生田緑地の生物多様性保全活動

自然会議主催勉強会の打合せ
および生田緑地の伐採更新実験の現地観察

日時 2019/8/30(金) 10:00〜16:00 雨後曇
場所 生田緑地 皆伐更新地区、市民活動室、萌芽更新地区
参加者 岩田臣生、岩田芳美、磯谷達宏、島田和則、他 1 名

9月の生田緑地自然環境保全管理会議では、次の勉強会を開催します。
この日は、生田緑地の伐採更新の現況説明を現地で行い、状態を観察し、また、勉強会の打合せを行いました。

第 2 回 自然環境保全管理会議 勉強会
「都市公園等における雑木林保全管理の考え方と実際」

 講師 国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所多摩森林科学園
     教育的資源研究グループ 島田和則 主任研究員
 日時 9/15(日) 13:30〜16:30
 会場 川崎市青少年科学館 2F 学習室

島田さんには、2017年 9月の自然会議の勉強会において「都市近郊緑地における雑木林の保全管理」について講演していただきましたが、 その後も、生田緑地の雑木林に関連して交流も行っていました。
かわさき自然調査団では、2009年末に伐採した皆伐更新地区の伐採更新を試行し、コナラの若齢林と言える樹林をつくりあげました。
また、同時期、伐採更新失敗と評されていた萌芽更新地区の伐採更新を再試行することにも挑戦してきました。
この二つの実験は予想以上に順調に進んでいると思っていますが、ここで、今後の植生管理のあり方について、目標植生や具体的な活動などについて、改めて考えてみることも必要だと思いました。
そこで、勉強会を企画させていただきました。
市内には、雑木林の保全活動を行っている市民団体が多数あり、市民活動が川崎の生物多様性保全に貢献していると考えていますが、現場では、具体的な一つ一つの活動について、 疑問や課題を感じる場面もあると思います。
この勉強会は生田緑地自然会議主催ではありますが、雑木林の保全管理ということで考えれば、抱えている課題は共通であるかも知れませんので、 多くの団体に参加していただいて意見交換ができると良いと考えています。

島田さんには、少なくとも生田緑地の伐採更新の現況は知っておいていただきたいと思いますので、午前中は皆伐更新地区、午後は萌芽更新地区の観察会を行おうと考え、 長者穴口に集合し、そこから飯室山を登って、皆伐更新地区往復、桝形山経由で市民活動室、萌芽更新地区往復というコースで活動しました。
皆伐更新地区に傘を差して入るのは無理だと思いましたので、気乗りがしないまま、頭上の倒木を気にしながら、皆伐更新地区に入りました。
この 2〜3 年、地区内のアズマネザサ刈りなどは、11 月に 1 回だけの管理で済ませていますが、林内を歩くことは容易で、アズマネザサが育っていないことに驚かされます。
これは、高木層だけではなく、低木層が適切に残されているために、アズマネザサの繁茂が抑えられているのだと教えていただきました。 つまり、低木層まで刈り払っていたら、今も、アズマネザサ刈りに追われていただろうということです。

皆伐更新地区の(現地)樹林観察会を終えて、桝形山経由で市民活動室に移動しました。
雨はあがり、濡れた木々の幹に、ミスジマイマイが観察できました。
植生は専門でも、カタツムリは珍しい存在だったようで、雨上がりの生田緑地を楽しんでいました。



昼は市民活動室でお弁当を食べて、ゆっくり休憩しました。
午後は萌芽更新地区の(現地)樹林観察会を行いました。
雨あがりの手摺には、アズキガイ、キセルガイの仲間などが出ていました。
アズキガイの殻口には薄いフタがあること、触覚は一対で、その基部に眼があることなどが、先ほどのミスジマイマイとは違うことなどを教えると関心を持ったようでした。

萌芽更新地区では、ヒヨドリバナは雨に打たれて、哀れな状態でしたが、オトコエシは逞しく、群生して咲き始めていました。
その花に、アサギマダラキンケハラナガツチバチキオビツチバチなどが吸蜜にきていました。
生田緑地にはガガイモの仲間が少ないためか、アサギマダラが訪れるのは珍しく、久し振りの美しいチョウとの出会いを楽しみました。





林内に入ってもらいましたが、林内を観察して歩けるように枝を払ったり、アズマネザサを刈ったりしておいたのに、夏期の植物の生育の速さには驚かされます。
皆伐更新地区とは異なり、剪定鋏を使って伐開しながらの案内となりました。

ヤマトアオダモ(別名 オオトネリコ)の実生が何本も育っていることが分かりました。
今まで、マルバアオダモとヤマトアオダモを区別して管理することはしていませんでした。
というより、ヤマトアオダモという名前を初めて聞きました。

生い茂ったクヌギの萌芽枝の葉に、大きなツマキシャチホコ幼虫がいました。


今までサクラの仲間だとは思っていたものの、種名を調べもしないで萌芽更新していた樹木がウワミズザクラだと教えていただきました。

1998 年 12 月に実施された萌芽更新地区整備事業の時に高さ 2mで伐採されて、萌芽枝が生き残っていたクヌギの伐り株を、萌芽更新は無理だろうと思いながら、 2017 年 2 月に地面から 30〜60cm で伐採し直したのですが、数本の萌芽枝が出ていましたので、伐採時 47 齢の高齢の伐り株として見ていただきました。
雨に濡れた伐り株には、ニッポンマイマイやキセルガイの仲間が見られました。

ヤブのように繁茂した草本層の上を覆っていたカラスウリの葉上に、ニホンカナヘビがいました。
また、あちこちの葉上にはヤマトシリアゲ晩夏型が見られました。

萌芽更新地区の観察を終えたので、市民活動室に戻って、勉強会の打合せを行い、解散しました。
朝の雨は現地観察会の意欲を萎えさせるものでしたが、雨上がりに出会えた多様な生物は充分な楽しみをもたらしてくれ、多様な生きものが棲む樹林づくりに向けて、後押しをされているようでした。

   かわさき自然調査団の活動
特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for nature Research and Conservation