生田緑地植生管理協議会市民部会
里山倶楽部A

芝生広場で集合写真を撮りました。
この他に2組の母子を加えた6組の親子が、今年の里山倶楽部Aの参加者です。

自然観察と保護活動


日時 2014/5/3(土) 10:00〜14:30 晴
場所 生田緑地 萌芽更新地区〜皆伐更新地区
参加 大崎真希、大崎虎太郎(小学1年)
   西尾光広、西尾麻子、西尾幸大(小学1年)
   政野祐一、政野美咲(小学3年)
   山下佳保里、山下淳也(高1)、山下真奈実(小学4年)、
  (生田緑地運営共同事業体)額谷悠香
  (市民部会事務局)岩田臣生、(植物調査担当)佐藤登喜子

平成26年度第2回目の里山倶楽部Aです。
集合は生田緑地整備事務所前です。


今回も生田緑地の自然観察から始めました。
ヤブムラサキとムラサキシキブの違いは葉を触る方法が一番分かり易いものです。


ハンショウズルの花が咲いていました。
ハンショウズルは木本で、前年に伸びた茎に花を咲かせます。 冬期に全てを刈ってしまう管理をしていると花を見ることができません。 ここのハンショウズルは花を楽しめるように管理しています。
都市公園の里山管理では、このような細かい配慮、細かい作業が必要です。


ガビチョウが大きな声で鳴いていました。 特定外来生物であり、生田緑地ではこの10年間で定着してしまいました。 ガビチョウの定着によってウグイスが生息場所を失い、消えてしまうという予測がされていましたが、ウグイスが減っているという報告は入っていません。


キブシは雌雄異株です。実がなっているのはメスで、実がなっていないものがオスです。


ヤマグワは保全管理をしている者にとっては厄介者です。 シードバンクに蓄積されている種子の数は尋常ではないと推察されます。 しかし、園路脇に点々とあるヤマグワがつける実は、里山を散策する時の楽しみにもなります。


アワブキが蕾をつけていました。
子供たちが毛虫を見つけました。 アワブキはアオバセセリやスミナガシの食草として知られていますが、これはヒメヤママユという蛾の幼虫でした。 ヒメヤママユの2〜3齢の幼虫が複数、アワブキの葉を食べていました。


八百屋さんで見慣れているはずのミツバが別のものに見えたようです。 この辺りにはミツバとウマノミツバが生育します。
谷頭凹地という地形がもたらす湿り気が、少し湿った草地を形成しています。


佐藤が園路沿いの植物の話をしている間、岩田はセリバヒエンソウの駆除をしていました。 毎年駆除しているのに減る気配がありません。 蕾から結実までの時間が非常に短いようです。


萌芽更新地区の様子を見ました。 1月に3本のコナラと1本のクヌギを伐採しましたが、クヌギと2本のコナラは萌芽していました。
ただ林床にはミヤマナルコユリやヤマユリの芽が出ていましたので、今回は参加者を林内に入れるのは止めました。
雑木林の奥から、キビタキと思われる声が聞こえてきました。


ハンノキ林は自然林で、環境省の特定植物群落に指定されています。
生田緑地の湧水は、このぐらいの標高から浸み出して、集まり、小さな流れをつくっています。
ハンノキ林の林床の水辺は、非常に重要なビオトープです。


アズマネザサの繁茂していた場所も、毎年のササ刈りと湿地化の努力によって、一面にホウチャクソウが繁茂するようになりました。


マユミの葉が殆んど食べられていました。 毎年、ここで育っているミノウスバの幼虫が今年も食べていた痕です。 既に集団生活を止めたようです。姿はありませんでした。 ミノウスバは初夏〜秋を蛹で過ごします。


芝生広場を経由して、ヤマツツジの咲く尾根路を辿り、皆伐更新地区に向かいました。


皆伐更新地区に着きました。


区域内を一回りして植物調査を行いました。
コナラの実生など保護しようとするものだけは教えて、全員が並んで一回りすることになりました。 記録は高校生になった山下くんにお願いしました。


実生木が展葉したことで、歩くルートが限られてきて、区域が狭く感じるようになってきました。
調査を終えたところで、お弁当にしました。
伐採したコナラを使った丸太椅子は崩れかけています。 新たなベンチがほしいところです。
少し悪臭がすると思ったら、近くにタヌキの溜め糞がありました。

午後は強い日差しの中で、実生周りのアズマネザサ刈りを行いました。


この日、ここではチョウの姿がありませんでした。 昆虫はマルカメムシのほか、イチモンジカメノコハムシ、ツチイナゴ、モリチャバネゴキブリなどが見られただけでした。
昨年までは、この時期、コナラの新芽を覆い尽くしていたアブラムシなどもいません。 コナラの新葉は綺麗な状態で、所々に葉を合わせて作られた巣状のものがあるだけでした。

(マルカメムシ)

(イチモンジカメノコハムシ)

(ツチイナゴ)

2組の親子が初めての下草刈りということで心配していましたが、怪我もなく、1日の活動を終えることができました。
大都会に暮らす小学校低学年の子どもたちが、小・中・高校時代を通して、雑木林を育てる経験を積んで、そこで出会う生物の生態を理解して、次代の里山の守り手に育ってほしいと思いながら帰途につきました。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation