生田緑地観察会
主催 青少年科学館

生田緑地観察会“里山の自然”

日時 2023/5/14(日) 11:00〜12:00 雨後曇後晴
ガイド講師 特定非営利活動法人かわさき自然調査団
       水田ビオトープ班班長 岩田臣生
観察会参加者  7 人(大人 3 人、こども 4 人)、科学館職員1名

生田緑地観察会「里山の自然」は、特定の動植物の観察ではなく、その棲息環境を観察して、生態系を想像しながら生田緑地の自然を楽しんでいただきたいと考えています。
今回は、雑木林を理解する手掛かりとして、中央広場北雑木林を対象にした観察会としました。
ここなら、小雨降る中であっても、傘をさして、観察することができると考えました。
現在、生田緑地はナラ枯れ対策として通行禁止になっている場所が多いのですが、この雑木林は、今冬、ナラ枯れコナラの伐採を済ませていますので、 落枝や倒木の心配をせずに、安心して観察会を行うことができます。

中央地区北雑木林(A26-1)は、2011年5月に観察した時は、日本民家園から侵出してきたマダケや、アズマネザサなどが生い茂るヤブでした。
2012年には中央広場の改修が予定されていましたので、生田緑地自然環境保全管理会議市民部会(愛称)里山倶楽部を開催し、現地観察を行い、 生い茂るマダケ、アズマネザサなどを刈り払って、観察に堪える魅力的な雑木林に植生管理することを合議しました。
整備された中央広場を訪れた人たちに、汚らしいヤブではなく、管理された魅力ある雑木林を観て、親しんでもらいたいと考えたのです。
10年以上になる植生管理によって、低木層のヤマツツジは開花し、草本層にはキンランなども咲くようになっています。
植生管理の目標にあげた草本層のヤマユリは未だ生えてきませんが、生田緑地産の種子から育てているヤマユリがありますので、これを植えることもできそうです。

雑木林と言ったら何を連想するかと質問してみたら、「高い木が生えている」、「コナラ・クヌギ」などと、子どもたちが答えてくれたので、先ずは目前のコナラを観察してもらいました。
コナラ成木の典型的な木肌を観察しました。
何故、コナラ・クヌギが雑木林の代表的な樹木になっているのかについて説明しました。
雑木林は4階建てという話もしました。
この雑木林の高木層はコナラが占めています。
低木層に、開花期を終えたヤマツツジ、赤い実をつけたウグイスカグラ、白い花を咲かせているウツギ、白い花を少し残しているエゴノキ、葉だけのキブシなどを観察しました。
草本層に、アズマネザサのほか、コナラの実生、花を終えたキンランなどを観察できました。

天気が悪かったので、出会えた昆虫は非常に少なかったのですが、コンクリートの三和土の上に、蛾が死んでいて、それを1匹のアリが運ぼうとしていました。
3cm程度の大きさ、翅の模様などから、アサマキシタバのように見えました。
だとすれば、コナラ林の蛾だと思いますが、その時は自信がなく、「後で調べておきます」とだけ話しました。


カタツムリを見つけてくれた子がいたので、カタツムリの右巻き、左巻きの見方、3cm大で右巻きならミスジマイマイ、左巻きならヒダリマキマイマイと教えました。

雨が止んで、菖蒲池からシュレーゲルアオガエルの声が聞こえていましたので、菖蒲池に移動しました。
菖蒲池東側の水路には、まだ沢山のオタマジャクシがいて、家族連れが遊んでいました。
これはアズマヒキガエルの幼生です。
アズマヒキガエルは国産のカエルでは最大級ですが、オタマジャクシは最小級です。
辺りで鳴いているカエルはシュレーゲルアオガエルです。
池の中央の橋の上から、シュレーゲルアオガエルの卵も観察できました。
大きなミスジマイマイも観察できました。
橋の手摺に、サビキコリを見つけた子もいました。

今回参加の子どもたちは、生きものなどについての知識も、観察したいという意欲もあったので、悪天候下ではありましたが、気持ち良く開催することができました。


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Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation