生田緑地観察会
主催 青少年科学館
“里山の自然”


日時 2017/5/14(日) 10:00〜13:00 曇
ガイド講師 水田ビオトープ班(岩田臣生)
サポート  事務局 岩田芳美
観察会参加者 34人(大人 23人、子ども 11人)
    市内 27人: 麻生区 8、多摩区 5、宮前区 6、高津区 3、中原区 、幸区 2、不明 3
    市外 7人: 横浜市 4、藤沢市 1、狛江市 1、不明 1

前日が雨、当日は怪しい雲が残る曇でした。
朝、青少年科学館に向かう途中で、4〜5羽のヤマガラの群に出会い、また、オオルリの囀りを楽しめたので、昆虫との出会いは期待できないと思いながらも、楽しめる観察会にはなりそうだと思っていました。
生田緑地観察会「まるごと生田緑地」の時に科学館前のナンキンハゼにいたチャミノガは大きくなっていました。

青少年科学館が主催し、かわさき自然調査団がガイドをする生田緑地観察会は、年間36回開催しています。
水田ビオトープ班がガイドをする「里山の自然」は、今年度は 5回予定しています。
生田緑地では、特定の動植物を対象とする同好会の会合、歩く会、或いは、企業が企画運営する観察ツアーなど、様々な観察会が開催されています。
生田緑地観察会「里山の自然」は、都市の市街地の中の都市公園・生田緑地の自然の景観を素直に楽しんでもらいたいと思っています。
水田ビオトープ班としては、生田緑地の生物多様性を保全する活動を行っていて、園路沿いの各所で、観察会で楽しめる場という目標での植生管理も行っています。 そうした場における観察会参加者の反応は、保全管理の評価の一つになると考えています。


生田緑地観察会は参加費無料の観察会ですが、「里山の自然」では、資料として地図だけ配布しました。
(末尾の観察会ルート図参照)
先ずは、(20) 中央広場北雑木林を観察することから始めました。
ここは、2011/5 の市民部会で植生管理計画を話し合い、目標植生については、
 ・ヤマツツジが咲き、ヤマユリが咲く、明るい雑木林、眺めて楽しい雑木林
 ・アオダモ、リョウブ、ウグイスカグラなどが所々に見られる雑木林
として、管理をしてきた雑木林です。
目標に向かって変化しているかを、参加者と共に観察することにしました。
雑木林は4階建てであること、高木層で優先するコナラ・クヌギと薪や炭を燃料にしていた時代のこと、ここでは低木層にヤマツツジが咲いていることなど、 小さな子どもたちには面白くないだろうと思いながら、生田緑地の雑木林の基本的な事柄を話しました。
新緑が濃くなって、亜高木層の樹木の判断は難しくなっていました。
春の花が終わっていて、草本層に花は観察できず、目標としたヤマユリは生えていないことが確認できます。


(16) 七草峠付近では、ヤマユリ、オトギリソウが伸び始めていましたが、ハギやススキも広がって伸びていました。 ハギやススキの勢いは年々増しているので、この時期にも、刈っておく必要があると思います。
ヒゴスミレの葉を紹介し、 4月にはスミレ類が観察できるように管理している地区であることを話しました。
園路の端、カンツバキの下に、コスミレが実をつけていました。


(06) ピクニック広場東斜面
谷戸へ降りるスロープ階段の山側の崖面は、密生するアズマネザサを刈ってタマノカンアオイを確認してから、観察会を意識して、細かい管理をしてきました。
丁度、ハンショウヅルや、 オカタツナミソウが開花し、小さな実生のウグイスカグラが赤い実をつけていました。
今春、花を咲かせてくれたアオイスミレが、大きく葉を伸ばしていました。
階段の谷側の斜面は、ヤマグワ、アズマネザサが繁る暗いヤブだった所を、話し合いを重ね、林縁の草地を目標植生とし、樹木を伐採し、アズマネザサを刈り、キヅタを剥がし、 チョウが来る草地を目指して管理しています。
活動を始めて間もない頃の草本層の変化は、タチツボスミレが広がってくれたことで、それだけでも、反対を乗り越えて草地を目指して良かったと感じました。
それが、今年は、アオイスミレが開花し、オカタツナミソウが広がって、 益々嬉しい変化を見せています。

ガビチョウが大声で鳴いていました。特定外来生物であり、人前にも平気で姿を現しますが、生田緑地で初めて確認されたのは、2003年頃であったことなどを話しました。
キブシが実をぶら下げていました。


(07) ピクニック広場
ヘビイチゴの実を見つけて、「イチゴだ」と叫ぶ子がいました。
ヒシバッタがいました。しかし、参加した子どもたちは、バッタを捕まえた経験が全く無いようでした。
未熟ながら、ヤマグワの実が沢山なっていました。
エノキについては、谷頭凹地のエノキの大木の話をしました。


(08) 萌芽更新地区にも、オカタツナミソウが沢山咲いていました。
アカハネムシがいました。
里山の自然学校で使っている観察容器を持って来なかったことは反省すべきでした。
素手で捕まえて、触ってほしかったのですが、この日参加した子どもたちは見ているだけでした。
ツルニンジンがツルを伸ばしていました。
ミヤマシラスゲの雄小穂は、早くも、役目を終えたように見えましたが、独特の姿形のため、生田緑地では外見で判断できるスゲです。
フクラスズメ幼虫が見つかりました。
ハンノキを観察しました。
ハンノキ林内の木道の手すりには、ミノウスバ幼虫が歩いていました。
エゴノキの花が少しだけ落ちていました。
エゴノキの実については、観察会常連の参加者からは、説明する前に話が出てきました。


ハンノキ林を出てから、木道の手すり上に、ジョウカイボン、アオジョウカイが観察できました。
イヌガラシが黄色い花をつけていました。

(12) 上の田圃では、アズマヒキガエルのオタマジャクシを観察しました。 手足が生えて、続々と上陸していて、畦の上を歩いていました。
上陸したばかりの 2匹を捕まえて、子どもたちに見せたのですが、自分の手に乗せようとする子はいませんでした。
近くで、シュレーゲルアオガエルが鳴いていました。
繁殖のために、シュレーゲルアオガエルが集まっていることを説明すると、外来のカエルかと尋ねてくる参加者がいました。
アオガエルの仲間で泡に包んだ卵を産むことを話しました。
手すりの上に、小さなカタツムリを見つけた子どもが大喜びでした。初めて出会ったカタツムリだったそうです。
ナナホシテントウを見つけて、ミルビンに入れて持ってきた子がいました。
木道脇の草地をクロハネシロヒゲナガ♂が飛んでいて、草の葉上に止まりました。 小さな蛾なので、場所を教えても、参加者には、なかなか見つけられないようでした。


(13) 下の田圃
木道脇に生えていたオオミゾソバの話もしました。
鮮やかな橙色のチョウが 2頭、刈られたヨシに止まりました。 小さな双眼鏡ぐらい持ち歩いていないというのは、ガイドとしては配慮に欠けていたと反省しました。



  特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation