生田緑地の谷戸の自然保全活動



大雨の後の谷戸の水辺管理
日時 2015/9/11(金) 10:00〜13:20 晴
場所 生田緑地 湿地、上の田圃、下の田圃
参加者 岩田臣生、岩田芳美

川崎にも大雨警報や土砂災害警報が発せられる程の雨がありましたので、谷戸の水辺の点検が必要と思っていました。
大雨が降ると、谷戸では小さな洪水が各所で起こり、水流に土砂が溜って、流れが変わってしまっていることがありますので、点検と必要に応じて補修をしなければなりません。
生田緑地に着いて東口を入ったところで、生田緑地の維持管理を担当している作業員の方たちから、谷戸で1本倒木があったと聞きました。
谷戸に降りていくと、濡れた樹木や木道の手摺などで、ナミギセルやアズキガイが活動していました。



倒木については事務所でも知らされましたが、ハンノキ林の北端付近の樹木が1本倒れていました。
昨年、枯れた3本株立ちのコナラが倒れそうで危ないので伐らせてくれという申出があったのですが、この枯木は、そう簡単には倒れないと判断し、 木道側に傾いていた1本のみの伐採に留めてもらいました。 そんなことがあったので、話を聞いた時は、この時残した枯木が倒れたのだと思いました。
ところが、倒れた樹木は、もっと奥にあったもので、残しておいた2本の枯木の間に割り込むように倒れていました。
伐採を止まってもらった枯木だったら自分で処理しなければならないと考えて、ヘルメットとノコギリを持って、谷戸に降りましたが、 倒木がぶつかっても倒れなかったのであれば、暫くは倒れないと思いましたので、倒木の片付けのみ、指定管理者にお願いすることにしました。


今日の目的は水辺の点検です。
まず、湿地に向かうと、湿地上側のデッキの手すりに白装束をまとったアゲハモドキの幼虫が2匹いました。
直ぐ近くには、叩きつけられたような痕跡があり、上空はミズキが枝葉を広げていましたので、雨で落とされたのかと想像しましたが、大雨からはだいぶ時間が経過しています。

降雨を受けて、水流の流量は増えていましたので、小さな水漏れなどは見つかることはないのですが、結果的には二つの問題がありました。
竹林側から湿地に入る水流は沢山の土砂を運び込んでいましたが、2段目を潤し、設置した竹パイプを通って3段目に落ちていました。 ただ、その水が3段目に広がっていませんでした。 直ぐ近くに大きな陥没穴が開いていて、その底に勢いよく流れる水が見えました。
この区域を湿地にする活動を始めた頃、沢に排水するための太いパイプが何本かありました。 このパイプは、元の地主さんがここでの田圃を諦めて、畑にしようとして設置した排水パイプです。
そのパイプは簡単には引き抜くことができなかったため、畔を広く取って、排水口を塞ぎました。 いつの間にか、そんな排水穴に繋がる穴ができていたのかも知れません。
迂闊にも土嚢袋を持参し忘れたので陥没穴は土で埋めました。 また、3段目に掘ってあった凹みにつながる水路を掘りました。 流量が多いため、直ぐに水溜りができました。

カナムグラ刈りも少し行いました。

二つ目の問題は1段目から2段目に水が落ちた所に穴があるらしいことです。
そこに水が流れ込んでいるようで、2段目には僅かな流れが見られるだけでした。
1段目の水路から2段目に落ちる水量はかなりの量がありましたから、この水漏れ穴を補修しなければなりませんが、それは改めてのことにしました。

湿地上側のデッキに出て少し休憩しました。


上の田圃に移動して、田圃への導水路に溜った泥を上げました。 木道下のパイプは泥に埋まっていて、水は溢れて流れていましたが、流したい方向に流れていました。
そこで、パイプを掘り出しましたが、パイプの径が小さくて、これだけでは足りないようでした。 水流の流量が落ち着くまで放置することにしました。

田圃のイネは倒れて、一部が水に浸かってしまっていました。 しかも、アライグマの食害は一層進んでいて、今年は里山の自然学校の稲刈り、脱穀ができなくなる恐れもありそうです。

田圃にはシオカラトンボやオオシオカラトンボがいましたが、田圃の縁にはマユタテアカネ♂がいました。

下の田圃のイネは、もう殆ど穂を残していません。
斜面裾のカナムグラの繁みを刈り取ると、水流に泥が溜り、田圃へは水が入っていないことがはっきりしました。
そこで、水流の泥を上げて、田圃へのパイプを見つけ、ヨシを使ってパイプの中を掃除しました。 流石に泥の量が多く、数回繰り返して、やっと導通させることができました。
水は凄い勢いで田圃に入り始めましたが、水流に堆積している土砂の量が多いので、また、直ぐに埋まってしまいそうです。
作業を終えたところにオニヤンマが飛んできて、草の茎にぶら下がりました。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
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