生田緑地の谷戸の自然保全活動



下の田圃からの排水路変更
日時 2012/4/18(水) 09:30〜12:45 晴 19℃
場所 生田緑地 ピクニック広場
参加者 岩田臣生

今日は昨日の活動の続きとして下の田圃の奥の土砂で埋まっていた水路の泥上げをするつもりで、深い田圃に入る心構えをして谷戸へ降りました。
下の田圃に着くと、Yさんが隣接地の枯れヨシの片付けをしていました。
挨拶をすると、またしても、「排水口を変えてもらいたい。水を止めてほしい。」と言われました。
湿田をクワイ畑として利用することを止めてしまったので水を入れておく必要が無くなったのです。 水が入っていると、生えたヨシを刈るために湿田状態の所に入らなければなりません。 これは大変なことなのです。 ヨシ刈りを始めたところで、このことに気がついたのだと思います。
今冬は谷戸の水流の流量が例年の2倍にもなっているため、谷戸の谷底部はどこも湿地状態になっています。 Yさんの畑の辺りも湿った状態になっているようで、その原因が、かつてのクワイ畑に水を入れているためだと考えているようでした。
このために、3月以降、顔を合わす度に水路を変えてくれと言われていました。 ただ、田圃活動で一番悩ましい苗作りについて考えている時だったので、新たに水路をつくる作業は年末にさせてもらいたいと思っていました。
しかし、いくら話しても埒があかないと判断し、活動予定を変更して、新しい水路を掘ることにしました。 一面に生えてきたオオミゾソバの芽を踏み潰してしまったとしても、1ヶ月も経たないうちに生育してくれると判断しました。
また、この程度の水路づくりは取り返しの着く範囲だと考えました。 ともかく、手を着けて、納得してもらうことを優先させることにしました。

田圃の水を良好な状態に保つためには、排水口と導水口は反対側に設けるのが適切です。
昔の田圃の地形を推測し、この場所の植生を考えて、流す方向を決め、ホタルの里整備事業で掘られた中央の水路に排水することにしました。
必要な道具や土嚢袋は持ち歩いていましたので作業することに問題はありませんでした。
やってみると水路を掘ることは案外簡単でした。 ただ、元々湿地状態になっていましたから、水路から周囲への水漏れについては止めようがありません。 今後、様子をみながら手を入れていくしかないと思います。
一通り水路を掘ってから、排出口を土嚢で造りました。
その後、今までの排出口を枯れ草と土で塞ぎました。水は完全には止まっていないように見えましたが、 新しい排出口から少しずつ流れだしたのを確認したところで、今日の作業を終りにしました。 13時に、ビジターセンターに行かなければならなかったからです。
作業着手時 作業着手時 作業着手時 作業後 作業後 作業後 作業後 作業後

この日は梅畑〜下の田圃の間をカワセミが2羽で何度も往復していて、作業は、シュレーゲルアオガエルとカワセミの声を聞きながら進めました。
また、今日も、休憩していると目の前に2〜3匹のヤトセスジジョウカイが現れました。
ヤトセスジジョウカイ
帰り道、上の田圃の上のベンチの辺りでクロセンブリを見つけました。



ビジターセンターの展示「生田緑地の春」について協議
日時 2012/4/18(水) 13:00〜13:30 晴
場所 生田緑地ビジターセンター
参加者 岩田臣生、岩田芳美

ビジターセンターの展示「生田緑地の春」に用いられているチョウについての問題点を、総合企画局公園緑地まちづくり調整室(磯部氏)に現地説明しました。 少なくとも、展示の目的に照らして、生田緑地に生息していないチョウを展示するのは問題だと思いました。
この展示は、生田緑地の春夏秋冬を4つの展示物でイメージさせることを目的にしているようでした。 でも、ビジターセンターにとって大切なことは、「来園者にとっての今」の情報が多いことではないでしょうか。 立派な展示物をつくって、いつ来ても同じ情報を提供しているとすれば、何度訪れても同じ情報しか得られないということになります。 来園者が求める情報と来園者に伝えたい情報、これらを適切に結びつけることが、「協働のプラットフォーム」としてのビジターセンターの役割ではないでしょうか。
また、多様な来園者の求めに応えるためには多様な情報の収集が不可欠です。 残念ながら、オープンしたばかりのビジターセンターの展示可能なスペースは、生田緑地内の博物館施設の展示物で占められていました。
生田緑地植生管理協議会市民部会“里山倶楽部”の案内ポスターを持ち込んだところ、まだ掲示についてのルールが決まっていないという理由で断られました。 これについては施設を建設する前の説明と余りに異なるので、公園緑地まちづくり調整室に頼み込んで貼らせてもらいました。
ビジターセンターがどの様な情報を収集し、発信するかという時のクライテリアは、行政情報か否かではないと思います。 来園者が求める生田緑地の情報がどれだけ集積されているかがビジターセンターの価値になると思います。 勿論、盗掘を防止するために、希少種等についての情報については別扱いです。
それから、来園者に守ってもらいたい情報、来園者に管理者としてお知らせしなければならない情報なども必要だと思います。
ビジターセンターに寄れば、その日の生田緑地の見どころなど、生田緑地を楽しむために必要な情報の全てが得られるようになっていることが大切だと思います。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation