湿地の水辺保全 日時 2016/5/5(木) 10:00〜12:30 晴 場所 生田緑地 湿地 参加者 岩田臣生、鈴木潤三、田村成美( + 田村 和 )、山下淳也 5月3日に湿地の状態を見に来た時に、水流が殆ど止まっていることが分かりました。そこで、この日、湿地の水辺保全を行いました。 湿地(B05)と言っているのは、昔、この谷戸に田圃があった頃、一番奥にあった田圃で、現在のハンノキ林の北側に接している辺りで、地形としては3段の棚田状になっています。 ここは、水田ビオトープ班が、2004年10月にシンポジウムを開催し、自然保全活動の方向性を見極めて、最初に活動を始めた場所です。 当時は、ヤマグワ、ヒメコウゾ、オギ、ススキ、アズマネザサなどが繁茂していました。 この活動の目的は消えてしまった水草の復活・保護で、そのために、区域内に水路を掘って湧水を流し、乾いていた土地を湿地にする活動を継続しています。 目的とした水草は、当時は環境省絶滅危惧IB類(EN)、現在絶滅危惧II類(VU)、また、神奈川県絶滅危惧IA類(CR)の植物です。 新たにスタートする活動の目的とするのには、夢があって良い目的だと考えました。 湿地に水が入り、湿潤な環境になることで、直ぐに、目的の水草は復活しました。 しかし、湿地になることで、他の湿地を好む植物が次々に復活して、この水草を覆い隠すようになりました。 幸い毎年花を咲かせてくれますが、この水草の生態を知らない私たちには、毎年、春に発芽を確認するまでは、「消えたらどうしよう」という不安を持たせる植物です。 最大の敵だと思っていたチゴザサは、2〜3年で地中に根を張り巡らせ、厚いカーペットとなって、他の植物が根を広げる隙間を無くしてしまうと思い、一月おきに除草した年もありました。 しかし、そのチゴザサを放置していた場所から、シオヤトンボが多数羽化してくるのを見て、生物によって好む環境が異なることを実感しました。 シオヤトンボは神奈川県東部では減少著しいトンボだと聞いていましたので、毎年、1〜2匹しか観察できないことで消滅を心配していました。 そんなトンボが羽化、発生する現場を見たことで、こんな状態の場所も必要なのだということを知りました。 今まで、水涸れの度に失った命も多くありました。 水を涸らさないことが重要なテーマになっています。 今回はまず、1段目の水流を回復させるために、水漏れ箇所を見つけて、補修していくことにして、全員で水漏れ箇所を見つけ、補修することを試しました。 思い思いに流れる様子を観察して、水漏れ穴を見つけていました。 大きな穴が開いている所には土嚢をつくって埋め込みました。 小さな穴の場合は、イネワラを詰めてから、土を詰めて補修しますが、この日はイネワラを忘れてきたので、近くの草を代わりにしていました。 ただ、草の場合は短期間しかもちません。 また、水路に生えていたヨシは刈り取り、泥の溜っていた所は泥あげもして、水が流れ易い状態にしました。湿地全体に水を行き渡らせるためです。 ここまで済ませることで漸く水が流れ始めましたが、それでも流量が少ないため、1段目から2段目に水が落ちるようになるまでに時間がかかりました。 2段目の東側3分の1は水草を優先して手入れをする区域としました。 オニスゲ、コウガイゼキショウなどが繁茂し始めていましたが、水草の芽を見つけ出し、ヤマグワの枯枝で目印を打っていきました。 これの保護のために、コガマやヨシなど、丈の高くなる植物は除草しました。すると、ミズニラが見つかりました。 ミズニラは、環境省が準絶滅危惧(NT)としているシダ植物です。 谷戸では、田植え前の田圃に雑草のようにいくつも見られたりしていました。 湿地の2段目を3つに分けて管理をするようになってから、同じ場所に見られるようになりましたが、何故か、昨年は見つからなかったので、消えたのかと思っていました。 水が涸れ始めてから時間が経っていたのか、セリやツリフネソウの芽も多数出ていました。 こうした場所は、鍬で攪乱しました。 漸く水が入ってきましたが、まだ十分ではないので、数日経ってから状態を確認して、必要な手入れを行いたいと思います。 水が2段目から3段目に落ちる辺りも水漏れ穴を塞いで、樋から水が落ちるように補修しました。 この辺りの水域には小さなオタマジャクシが見られました。 シュレーゲルアオガエルの孵化して間もない幼生でした。 水が落ち始めると、やがて3段目にも水が広がり始めました。 3段目の水漏れ穴探しは、非常に難しかったようです。 紛らわしいアメリカザリガニ穴がいくつも口を開けていました。 これらは水が広がる前に、付近の土をまとめて掘り返すと、中に隠れていたアメリカザリガニが見つかりました。 こんなアメリカザリガニ採りは初めてだったようで、子どもの日参加の子には楽しかったようです。 オニヤンマのヤゴも見つけ出しました。 シュレーゲルアオガエルの孵化して間もない幼生は、魚にも見えたようです。 今回も羽化殻調べができませんでしたが、今年は、田圃でも、湿地でも、必ず見られるので、安心して、「生田緑地にもシオヤトンボが棲息しています」と言えます。 草叢にはヒメウラナミジャノメがいました。 活動を終えて、木道のベンチで休憩し、解散しました。 その後、5月3日(火)に活動した上の田圃の湛水状態を見に行きました。 2006年に再生した上の田圃の下の段は、当初田圃の状態になかったため、湛水した状態を保つのは非常に困難でしたが、最近は、一度しっかり手を入れれば湛水できるようになりました。 上の田圃の上の段には、アカボシゴマダラ春型が来て、吸水していました。 田圃は湛水していました。 セリバヒエンソウ駆除 日時 2016/5/5(木) 10:00〜12:30 晴 場所 生田緑地 萌芽更新地区下 参加者 岩田芳美 セリバヒエンソウの駆除を行いました。 |
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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation