Batocera lineolata Chevrolat, 1852
甲虫目カブトムシ亜目ハムシ上科カミキリムシ科フトカミキリ亜科シロスジカミキリ属
成虫は5〜8月に出現。夜間に交尾、産卵。
交尾が終わったメスは生木の幹の低い所にやってきて、木の皮をかじって円形の孔(あな)をあけて産卵する。メスは横に移動しながら次々と産卵するので、木の幹には産卵痕が輪状に残る。それらの産卵部位では師管や道管も損傷するので、樹皮が再生してもささくれ立ったような状態になったり、こぶ状に肥大したりする。
ふ化した幼虫は樹皮下に食いこんで材部を食べる。幼虫が材部を掘り進むとトンネルができ、木の強度が弱くなって折れやすくなる。殊にシロスジカミキリは大型になるうえ、3年〜4年かけて成長するので木へのダメージも大きい。強風などでクリやクヌギの太い木が根元から折れてしまうことがあるが、これも材部がシロスジカミキリに食い荒らされたことによるものが多い。
充分に成長した幼虫は幹の中で蛹になり、羽化した成虫は木の幹に直径2〜3cmほどの円形の穴を開けて外に姿を現す。
ブナ科樹木を食い荒らすのでクリ畑などでは重要な害虫だが、雑木林の新陳代謝を促す一面もある。また、成虫の脱出痕や産卵痕からは樹液が染み出すので、カブトムシ、クワガタムシ類をはじめとした昆虫類が多数集まる。
なお、幼虫に寄生するハチとしてコマユバチ科のウマノオバチが知られる。長い産卵管を木の幹に突き刺し、幹にひそむ幼虫に産卵する。卵からふ化したハチの幼虫はカミキリムシ幼虫の体を食べて成長する。
神奈川県RDB 要注意種。
生田緑地の記録は、「枡形山(丸山,1971a)」(神奈川県昆虫誌2004)であり、最近は見られないようだ。
(上)2007/8/11(土) 八ヶ岳少年自然の家での夜間自然観察にて、岩田芳美撮影。
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センノキカミキリ
Acalolepta luxuriosa (Bates)
カミキリムシ科
日本全土に分布。
成虫は年1回6〜8月に発生。体長15〜40mm。幼虫越冬。
幼虫はセンノキ(ハリギリ)、タラノキ、ヤツデなどウコギ科の生木に入り、成虫はそれらの葉や若枝を食べる。
(上)センノキカミキリ♂ 2008/9/5 川崎市多摩区生田緑地にて佐藤利奈が見つけた死骸を岩田芳美が撮影。
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ノコギリカミキリ
Prionus insularis Motschulsky, 1857
カミキリムシ科 ノコギリカミキリ属
北海道、本州、四国、九州に分布。
5〜9月に発生。
幼虫は針葉樹の根や切り株、クヌギの朽木などを食べて育ち、数年かけて成虫になるといわれる。
(上)2008/7/31 生田緑地、里山の自然学校《夜の昆虫観察》のライトトラップに飛来した個体を岩田臣生撮影
(上)2011/7/17 生田緑地観察会《谷戸の自然》の途中、岩田芳美撮影
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ハイイロヤハズカミキリ
カミキリムシ科フトカミキリ亜科サビカミキリ族ハイイロヤハズカミキリ属
本州、四国、九州、沖縄などに分布。伐採された竹類に観られることが多い。
成虫は4〜8月に見られる。
(上)ハイイロヤハズカミキリ 2008/6/10(火) 生田緑地の竹林で伐採したモウソウチクから切り落とし、積んでおいた枯れ枝の上で交尾中、岩田臣生撮影
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ベニカミキリ
Purpuricenus temminckii
北海道、本州、佐渡、伊豆諸島(大島)、隠岐、四国、九州、対馬、壱岐;中国、インドシナに分布。
幼虫はモウソウチク、マダケなど肉厚の竹類を食べて育つ。
4〜8月に出現.
(上)ベニカミキリ 2008/6/10(火) 生田緑地の竹林で、2日前につくったホタルランタンを20〜30本立てかけておいたところに飛んでくるベニカミキリを観察できた。この時は5〜6頭が集まっていた。岩田臣生撮影
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クロカミキリ
北海道、本州、四国、九州、沖縄
体長 12〜25mm
出現 5〜11月
棲息 マツ、ヒノキなどの針葉樹の伐倒木
クロカミキリ 2020/7/26 ライトトラップ(里山の自然学校・岩田芳美)
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ホソカミキリ
Distenia gracilic
甲虫目カミキリムシ科ホソカミキリ亜科
分布/北海道、本州、四国、九州、屋久島、対馬など各地に普通に見られるカミキリムシ。生田緑地における最近の記録は(2003年 雛倉他)である。
エサ/マツ類の樹皮。幼虫はマツ類の倒木。
(上)2018/7/19 生田緑地、岩田臣生
(上)2019/6/14 生田緑地、岩田芳美
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ラミーカミキリ
外来種
Paraglenea fortunei (Saunders, 1853)
コウチュウ目カミキリムシ科
成虫は5〜8月に発生、イラクサ科のカラムシ、ヤブマオ、アオイ科のムクゲなどを寄主植物とし、昼間活動している。
本来はインドシナから中国、台湾に分布する種で、川崎で見られる種は中国からの帰化種とされている。
江戸時代後期に、本種の食草が麻の原料として輸入された時に一緒に移入されたもので、その後ラミー、むくげ、シナノキ、ケヤキなどについて爆発的に広まっていったとされている。
(上)2011/7/14 生田緑地、岩田臣生撮影
これはトコロ類の葉上にいたところであるが、このように寄主植物から少し離れた場所でも見つかる。
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ヒメヒゲナガカミキリ
コウチュウ目カミキリムシ科 フトカミキリ亜科
体長 10〜18mm
(上)2013/5/9 生田緑地(岩田臣生)
(上)2017/6/13 生田緑地(岩田臣生)
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トラフカミキリ
神奈川県要注意種
カミキリムシ科 (トラカミキリ族) トラフカミキリ属
Xylotrechus chinensis Chevrolat
トラフカミキリ 2018/7/4 宮前区東有馬,岩田臣生撮影
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ヨツスジトラカミキリ
カミキリムシ科 (トラカミキリ族)Chlorophorus属
Chlorophorus quinquefasciatus (Castelnau et Gory)
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タケトラカミキリ
カミキリムシ科 (トラカミキリ族)Chlorophorus属
Chlorophorus annularis (Fabricius)
タケトラカミキリ 2012/7/24 宮前区東有馬,岩田臣生撮影
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フタオビミドリトラカミキリ
カミキリムシ科 (トラカミキリ族)Chlorophorus属
Chlorophourus muscosus (Bates)
体長 9〜15mm
海岸気候性カミキリムシの指標種
フタオビミドリトラカミキリ 2012/7/1 多摩区生田緑地,岩田臣生撮影
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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation