生田緑地観察会“里山の自然”
主催 青少年科学館


日時 2013/3/10(日) 10:00〜12:00 晴
ガイド講師 水田ビオトープ班 岩田臣生、植物班 佐藤登喜子、 サポート)岩田芳美
観察会参加者 23人(大人 23人、子ども 0人)

生田緑地の稲目谷戸の田圃では、今月7〜8日にアズマヒキガエルの産卵がありました。 当日の朝、見に行くとアズマヒキガエルの姿はありませんでした。
観察対象の少ない季節ですが、そんなドラマが展開している季節だという話から、観察会を始めました。
また、植物班の佐藤・副班長が応援してくれたので、植物については任せっきりで進めることができました。

クスノキの辻では、カントウタンポポ、タチツボスミレオニタビラコなどが、少ないながらも、咲き始めていました。

咲いていたタチツボスミレでスミレの花の構造の話になりました。
咲いていたタチツボスミレでスミレの花の構造の話になりました
キブシが漸く咲き始めました。 日本固有種で、雌雄異株です。長く、整然とした立派な花序は雄で、いじけたような花序は雌です。 花の中を覗けるなら、雄蕊が退化しているのが雌株です。
キブシの花が漸く咲き出しました
気温が高いので越冬中のチョウが飛び出すことを期待していましたが、早速、テングチョウが現れて、園路の上で翅を広げました。
テングチョウが園路上で翅を広げていました
ハンノキ林の辺りから湧水が出始めます。
ハンノキの梢には花粉を撒き終えた雄花序と小さな雌花序、昨年結実した松果が見られました。
このハンノキ林にはミドリシジミが生息しています。 環境省の特定植物群落にも指定されています。

ハンノキ林上の池で、繁殖のために出て来ていたアズマヒキガエルを採集している父子がいました。 これは、持ち帰ろうとしたところを注意させてもらいました。
今年、ハンノキ林上の池では卵塊が見られません。♂が2〜3匹、観察されているだけです。

ヤマコウバシの枯葉はまだ落ちていません。新葉が出たら匂いを嗅いでみたいという人が何人もいました。

林床にはミヤマカンスゲが咲いていました。

ウグイスカグラもやっと咲き始めました。

梅畑の辺りでは、オオイヌノフグリ、ウシハコベ、コハコベなどの花が見られるようになりました。


上の田圃には、アズマヒキガエルが、上の段に♂6匹、下の段に♂2匹がいてくれました。
アズマヒキガエルは初めてだという人は特別に畦に降りて、真近に観察することを認めました。 卵塊は、上の段が5、下の段が3でした。 今年は、♀の個体数が少なかったようです。
観察会としての組み立ての難しい季節でしたが、アズマヒキガエルが群れている場面は、この時期の数日だけのものです。
木道から眺められるというのも観察には適しています。
上の田圃の状態がアズマヒキガエルには好まれたようで、繁殖の場になって、集まる個体が増えていることから、この時期の観察会の目玉になりそうです。
8日に30匹が群れているところを見ていると、8匹では凄いとは思えなかったのですが、群れている光景を見たことのない人が殆んどなのですから、この程度でも、凄いと思って観察していたようです。
このアズマヒキガエルを狙ってかどうかは分かりませんが、タヌキが近くを通り過ぎたのを見つけた人もいました。


下の田圃は2004年に再生したものですが、ここにはアズマヒキガエルは集まりません。


コブシの蕾も漸く膨らんできました。
ウラギンシジミが斜面の際を飛んで、ヨシ原の枯れスゲの上を数匹のキタテハが飛んでいました。


今日の観察会で出会った生物
鳥 類 ウグイス、キジバト、ヒヨドリ
両生類 アズマヒキガエル♂10
昆 虫 テングチョウ 2、キチョウ 1、キタテハ 5、ウラギンシジミ 2、フユシャク類♂ 1
植 物 カントウタンポポ、オニタビラコ、タチツボスミレ、ミヤマカンスゲ、コハコベ、ヒメオドリコソウ、ナズナ、
    ホトケノザ、タネツケバナ
(樹木) キブシ、ウグイスカグラ
※植物は花の咲いていたもの。

帰り道で、朽木を崩している人を見つけ、注意しました。
この枯れたエゴノキは重くて、ここに片付けるのも大変でした。
越冬中の昆虫を掘り出してしまうと、生存は保証できません。生田緑地の生物に調査も含めて、人為的インパクトを与えることはできる限り減らしたいと考えています。


特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation