生田緑地の谷戸の自然保全活動



ハンノキ林保全(アズマネザサ刈り、水路の泥あげなど)
日時 2015/10/8(木) 10:00〜12:30 晴
場所 生田緑地 ハンノキ林
参加者 岩田臣生、岩田芳美、鈴木潤三、田村成美、細川洋子

生田緑地のハンノキ林は環境省の特定植物群落に指定されている自然林です。
生田緑地の生物多様性を考える上で最も重要な場所の一つです。
夏至の頃には「ホタルの国」の森のステージとなり、ゲンジボタルの幽玄な光の舞を楽しませてくれます。
林床の水流には、かつての多摩丘陵には普通に見られていた水辺の生物が生き残っています。
しかし、ハンノキ林は自然の遷移の過程で一時的に出現する樹林であり、やがて消えていくのが自然です。
実際、活動を始めた頃は、高さ3〜4m、太さ1cmを超えるアズマネザサが密生し、無数のアオキが繁茂していました。 ハンノキ以外の樹木もかなり入っています。
昔のハンノキ林を知る人の話では、林床の湿地には今では珍しくなってしまった植物が見られ、オニスゲが繁茂していたそうです。
現在、林床にオニスゲは見られません。それだけ林床が暗くなっていることを物語っています。
しかし、長い時間をかけて、少しずつ暗くなった場所であり、その環境に適応する生物が生息しているはずですから、単純に明るくすればよいという話ではありません。
林床に生き残った生物を保護するために、その生息環境を保全する必要があると考えていますが、生田緑地のホットスポットに手を入れることに伴う大きな責任を受け止める決心がつかず、簡単には手が出せませんでした。
そこに林床の陸地化が進んでいるという指摘を様々な人から度々聞かされることで、取り返しのつく範囲でやってみようと決心し、2006年12月に、植物班の協力を得て、ハンノキ林内の樹木調査を7日間かけて行いました。
この調査の結果、ハンノキ林と称している区域の南の方にはハンノキが少なく、ヤマグワやアカメガシワが集中していることが分かり、この辺りから手をつけることにしました。
私たちの活動の目的はハンノキ林の更新ではなく、ハンノキ林に生き残った生物の生息環境を保全することです。 「取り返しのつく範囲で、やってみて、考える」という原則に立って、少しずつ進めてきた経過にについては、ここでは省きます。

今日の活動の目的の一つは、ハンノキ林南端部のアズマネザサ刈りです。
昨年アズマネザサ刈りをしていませんでしたので、勢いよく伸びていました。
これらのアズマネザサを刈り、今年1月に伐採したアカメガシワの萌芽枝も除伐しました。

アズマネザサ刈りを進めると、隠れていたヤクシソウ、ヒヨドリバナ、タマノカンアオイなどが現れました。
また、テングチョウやアキアカネがやってきました。


作業中に、こんな幼虫が転がり落ちました。
体長1cm程度と小さく、10月のことですから幼虫か蛹で越冬するチョウでしょうか。 正面から見た顔は真っ黒でした。
いろいろ調べて、コジャノメの幼虫ではないかと考えました。
拾った場所には丸坊主のチヂミザサがありましたので、食草は該当します。 幼虫越冬という生態にも当てはまります。


もう一つの目的は、ハンノキ林内を湿潤にするために進めている水溜まりづくりで、水溜まりに水を送るために このエリアにつくった水路の泥あげです。 この水路に泥が溜って、林内の水溜まりまで水が届かず、涸れていました。
水路沿いのアズマネザサを刈り、水路の泥を上げました。 初めて水路を掘った時はガチガチに硬かったことを覚えていますが、土はすっかり柔らかくなっていました。


集合写真を撮りました。撮影は岩田芳美です。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation