生田緑地自然環境保全管理会議市民部会
平成27年度第4回 7月の里山倶楽部B

つつじ山B区の植生を調べてみよう


日時 2015/7/18(土) 10:00〜13:00 曇、梅雨明けの猛暑、強い風
場所 生田緑地 つつじ山B地区
講師 藤間熈子
参加 日高信康
  (富士通)東 陽一、岩渕裕輝
  (生田緑地整備事務所)清田陽助
  (生田緑地運営共同事業体)額谷悠夏
  (市民部会事務局)岩田臣生、岩田芳美       8人

今年度第4回はつつじ山B区の現況植生を調査することにしました。 今後、どのような管理計画を立案するとしても、現況を把握しておくことは必要です。
当該地区の管理を担当してきた団体からは一人も参加者がいないことは残念なことです。
新たに決める植生管理計画は、様々な検討を経て、今年度末に決めることになります。
植生管理についても、生田緑地全体の生物多様性という視点から順応的管理を進める必要があります。
そのためには、今回のような植生調査をはじめ、様々な視点からの調査が求められると思います。
ただ、本来は管理を行っている団体が毎年、活動内容が適切であったかどうかを評価して、翌年の管理を考えることが必要だと思います。 調査や評価、植生管理計画づくりのみを活動目的とする団体は、現在の生田緑地には存在しません。
順応的管理のためのモニタリングは植生管理活動の中に含まれるべきものだと思います。
その意味でも、今年度5月、6月、7月と行ってきた植生を調べる活動は、モニタリングの体験学習という意味で有効な方法の一つだと考えています。


調査を終えてから、生田緑地整備事務所2階に移動して、意見交換を行いました。
今回の活動対象地区は園路に囲まれているものの、園路沿いに植えられているツツジのために、園路を歩いていても殆ど林内の様子を窺い知ることができませんでした。
林内に入ってみると、草本層にはアズマネザサが0.6〜1.2mの高さで密生して全域を覆っており、オニドコロやヤマノイモはアズマネザサの上で繁茂していますが、 その他はアズマネザサの陰に弱弱しく、辛うじて残っているという状態でした。
高木層は、5種、ソメイヨシノ、ヤマグワ(φ22.5cm)、エノキ、ミズキ(φ35cm)、ユリノキ(φ66cm)で、外周の園路沿いにあるものだけが樹冠を広げていました。
ヤマグワが林の内部に、高木1本、亜高木1本としてあるのは珍しい樹林です。
林内に生えているサクラは弱っていて、枝葉が乏しい状態でした。 当該地区のサクラについては種の同定は行っていませんが、一面にサクラが植えられている様子から、全てソメイヨシノだろうと思われます。
ニワウルシが低木層にあって、存在感を誇示していました。確認はしていませんが、一度伐採されたものからの萌芽と思われます。
高木層に育てられる可能性のある種は、低木層ではユリノキ、ガマズミの2種、草本層ではクスノキ、ハリギリ、ムクノキ、ガマズミの4種だけのようです。
コナラ、クヌギが全く見られませんでした。
調査は、はじめは細長い斜面の2ヶ所を考えましたが、どこも一様で変化が無いことから林内1区域としました。 植生管理計画では全体を3区域に分けて、各区を3年毎に管理するとしていたと思いますが、現況植生を見る限り、そのような管理はされていなかったと思われます。
当該地区を「野鳥の集まる樹林」にするためには、樹林全体を更新することが必要であるということを、参加者誰もが考えてしまい、どのように更新するかという話になりました。


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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation