生田緑地の生物の生息環境を再生・保全する活動


生物保護区の湿地の攪乱、アオキ除伐
日時 2013/3/15(金) 11:00〜14:30 晴
場所 生田緑地 城山下谷戸生物保護区、上の田圃 
参加者 岩田臣生、岩田芳美

冬の寒さのせいで春が遅くなるかと思っていたら、最近の暖かさのせいで急に春の息吹が感じられるようになりました。 3月下旬〜4月初旬、桜の季節に開花していたアブラチャンも蕾が膨らんで、開花し始めました。
近年、強風や雪のために折れてしまったりして、花をつけていない木も何本か見られます。 斜面の裾のアズマネザサは少しずつ、刈り取る範囲を広げています。 自然探勝路沿いに10数本のアブラチャンがありますので、3月下旬の魅力的な自然観察ポイントになることを期待しています。


秋冬に手を入れていなかった城山下谷戸の生物保護区内の湿地に少し手を入れることにしました。
昨夏、イネ科植物が入って、だいぶ広がっていたので気になっていました。
現地をみて驚いたのは、水が見えないことでした。 一面に落葉が広がっていて、その落葉は濡れているのですが、水面がないのです。
観察しているとヤマトクロスジヘビトンボの大きな幼虫がいましたが、辛うじて乾いてはいないものの、元気はありません。
そこで、今回は数ヶ所に浅い穴を掘って、水溜りができるようにしました。 とは言え、水は地表を滴る程度のため、容易には溜まる気配がありません。


湿地の上の方には、数株のミヤマカンスゲが咲いていました。

越冬していたテングチョウが日溜りに出てきました。

その後、周囲のアオキを抜き取る活動も行いました。 ここのアオキは尋常の数ではないので切りがありませんが、湿地を広げるための抜き取りとアオキの茂みの中の新しい実生の抜き取りを少し行いました。

同じ生物保護区内の別の水辺も調べました。
倒木とアオキが入口を塞いでいました。また、奥の方に大きなカヤの倒木がありました。
大きな鋸は持っていなかったので、この水辺に生息している昆虫に影響が出ないように、辺りを覆っていた枝だけ切り落して、取り除きました。 また、谷底部に数個の穴を掘りました。
ただ、ここも同様に、殆んど水がありません。 もともと多いところではないのですが、極端に少なくなっています。
倒木の処理も含めて、もう少し、手を入れておく必要がありそうです。


城山下谷戸の探勝路の周辺は、2010年10月の市民部会で話し合い、同年12月に下草刈りを行い、 谷底部についてはハンノキ林のような湿地にしようということで、水田ビオトープ班が活動していましたが、 水量が少ないこと、それが伏流してしまうということで進んでいません。
谷底部の落枝が酷かったので、1ヶ所に集めました。 散乱していると荒れた感じになりますが、カントリーヘッジとして積んであれば、景観のアクセントになります。

アオイスミレが咲き始めていました。


上の田圃のアズマヒキガエルの卵を見に行きました。
田圃への導水路で、落葉のために、水が止まっていました。 この流量とアメリカザリガニの開けた穴のために、下の段では水が少なくなって、中央部にあった卵が危険な状態にありました。
水を止めていた落葉を取り除いて、水を流し入れ、下の段の中央部にあった卵は移動しました。
アメリカザリガニが開けた穴2ヶ所は塞ぎました。
卵塊の数を確認する目的もあったのですが、アズマヒキガエル♂たちが暴れまわったためか、一体化して広がっていて、区切ることができませんでした。


帰り道、ピクニック広場下の階段の辺りでシメに出会いました。
近づくと、どうしようかなというふうに首をかしげていましたが、やがて飛び去りました。
落葉の下に餌になるようなものがあったのでしょうか。

生田緑地の谷戸の自然保全活動のメインページへ

特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation