生田緑地の谷戸の自然保全活動





日時 2012/4/30(月) 11:00〜15:40 曇
場所 生田緑地稲目谷戸
参加者 岩田臣生、岩田芳美

連休の生田緑地は凄い人出です。 メガスターVの威力です。
自然のエリアも家族連れが多く見られ、調査のためでも雑木林に入るのは止めておくことにしました。
湿地の植物保護のためのチゴザサ刈りを主目的に、いくつかの作業をしておくことにしました。

ピクニック広場の草地保護柵に掲示
3月22日の里山倶楽部では、ピクニック広場東側の樹木を伐採しました。 広場の草地を広げる目的での活動でした。
広場の草地にはトモエソウが発芽し始めたことから、4月24日に竹で柵をつくりました。
これらの活動の目的を説明する掲示が必要と思っていましたが、文面に悩んで、遅くなってしまいました。
来園者の多い季節となりましたので、取り敢えず、草地に立ち入らないようにしてもらうためのお願いを掲示しました。


セリバヒエンソウの駆除
今年もセリバヒエンソウが咲く季節になりました。
セリバヒエンソウは中国原産の外来種で、明治時代に日本に入ってきたもののようです。
生田緑地では2009年から駆除対象としていますが、消える様子はなく、むしろ分布域が広がっているようにさえ思えます。


ホタル・ガイド・ボランティア募集掲示
川崎市公園緑地課がハンノキ林上の案内板を新しくしてくれました。 ここにあった案内板はホタルの里が整備される前に設置されたものであったため、現実との違いが顕著だったことからの更新でした。
この案内板の左側に白地の部分を敢えて残していただきました。 そして、そこを自由に使っていいという了解を得ました。
これは画期的なことだと思います。 この谷戸の中の情報を伝える場として活用させてもらうつもりです。
そこで、早速、ホタルの国の情報提供をすることにしました。 毎年、5〜6月のホタルの里では、ホタルについて聞かれることが多いのです。
雑巾を用意して、表面を綺麗にしてから貼ることにしましたが、既に、落ちにくい汚れがついていました。 樹液はなかなか落ちません。


ツルニンジン保護
同じ場所の萌芽更新地区側にはツルニンジンが既に発芽して、伸びだしています。
今年はツルニンジンが絡みつける竿を設けておくことにしました。
竹はピクニック広場の柵をつくった時に運んでおいたものです。 これをカントリーヘッジの支柱に縛りつけました。
アカハネムシが飛んできて、ヘッジの中に入っていきました。 毎年、観察できるアカハネムシの数が増えています。


カナムグラなどの駆除
谷戸の合流部のカナムグラやオオブタクサを駆除する活動も行いました。
オオブタクサは北米原産の外来種で、環境省の要注意外来生物に指定されています。 生田緑地の谷戸では2007年から駆除を始めましたが、はじめのうちは夏の終り頃、結実し始めた頃に行っていました。 今では、4〜5月の小さいうちに駆除するようになっています。
カナムグラは外来種ではありません。キタテハの食草でもあります。 でも、非常に強い植物で、マント状に他の植物を覆って枯らしてしまいます。 アズマネザサやオギ、オオブタクサも負けてしまいます。 生田緑地の谷戸では、9〜10月のツリフネソウやオオミゾソバの花を見どころにしたいと考えており、 木道沿いの草地からはカナムグラを排除することとして2008年から駆除を始めました。 これも当初はツリフネソウが咲き始めるころに行っていましたが、 2010年からは発芽直後から駆除しています。
しかし、カナムグラは後から後から生えてきて、4〜10月の間、続く、根気のいる活動です。 継続できるやり方で、少しずつでもすることにしています。
草の上をシモフリコメツキの仲間やアカハネムシの仲間が飛んでいました。 水辺の甲虫類が、増えているようです。
シモフリコメツキの仲間 オオブタクサ


上の田圃
上の田圃の上の草地にレンゲが咲いています。 何人もの人がカメラを構えている姿が見られました。
レンゲは中国原産の外来種で、標準和名はゲンゲです。 しかし、このレンゲを田圃の肥料としていた時代、春の田圃にレンゲの花が広がっている景色を見ていた私たちにとっては懐かしい景観なのです。
ここのレンゲは、2005年に、北部公園事務所が春に田圃にレンゲの花が広がる景観を再現した名残です。
ハルジオンの花が咲きだして、その花でベニシジミが吸蜜していました。
ハルジオンは北米原産の外来種です。 生田緑地の谷戸では駆除対象とはしていませんが、湿った環境は好きではないようで、ここでは侵略的という繁殖は見せていません。
ルリタテハが、人のいないテーブルの上で陽光を浴びようとしていました。


湿地の植物保護のためのチゴザサ刈り
湿地に復活した植物の保護のため、今年もまた、チゴザサ刈りを始めました。 腰を曲げて 2時間の作業です。 できれば抜き取りたいところですが、地上部を刈り取ることしか出来ませんでした。
水位も少し下げました。水が浸るか浸らないかぐらいの泥面をつくるためです。


下の田圃の水の管理
今年はカルガモが来ていることが多いので、田圃の水位を落とそうと思いましたが、現地の植物の生育状態を見て、もう少し様子をみることにしました。
木道の上で、どうするかを考えていると、コミスジが飛んできました。 そして、何故か、側にきて止まりました。

垣根の竹の上にはツマグロヒョウモンが止まっていました。 これも光を体いっぱいに受けようとしているかのようでした。

ヒメガマやコナギが、既に、発芽していました。 畦には、ムササキサギゴケが咲いていました。

そして、待望のシオヤトンボ♂が現れました。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation