谷戸の水の管理
日時 2012/5/6(日) 9:30〜14:00 晴後曇
場所 生田緑地稲目谷戸
参加者 岩田臣生、岩田芳美
昨日(5/5)の里山倶楽部Aの終了後、前日(5/4)の雨で水が止まっているのではないかと、谷戸の水辺の様子を見に来たところ、案の定、導水路が壊れて、
水は水路以外のところに溢れ、上の田圃には水が入っていませんでした。
所々に残った水溜まりにオタマジャクシが黒い塊となっていました。
そこで、この日は田圃と水路の補修および水の管理をするために生田緑地に来ました。
谷戸へ降りる階段の手摺りの上には沢山のイモムシが歩いています。
殆どはシャクトリムシ(シャクガの仲間の蛾の幼虫)でしたが、中に、チョウの幼虫がいました。
ウラナミアカシジミの幼虫のようです。
ウラナミアカシジミは生田緑地でも非常に少なくなっていて、年に1回成虫1個体に出会えたらラッキーという状態でした。
それが、いくらか回復してきたのか、昨年は成虫を数個体観察することができました。
勿論、手摺りの上で幼虫を観察できるなどということは予想もしていませんでしたが、それだけ増えていることを感じさせる出来事でした。
上の田圃付近まで来たところで、辺りに咲きだしていたハルジオンの花にジャコウアゲハが来ていました。
作業はまず、上の田圃への導水路の補修です。
水路に上流から流れてきた土砂が溜まり、木道の下に渡したパイプが埋まって、溢れた水が周囲に広がっていました。
泥上げをしてパイプに水が流れるようにすると勢い良く田圃側の水路に水が流れだしました。
それから、水汲み用の堰を補修し、溜まっていた土砂を取り除きました。
水が田圃に入るようになったのを確認してから下の田圃に向かいましたが、
帰りには干上がりかけていた田圃に水が溢れていました。
これを確認してから、堰に手を入れて、少し水位を下げることにしました。
カルガモが泳げないように、居心地悪くしておきたいと思いました。
下の田圃については、昨日(5/5)にカルガモが来ていたことから水位を下げたいと思いました。
しかし、現地を確認してみると、排水口とその外側付近でも水位が高かったことから、まず、排水路の中に出てきたヨシを刈り、
水路の流れを悪くしていた様々なものを取り去り、水路部分の水位を下げることにしました。
それから堰の底面を少し掘り下げました。
それでも田圃に流入する水の流量が多いため、なかなか水位が下がらないので、片側の土嚢壁を取り去ってみました。
数日後に来て、様子を確認し、次の手の入れ方を考えます。
これほど湧水の多い状態は、活動を始めてから初めてのことです。
木道から近い水流で、オオミゾソバが一面に黄緑色に広がって、来園者には魅力を感じる景観のようです。
この辺りで立ち止まって、ジッと眺めたり、話をしている姿が度々見られました。
また、ホタルはいつ頃見られるのかと声をかけてくる夫婦もいました。
ハンノキ林上の案内図は斜めになっているので、見ようとして覗き込まないとポスターにも気がつかないようです。
ポスターを追加しておかなければと思いました。
木道の両側でヨシが伸び始めています。
下の田圃にはシマヘビが来ていました。
シュレーゲルアオガエルが水辺に出てくる季節には田圃付近から離れようとしません。
シモフリコメツキの仲間が何かを食べていました。
何か分かりませんでしたが、食事の邪魔をしないことにしました。
次に、ヨシ原近くの階段下の水流を見に行きました。
水が凄い勢いで水路を流れているばかりでなく、外側でも流れていました。
そこで、水路の末端の排水口付近に溜まっていた木の枝や落葉、土砂などを掬い上げました。
水路部分に溜まっていた土砂もジョレンで掬い上げました。
しかし、流量が普段の5倍以上に増えているためか、変化は殆ど見られませんでした。
その後、湿地〜ハンノキ林についても、水辺の状態を見ていきました。
草地にクロハネシロヒゲナガ♂が舞っていました。
体長6mmほどの小さな蛾ですが、♂の触角は非常に長く、これを震わせるようにフワフワと草の上すれすれのところを飛んでいます。
飛び方がユニークなので、5月初旬に出会えるのを楽しみにしています。
この仲間は、生田緑地では3種ほどが確認されていて、草地であれば、雑木林の内外を問わず見られそうです。
園路わきの草地に目をやって、フワフワと漂う糸のようなものがあったら観察してみてください。
ミドリシジミの幼虫が活動していました。
ミドリシジミの成虫は6〜7月に見られ、産みつけられた卵は翌春に孵化してハンノキの若い葉を食べて育ち蛹になります。
正確には、カバノキ科のハンノキ、ヤマハンノキ、ミヤマハンノキなどのハンノキの仲間だそうです。
生田緑地のハンノキ林を代表する生物の一つだと思います。
ハンノキ林の林床にシラユキゲシを見つけて、駆除しました。
季節的には林床の水辺に立ち入らないように注意している時期ですが、細心の注意を払って入り、抜かせてもらいました。
シラユキゲシは中国東部原産の外来種です。ケシ科の多年草で繁殖力を非常に強く、一度広がってしまうと駆除は容易ではありません。
生田緑地では、2004〜2005年の頃、林縁に花が見られ、来園者から「綺麗な花が咲いているが、あれは何か」とよく聞かれました。
しかし、2006年にはハンノキ林の水辺一帯に花が見られることとなり、植物班を中心に駆除活動が始まりました。
現在では一面に咲くという状態は見られなくなりましたが、まだ毎年、各所に点々と開花が確認され、駆除を続けています。
大雨の影響で林床に新たな水流ができていました。
ここは、雨の後など、地面が湿った状態になっていましたが、水面ができて、流れている状態は初めてかも知れません。
ハンノキ林上の所まで来て、セリバヒエンソウが咲いているのが確認されました。
これも、中国原産の外来種で、明治時代に帰化が確認されています。
4月の下旬から見つける度に抜き取るようにしていましたが、後から後から出てきて広がりました。
本格的に除草しなければいけない時期のようです。
そうこうしていると空が暗くなり、雷鳴が聞こえ出しましたので、急いで帰ることにしました。
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