生田緑地の生物多様性保全活動


芝生広場〜城山下谷戸のアズマネザサ刈りなど  
日時:2024/4/2(火) 9:00〜12:00 晴
場所 生田緑地 芝生広場〜城山下谷戸
参加者 岩田臣生

芝生広場から城山下谷戸分岐点(アブラチャンの谷)に降りた右側の急斜面の裾部には、 環境省絶滅危惧危惧II類(VU)、神奈川県絶滅危惧IB類(EN)のトキホコリが分布しています。
神奈川県内では、綾瀬市、鎌倉市、川崎市でのみ記録されている植物です。
また、アオイスミレや、ヤマルリソウ、ヤマホトトギスなども分布しています。
そのため、アズマネザサ刈りを続けていますが、北部公園事務所と話し合って、保護柵を設置していました。
ナラ枯れが進行して、当該斜面の上方の雑木林の枯損木の伐採が行われ、斜面下に伐採材が置かれたりしていたので、手入れをしておかなければと思っていましたが、 3月中に活動することができませんでした。
先日、ナラ枯れに伴う閉鎖管理が解かれましたし、ヤマルリソウが咲き始めましたので、アズマネザサ刈りを済ませることにしました。


生田緑地整備事務所裏から出て、尾根路を降りて、芝生広場に出ました。
芝生広場の縁辺部にはフデリンドウが分布していたので探しましたが、見つかりませんでした。
現状は草むら状態でしたが、雑木林の実生が30〜50cmに育っていました。
また、新葉を出していましたので、枯木ではなさそうですが、幹の部分で折れたコナラが倒れてきていました。
この縁辺部は、行政が定期的に行う芝生広場の草刈りの範囲から外してもらっていましたが、私たちの植生管理ができていなかったことを反省しなければなりません。



芝生広場から少し降りた活動場所に着きました。
園路沿いには、アズマネザサの間に、ヤマルリソウが咲いていました。
ヤマルリソウを目当てに、大きなカメラを持って訪れたのだろうと思われる人が数人ありました。
ヤマルリソウを踏まないように気を付けながら、アズマネザサ刈りを行いました。
一部に、アオイスミレの葉が出ていました。

ヤマルリソウは、園路沿いに多数咲いていました。
ヤマルリソウの分布は地層と関係があって、同じ県内でも、湘南には分布していないそうです。
このことを知って、花が可愛いというだけでなく、生物多様性の観点からも、重要な植物だと思うようになりました。



園路沿いに設置してくれた柵は壊れていたのですが、指定管理者が新しくしてくれました。
竹を一本渡しただけの柵ですが、これで充分です。
私たちは、ヤマルリソウを楽しんでもらえるように、アズマネザサ刈りを行わなければならないと思いました。




園路の反対側の柵沿いのアズマネザサ刈りまではできませんでしたが、一休みして、終わることにしました。
分岐点から桝形山方向は、閉鎖管理を継続するようです。
谷のアブラチャンの花は終わって、葉の季節になっていましたが、葉も小さいので、花の時と同じような景観が続いていました。

状態観察のために生物保護区に入りました。
冬の間、誰かが出入りをしていたようで、道でできてしまっていました。
湿地の水溜まりには、アズマヒキガエルのオタマジャクシが泳いでいました。
岸辺に、ツボスミレが一輪、咲いていました。
越冬していたテングチョウが日向に出て来て、枯草に止まりました。





アブラチャンの谷からは、城山下谷戸合流部経由で稲目谷戸に出ました。
ヘビイチゴが咲いていました。

田圃の周りでは、ハコベの仲間、ノミノフスマ、ゲンゲなどが咲いていました。
ゲンゲは、2004年に、北部公園事務所が蒔いたものですので、20年、生き残ったことになります。



湿地地区も、久し振りに入ってみたら、途中で水漏れ穴に水が消えていました。
水路内の落葉の状態をみると、降雨によって、洪水状態が起こったようでした。
水漏れは素手で補修しました。


水辺には、キツネノボタンが咲いていました。

チダケサシの芽が出ていました。


ハンノキ林は、東側の尾根を歩いて、ハンノキ林を上から眺めておくことにしました。
この1年間の活動で、ハンノキ林を上から観察できるようになりました。




萌芽更新地区下では、園路沿いに、ヤマブキが咲いていました。


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