特定非営利活動法人かわさき自然調査団とは



かわさき自然調査団とは

特定非営利活動法人かわさき自然調査団 事務局

活動の歴史

 かわさき自然調査団は、平成16年度川崎市社会功労賞を受賞しました。
 当調査団の歴史は、自然系博物館としての青少年科学館の歴史と重なっています。 1982年に博物館登録がなされた翌年から、市民ボランティアが集まり、変わり行く川崎の自然を調査・記録する活動が開始されました。
 この調査は、川崎市自然環境調査として3〜5年を1つの期間として繰り返され、現在、第6次調査が進行中です。 この22年を超える活動を当初より継続してきた団員もいます。
 この長期にわたる活動は、少しずつ内容を充実発展させながら、着実に歩み続けてきました。 そして、昨年11月に、特定非営利活動法人として法人格を取得しました。
 特定非営利活動法人となった目的の一つは、今まで私達を支え、育ててくれた前青少年科学館館長が定年を迎えることとなり、その後の活動の継続について不安を感じたことが、一つの理由です。 法人格を取得して、青少年科学館を活動の拠点として、今までと同様の活動を続けられるように、同館と協定を結ぶことを急いだのです。 幸いなことに、今年4月に着任された新館長は、私達の活動を、より自律的、主体的、永続的なものに押し上げようとして下さっています。前館長と現館長の推薦によって、今年度続けて三つの表彰を受けましたが、私達の活動を更に広げるための起爆剤にしたいとの期待からと感謝しています。
 ところで、こうした活動が長期にわたって継続できたのは館長の熱意に加えて、館長と私達との間に、日本を代表する様な、各分野の専門家が私達を指導して下さったお陰です。例えば、虫嫌いな主婦を虫屋に仲間入りさせてしまう程の影響力があったのです。長期にわたって活動が継続されているのは、こうした専門家の見識とお人柄によるところが大きいと感謝しています。そして、特定非営利活動法人となった現在も、引き続き私達を指導してくれています。

活動分野

 当調査団の活動の基本は自然環境調査で、植物、シダ、昆虫、クモ、野鳥、地学の各班に分かれて活動しています。毎週日曜日に開催している生田緑地自然観察会では、各班の団員がガイドとして、生田緑地を案内し、自然観察のお手伝いをしています。年間4回程度の青少年科学館特別展示の企画、製作、展示も、当調査団が担当しています。
 これらは、調査研究による知識と経験に基づく、自然啓発あるいは生涯学習普及活動として位置づけることができると思います。
 また、平成14年度からは、調査団が市民に呼びかけて「皆でできる自然調査」を実施しています。3年目の今年は、樹林調査とホトケドジョウ調査を中心に、野鳥やセミの調査を実施しています。川崎市の自然についての、こうした形の調査は、今までに例が無く、市民が楽しみながら社会貢献のできる活動であるばかりでなく、この活動を継続し、充実させることで、川崎市域の自然の現況を更に明確にできると同時に、その自然を保全していくための市民の活動を喚起あるいは活発化できるものと考えています。
 都市の緑は、非常に重要な社会資本の一つです。特に、自然、あるいは自然を感じさせる緑、そこに棲息する生き物は、首都圏という位置を考えれば、かけがえのないものです。広範囲におよぶ継続的な調査は、行政と連携した市民活動としてでなければ実現することはできないだろうと思っています。

拡大する活動

 自然に関する調査研究と自然啓発および生涯学習普及活動が、これまでの活動でしたが、今年4月から活動拠点である生田緑地のホタルの里で、休耕田を水田にする活動を始めました。この活動は、調査・研究に加えて、自然に対して直接的に関わっていく活動であるという点で、今までの活動と少し異なります。 しかし、かつて雑木林を薪炭林として活用し、水田を耕作していた時代の関わり方とは、目的が根本的に異なります。私達の田圃は農業として進めるものではありません。それは、里山らしい景観をつくることであり、そのような環境を好む生き物たちの棲息場所をつくることを目指しています。
 活動拠点である生田緑地は、川崎市北西部の多摩区と宮前区にまたがっています。周囲の市街化は顕著で、最初の市街化の波は戸建住宅地化でしたが、現今はそれらがマンションへと変容する第二波が押し寄せて来ているように思えます。
 因果関係を明確にするだけの調査をしているわけではありませんが、これら都市化の圧力は、水源の保水量を減少させ、湧水量を不安定にさせ、また、谷戸の夜を明るくしました。まさに「市街地の中の里山」です。
 田圃づくりの活動は、この様な都市的圧力によって歪められた部分を少しでも自然に戻す、そんな関わり方であると考えています。 こうした自然保全にかかる活動は、苦労も多い半面、里山の自然に浸かり、自然の変化を聞き取ろうとすると、多くの情報が得られ、非常に楽しい活動でもあります。

おわりに

 特定非営利活動法人かわさき自然調査団は、11月26日で1周年を迎えます。経済的基盤は極めて脆弱であり、こうした活動に不可欠の情報発信もまだまだ不十分と思います。しかし、90名を超える団員は、それぞれに豊かな経験と専門知識を有し、個性的で魅力的な面々です。応援してくれる多くの方々もいます。これからも、活動領域を拡大しながら、活動をさらに活発化していきたいと思います。
 ボランティア活動が継続するための要因は、楽しさと社会貢献になっているという喜びだと思います。その意味で、私たちの活動が認められ、表彰して頂いたことに心から感謝しています。

この文章は、政策情報かわさき第18号( 川崎市総合企画局政策部、2005/3/31発行 ) 81〜83頁に掲載されたものです。
《事務局へのメール》
特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation