生田緑地の谷戸の自然保全活動



谷戸の水辺管理
日時 2014/5/9(土) 9:20〜13:00 晴
場所 生田緑地稲目谷戸
参加者 岩田臣生

4月28日(月)の水環境調査、5月1日(木)の哺乳類調査の時には、上の田圃に水がありました。 5月2日(金)のシダ植物についての立会の時は、梅畑まで来ていながら、田圃の状態を確認していませんでした。
1週間経ったところで、班員から、上の田圃の水が消えているとのメールをもらうことになりました。
穀雨の季節、植物の活動が活発になることで蒸散量が飛躍的に増えることから、谷戸の湧水の流量は減ってしまい、ちょっとした水漏れが水涸れを引き起こします。
谷戸の水辺の状態を観察して、必要な手を入れることにしました。

ピクニック広場の辺りには、オカタツナミソウが咲き始めていました。

ハンショウヅルも花の盛りのようでした。


ハンノキ林の林床のホウチャクソウは花から結実へ移りつつありました。

湿地
湿地の水流は非常に少なくなっていました。 また、2段目の途中から消えていました。 この孔は一応塞ぎましたが、水量が少ないので、なかなか結果を確認できません。
クロスジギンヤンマが目前に現れ、消えました。
草の上辺りを、クロハネシロヒゲナガ♂5が飛んでいました。 じっくり探したら沢山いそうです。
林縁の草の葉上に、ベニカミキリがいました。 飛び立ったベニカミキリにオオイシアブが襲いかかりましたが、一緒に地面に落ちて、ベニカミキリは逃げました。 オオイシアブの方は、暫く、近くの草の葉上で休んでいましたが、やがて消えました。
ジョウカイボンがいました。

オヤブジラミが咲き始めていました。

姿は見えないものの、シュレーゲルアオガエルの鳴き声が谷戸に響いています。

上の田圃
確かに水涸れを起していました。
まず導水路の点検から始めました。 水路の水位の高さの所に2つの孔がありましたので、これを潰して、泥あげも行いました。
ホトケドジョウ(4cm)2、アメリカザリガニ(4cm)2がジョレンに入りました。
パイプを通過する流量は少し増えました。
以上を済ませてから田圃を調べました。 下の段は水が涸れて、アズマヒキガエル幼生はかたまって乾きに耐えている様子です。 水をかけてやると動き出します。
水路を補修して流量が増えたことで田圃に水が広がれば助けられそうですが、なかなか下の段まで水が届きません。 オタマジャクシの塊をジョレンで掬って、上の段の水の中に移しました。 殆んどの個体は脚が出ていました。


オオスズメバチが飛んで来て、田圃に降りました。


水の広がり始めた田圃にシマヘビが死んでいました。 尾部が無くなっています。 頭部も体も綺麗なので、戦いに敗れて死んだとは考え難い状態でした。 ただ、その尾部は畔に開いた孔の中にありました。


田圃付近のハルジオンにジャコウアゲハが来ていました。


カヤツリグサ科植物の保護
谷戸を湿地に戻す活動を始めて間もなく、カヤツリグサ科の絶滅危惧種が2株生育を始めました。 30年程前に川崎周辺の植生調査をしていた藤間によれば、ハンノキ林の辺りで確認しているそうです。 持ち込みではなく、復活したものと判断できます。 2株のうち1株は標本にするべく採集されてしまいましたが、残りの1株は毎年花を咲かせています。 株も大きくなりましたが、残念なことに、周囲に増えてくれません。 種子は極めて小さく、発芽率も悪そうです。
株の中から出ている、他のカヤツリグサ科植物や、オオミゾソバ、ツリフネソウ、スギナなどを抜き取りました。

下の田圃付近
下の田圃の裏側、水流沿いのヨシ、キショウブなどを刈り取りました。
ヨシの葉上にクロセンブリがいました。

また、隣地の竹林から倒れていたモウソウチクを、手の届くところで伐って、片付けました。 ホタルの観賞ポイントなので、隣地に入って根元から除伐したかったのですが、今回は止めました。


竹林に接しているためか、葉上にベニカミキリがいました。

ニッポンマイマイもいました。


下の田圃の畔の辺りにはヒメシダが広がっています。


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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation