手に歩いていました。 集まったところで、感想を聞いて、解散しました。 感想 ・カブトムシをいっぱい見ることができて良かった。面白かった。...3 ・初めてカブトムシ♂を見ることができて良かった。 ・今年はカブトムシ♂が多かった。 ・沢山のカブトムシやクワガタを見ることができて良かった。 ・ニイニイゼミの羽化を良く見ることができて良かった。...4 ・ニイニイゼミの羽化を見たが、普通に落ちているの(多分アブラゼミなど)と大きさが違うので驚いた。 ・ニイニイゼミの幼虫の背中が割れて出てくるところから翅が伸びて乾くところまで見られて良かった。...2 ・ニイニイゼミの羽化は少しの時間で幼虫からセミに変化したので驚いた。 ・去年見られなかったアリジゴクを見ることができて良かった。 ・アリジゴクを捕まえられて良かった。 ・初めてアリジゴクを見ることができて良かった。 ・アリジゴクを沢山見つけられて良かった...2。 ・羽化のために木を登るアブラゼミを見ることができて良かった。 ・暗い所で友達と一緒に昆虫を見ることができて良かった。 ・夜の昆虫観察は初めてだったけど、虫をいっぱい見ることができて良かった。 ・手摺りにつかまったらナメクジがいたので嫌だった。 ・昆虫は触ると弱るので注意して観察した方がいいと思う。捕まえるのは余り良くない。 ・夏の雨の中の昆虫観察は暑かった。 ・ライトトラップができなくて残念だった。 ライトトラップにはカブトムシもクワガタムシも飛んで来る。 コカブトも飛んできたことがあった。これはライトトラップでないと採れない。 今日はバナナトラップを8つかけた。かけてから10分も経たないのに1つ無くなった。 カブトムシの盛期にあたって、15〜16頭が集まった。 |
里山の自然学校のスタートページ
特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation