生田緑地自然環境保全管理会議市民部会
4月の里山倶楽部B


平成27年度第1回里山倶楽部B


日時 2015/4/18(土) 10:00〜13:00 晴
場所 生田緑地 つつじ山地区
参加 工藤思由(中学3年)、今井田恵方、日高信康、井口 実
  (生田緑地の雑木林を育てる会)白澤光代
  (富士通)東 陽一、岩渕裕輝、柴田 信、杉山 裕、田澤 淳、松原通仁、嶺 義則、渡邊信一、渡邊洋己
  (資生堂)莇 清
  (亀成川を愛する会)小倉久子、中條壽雄、小山尚子、竹内順子
  (座間谷戸山公園)脇田信雄
  (かわさき自然調査団)佐野悦子、水田茂子、平賀政孝、政野祐一
  (生田緑地整備事務所)
  (生田緑地運営共同事業体)額谷悠夏
  (市民部会事務局)岩田臣生、岩田芳美      28人

平成27年度第1回里山倶楽部Bです。
集合は中央広場の客車前にしました。 北側の雑木林のヤマツツジが咲き始めていました。
今年度の自然会議では生田緑地の雑木林の植生管理計画、特に、具体的な管理方法について再検討しようとしています。
自然会議は、会長が倉本・明治大学教授から磯谷・国士舘大学教授にバトンタッチされましたので、第1回自然会議において具体的な進め方が決められてから具体的な活動が始まります。
つつじ山の植生管理活動を行っていた雑木林を育てる会から、4月の現地調査を行ってほしいという強い希望がありましたが、自然会議としては動くことができません。
そこで、里山倶楽部として、つつじ山の自然観察を行い、当該地区の植生管理について考えてみることにしました。
来園者の立場で考えることは昨年、中央地区北側、中央地区南側、ゴルフ場外周、東生田2丁目〜ばら苑の4地区について実施しましたが、 植生管理について考えることは、まだ里山倶楽部参加者には難しいことと思います。 しかし、ともかく、植生管理について気がついたことを聞かせてもらうことにしました。
参加者は28人と多くなり、天候にも恵まれましたので、春風に吹かれながら、保全という視点から生田緑地の自然を観察するという気持ちで活動してもらうことにしました。
結果は後日、自然会議に報告させていただきますが、ここに概要を報告します。


つつじ山へ上る園路のある谷戸にも小さな水流があります。
そんな水辺には、氷河期の生き残りと言われる昆虫が生息していることを話しました。
今回は、他の地域で自然の保全活動をしている方たちも参加してくれていましたので、生田緑地の自然の紹介として行いました。

つつじ山へは狭い九十九折の道を歩きました。
ここは、「園路際にシラヤマギクなどの野草が沢山見られ、自然観察が楽しい雑木林」を目標に設定しています。
2009年に植生管理計画を決めたものの、2014年3月まで放置されていました。 そこで、指定管理者にアズマネザサのみの刈り取りを行ってもらいました。
斜面の状態は、刈ってから1月も経っていないような感じで、春の芽生えが余り見られませんでした。
昨夏は植物が繁茂していなかったという意見がありました。
実生が殆ど見られなかったのも気になりました。
今年は月1回ぐらいはモニタリングを行う必要があると思いました。
アズマネザサ刈りは機械を使っているようなので、これも止めて、選択的な下草刈りをしなければならないと思います。
刈り取ったアズマネザサが園路脇のアズマネザサの藪に捨てられていました。 これはしてはならないこととして、植生管理計画に注意書きしてあったことです。 できるだけ早く、別の場所に移動してもらわなければなりません。
これに対して、落葉溜めはないのかという質問が出ました。
現在時点では、斜面が殆ど裸地状態でしたが、今後どうなるのかという点に皆さんの関心が向けられていました。
杉を問題にする意見もありましたが、逆に、あった方が良いという意見もありました。
この九十九折の道は、雑木林を楽しむために、雑木林の中を歩くための探勝路として考えるべきだと思います。

この雑木林からツツジ等で彩られる草地への園路では、花が見られて綺麗というのではなく、外来種のハナミズキはとんでもないという意見が出されました。


草地広場には植栽された花木が咲いて華やかな色合いの光が満ちていたのに、のんびり、くつろいでいる人は少ないと思いました。
多くの人が、ハナミズキが植栽されていることを問題にしました。 丁度花が咲いていましたが、誰も綺麗だとは発言しませんでした。 公園整備としての植栽は仕方ないとしても、アメリカ原産の外来種を植えるのは許せないという意見が多く出されました。
ハナミズキは植え替えた方がいいという意見がありました。
合意形成は多数決かという質問も出されました。
植栽を植え替えることについては、可能なのか、どのような合議を行なえば良いのか、課題を突き付けられた思いがしました。
落葉が地面にこびりついたように残っている草地は汚らしく、直接座ったり、寝転んだりしたくなることはありません。
ヘラオオバコ、ウラジロチチコグサなどの外来種が広がっていて、里山らしい景観とは言えません。
草地管理の方法を見直した方がいいと思われます。

満開の八重桜の前で集合写真を撮りました。


つつじ山の主要な部分は、北側のA区(人が自由に歩き回れる草地)と南側のB1区およびB2区(野鳥が集まれる林)とに分けて植生管理目標を設定しています。
B1区はA区(草地広場)を拡大した状態になっていました。
疎らな高木と単調な林床、これはもう草地管理と言った方がよい状態でした。
参加者の意見をどのように求めたらよいのか思いつきませんでした。
3年に1回程度のアズマネザサ刈りという合議は無視されていました。
これが「野鳥が集まれる林」を目標とする植生管理なのでしょうか。
当然の如く、毎年の下草刈りはやり過ぎという意見が出ました。


「野鳥が集まれる林」にするための管理について、意見を出していただきました。
難しい。
樹木を植える。
地形的にサクラを植えても楽しめるものにはならない。
サクラは虫がつくので、野鳥の餌が豊富になる。
林床が多様であることが大切。
低木やヤブが必要。(林床の多様性と変化に富んだ環境)
ヤブがあった時は、そこでホオアカが観察されたことがある。
毎年アズマネザサ刈りをするのは刈り過ぎ。
全体を一気に行うのはよくない。少しずつやるべきとの意見が中学生から出され、全員が納得するという場面がありました。
「取り返しのつく範囲で やってみて、考える」に立ち戻る必要がありそうです。


休憩してから、活動全体についての意見を求めましたが、難しかったという意見に集約されてしまいました。
また、トイレ前の水溜りを野鳥が利用している光景を見たことがある人から、水場をつくれないだろうかという提案がありました。

8年続いた里山倶楽部は、最近、川崎の地場企業である富士通の協力によって参加者が増えています。
里山倶楽部が目的とした市民のレクリエーションの場に留まらず、自然を保全するための植生管理の実践部隊としての役割を充分に果たせるようになってきたと思います。
今回、里山倶楽部Bとして、自然に関心のある大勢の参加者と、春の気持ち良い日に、自然の保全について意見を交わすことができたことを嬉しく思い、感謝を申し上げます。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation