里山倶楽部
【2022/4/2 更新】

令和 4 年度第 1 回里山倶楽部
<生田緑地で保護している生物とその環境の観察>

日時 2022年 4月 2(土) 10:00〜13:00
場所 生田緑地 桝形山〜野鳥の森〜中央広場
参加者 東 陽一、新井みどり、伊澤高行、岩渕祐輝、加登勇司、北川英樹、
    佐藤優子、佐藤功一(高1)、高谷秀史、田村成美
  (事務局)岩田臣生、岩田芳美・・・12名

里山倶楽部は、普通の市民が、生田緑地の自然保全活動に、レクリエーションとして参加できる活動で、里山倶楽部MLに登録したメンバーに活動情報を連絡する方法で実施しています。
昨年度末に、里山倶楽部メンバーの皆さんから、生田緑地で保護対象にしている生物について知りたいという意見をいただきました。
冬期の活動では、常緑ではない草本植物の地上部は枯れているため、保護している植物があっても気がつきませんが、春になれば芽吹いて、次々に開花します。
里山倶楽部の参加者は盗掘をするような人ではないので、活動時に出会えた生物は紹介していたつもりでしたが、タイミングがずれるとなかなか説明できないものです。
そこで、今回は、県内では生田緑地にしか分布していないスミレを紹介して、保護する立場で観察する目を増やすことにしました。
生田緑地観察会では観察対象にすることのない植物をメインに、春の植物とそれらの生育環境を観察しました。
高齢の私たち(事務局)に代わって、今後の里山倶楽部を継続してくれる人が欲しいと思うのです。

この日の集合は、サクラ満開の桝形山広場にしました。
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桝形山広場周囲の斜面が如何に急峻であるか、山城として利用していた頃の狭い道を広げるために崖面をどのように変えてきたかなどを観察しました。
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生田緑地のノネコ、ネコの会、ネコへの餌やり、ネコからタヌキに広がった疥癬のことなど、生田緑地を市街地と同じに考える人たちとの間に起こった出来事など、 記録には残っていないことを話しました。
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ネジキは、神奈川県植物誌によれば、県内では主に丹沢、箱根、小仏山地の岩尾根に見られ、多摩丘陵ではモミが生えるような乾いた尾根に稀に生えるとあり、市内では多摩区、麻生区に記録があります。
そのネジキが、まだ新芽が出たばかりですが、生田緑地でも観察できるので、案内しました。
生田緑地では、山地の植物にも出会えるということを知ってもらいたいと思いました。
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そして、いよいよ、県内では生田緑地にしか分布していない植物を紹介しました。
非常に小さいスミレです。
2016年3月には 80株ぐらいありましたが、倒木処理による大きな伐採材が置かれることが 2回もあって、その 2箇所では殆んど消えてしまい、少なくなりました。
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東口に向かいました。
日溜まりに、ウグイスカグラが咲いていました。
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ウグイスカグラ
東口駐車場に面した菖蒲池南側の斜面は 2008年11月に一面に繁茂していたアオキを除伐した地区ですが、北向き斜面で、南側に樹林が繁っているため、暗く、樹木の発芽は殆んど見られず、 アズマネザサが繁茂していました。
市民部会が活動を始めて間もない頃の植生管理ですが、失敗だったかも知れないと話しました。
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野鳥の森地区に入りました。
入口部のヒマラヤシーダ大径木は伐採されて明るくなっています。
園路両側のサザンカは植栽だということが話題になりました。
園路の東側の樹林地にある水流は、水田ビオトープ班が、泥上げなどの保全活動を行っていることを説明しました。
この辺りではイチョウが一本倒れており、この水流の源頭部では何本ものコナラが倒れていることが観察されました。
野鳥の森を整備した時に大石を配置してつくったと思われる水場の上には、倒木が散乱していました。
園路上のヤマルリソウが開花していたので、生田緑地観察会で案内したら、一週間後には消えてしまったので、その後の観察会では案内しないようにしたという昔ばなしをしました。
谷戸の奥の谷底部には、ユリノキ、フウなどの大木が植栽されていますが、ユリノキ一本は枯れて、根元近くの腐植が始まっています。
ヤマルリソウ
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最奥部は、里山倶楽部としても、2回ほど、アオキ除伐、アズマネザサ刈りを行っています。
園路脇に、ホウチャクソウなどが蕾をつけ始めていました。
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野鳥の森の中央部にある野鳥観察舎の辺りは、適度な日照も得られ、保護管理しているコアジサイが生育しています。
また、林床や園路部には、ナガバノスミレサイシンが広がり、チゴユリも生えています。
ここで集合写真を撮りました。
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チゴユリ
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芽吹きが始まったためか、ナラ枯れコナラは余り目立ちませんでした。
野鳥の森としては、大木が茂っている状態は大切なことだと思われるので、ナラ枯れ対策については、行政判断によって伐採された状態を観てから考えた方が良いと思いました。
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野鳥の森で保護すべきスミレを観察しましたが、 4〜5株の小さな群落になっていました。
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しかし、大勢で観察していたことで、今まで気がつかなかった場所に開花していた株を発見しました。
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菖蒲池付近でニオイタチツボスミレを見つけました。
匂いを確認しようとするので、時間がかかりました。
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中央広場の改修に合わせて、低木にヤマツツジが咲く雑木林を観察できる雑木林として管理することを始めた中央広場北雑木林の状態を観察しました。
隣接地のテーブルベンチは、この雑木林から少し離して、ベンチが使われていても、雑木林の観察ができるようにしていただきたいと思いました。
下から観察できるように管理していたシュンランなどが消えていたのも気になりました。
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この日の活動を終了し、解散しました。
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解散後は七草峠のスミレを観察して帰りましたが、ヒゴスミレは 100株超を数えられたのですが、アズマネザサなどの細い伐り株やキヅタは邪魔に感じました。



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