生田緑地植生管理協議会市民部会
里山倶楽部B

自然観察&植生管理を考える


日時 2012/4/21(土) 10:00〜13:20 曇 
場所 生田緑地野鳥の森
参加 大谷壽子、加藤あや、金子文隆、佐々木キヨ子、佐藤俊子、白澤光代、前田 宏、藪 哲二
  (多摩区道路公園センター)齋藤真吾
  (市民部会事務局)岩田臣生、岩田芳美

平成24年度第1回の生田緑地植生管理協議会市民部会“里山倶楽部B”を開催しました。
第1回は、野鳥の森地区を歩いて、雑木林を観察し、植生管理について意見交換を行いました。
集合は、開業したばかりのビジターセンターの上の入口付近にしました。

@菖蒲池南斜面
野鳥の森に入る前に、菖蒲池南側の斜面も観察しました。
菖蒲池南側の斜面は、かつてはアオキが密生していた場所でした。 東口を入った時に真っ先にアオキの林が見えていたことから、植生管理協議会においてアオキの除伐を決めて、 2008年11月30日の市民部会によってアオキを除伐しました。
2009年6月5日には植生調査を行い、29種の植物を確認しました。
その後、毎年、アオキのひこばえを除伐していますが、落葉樹の実生は成長せず、夏草が繁茂することもなく経過しています。
3年以上経過していることから、第2段階の植生管理を行いたいと考えています。そこで、この地区についても意見交換を行いました。
・園路沿いの小径の杉を除伐したら、斜面が明るくなる。
・地区内の倒木は処理した方がいい。
 これは危険性があるわけではなく、樹林の中に倒木が発生するのは普通にあり、特に汚らしいという状態でありません。
・ムラサキケマンなどがもっと生育できるように、園路沿いのアズマネザサを刈り取る。
・林床を明るくするために(南側の)崖の上に並んでいるヒサカキを除伐する。
 全て除伐という意見もあったが、間伐を繰り返す方が環境負荷は小さい。
 谷頭急斜面が崩れることがないような方法をとる必要がある。

駐車場の脇の園路では、植栽されているヒイラギモクセイが頭上を覆うように張り出していました。 これは暗いイメージになるので、剪定した方がいいという意見が多数出ました。
崖面の目隠し目的なのかどうか不明ですが、植栽としてきちんと管理した方がいいだろうと思われます。
崖地のアズマネザサが枯れていました。
枯れたアズマネザサが立っている景観は汚らしいので撤去した方がいいだろうと話し合いました。

A野鳥の森の園路に入ったところで周囲を観察し、話し合いました。
・植栽のサザンカが2m強の高さになっていて暗いイメージを与えている。
 全員が低くするという意見でした。
・実生のアオキ(10〜70cm)がたくさん生えている。
・サザンカの上を覆っているツバキの大木の高さを抑えて、斜面の雑木林が見えるようにした方がいい。
・コナラ?の枯れた枝が引っ掛かっていて危険。
 これは多摩区道路公園センターの仕事です。
 大きく育ってしまった植栽を低くする作業は業者にやってもらった方がいい。
・斜面のアズマネザサが枯れているところがある。
・斜面の雑木林の低木層に常緑樹が目立つ。

B園路の分岐点付近
・落枝や伐採材が散乱して汚らしい。
・水流側のアオキは敢えて残してある。
・下草が生育していない。
・落葉かきは今年は意識的に行っていないが、落葉かきをして草が生えやすい状態にした方がいい。

C
・何本もの樹木に目印がつけられている。
・アズマネザサが繁茂している。
・植栽で放置されたものの手入れ方法が問題。
・野鳥の水場

D
園路に落ちているフウの実は適当に集める。(堆積場所は話し合って決めました。)

イヌマキが園路上に枝を出していたので、通行を遮っていた枝を剪定した。
カヤとモミの違いを学習した。
・アオキの除伐が必要。
・ホウチャクソウ、ヤブニンジン、ムラサキケマンなどが繁茂し、花を咲かせていて、良かった。
・シダも多い。シダが繁茂するとホウチャクソウなどは衰退してしまう。
・野鳥観察舎の周囲のヒサカキは気持ち悪い。
・チゴユリが群生して咲いていたのは良かった。

・低木層〜亜高木層のヒサカキ、シラカシの植生管理が課題。
・集中して生育しているシラカシの小径木は、今のうちに全て除伐した方がいい。
・亜高木層を占めているヒサカキは少しずつ間伐した方がいい。

地層資料の採集によって削られ続けた結果、このような崖面がつくられました。

活動を終えて、菖蒲池西側の四阿で休憩しました。
・野鳥のためといっても適度な管理は必要だと思う。
・来園者にとっても快適な、気持ちよい場所にした方がいい。
・ツバキは全て除伐した方がいい。
・荒れている。(昨年の台風以降の折れた枝や倒れた樹木などが片付けられていない。)
 倒木などは無い方がいい。
・ササンカは美しくない。 公園の中なので、植栽はしっかり管理して、綺麗にしておいてほしい。
・樹木が分からないので樹名板をつけてほしいが、景観的には良くない。
・雑木林は、自然のままに放置しておいてもいけないのだということが少し分かってきた。
・公園として、定期的に、このような調査をすることが必要なのだということが分かった。
・土を採られていた所が一番気になった。
・植栽がこんなに多いとは思っていなかった。 植栽の管理について考える必要があると思う。

当該地区は「野鳥の森」という名前をつけられています。
高木層の樹冠が全体を覆っていて、その下に野鳥が飛翔できる空間があり、園路を歩きながら野鳥の観察ができる環境、 目標植生にうたった「夏、園路に涼しい木陰をつくる樹林」はこのように言い換えることができると思います。
今回は、昨年の台風の爪痕が残っていて、雑木林やアズマネザサの茂みなどが荒れた印象を与えていました。
普通の来園者の視点から、このことに関連した意見が多々ありました。
園路景観と野鳥の多くが好む空間との折り合いのつけ方、遷移が進んでいる地区の管理方法、ビューポイントや野草を楽しめる場所など、 様々な要素を考慮して、細かい植生管理計画案を検討する必要がありそうです。
緊急性のあるものから、取り返しのつく範囲で、少しずつ進めていくという、進め方についてのプログラムも必要だと思います。
たくさんの要素がある地区なので、夏にも同様の調査をしてから植生管理計画案づくりをした方がいいかも知れません。
今回の市民部会に参加できなかった人でも、当該地区について具体的なご意見をお持ちの方は、下記、市民部会事務局までお寄せください。 よろしくお願いします。

生田緑地植生管理協議会市民部会のメインページへ

特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation