生田緑地の生物多様性保全活動


田植え後の田圃の点検、水漏れ補修など
日時:2022/5/31(火) 10:00〜13:30 曇
場所 生田緑地 上の田圃地区、下の田圃地区、湿地地区
参加者 岩田臣生

今年の田植えは 5/29(日)に、里山の自然学校の活動として行いましたので、田圃に植えた苗の状態をみておくことにしました。
里山の自然学校としての田植えは、18 回目でしたが、そのうちの何回かは、植えたはずの苗が翌日には水面に浮いていて、急いで植え直さなければならないことがありました。
そのような苦い経験がありますので、田植え後の苗の状態確認は欠かせません。

(上の田圃地区)
上の田圃の上の段は、湛水していました。
植えた苗も、浮いてしまったものは見られませんでした。

下の段も、ほぼ湛水していて、浮いている苗は見つかりませんでした。
しかし、つがいのカルガモが、せっせと苗の根元辺りをつついています。
過去に植えた苗が浮いていた事件の犯人はカルガモだと考えているので、暫く様子を見ていましたが、苗が倒れたり、浮き上がる様子は見られませんでした。
土が田圃の土になり始めたこと、必要な水深が確保されたこと、苗を大きく育てられたこと、防鳥ネットを張らなかったことなどにより、今年は、苗が浮くことは無さそうです。
防鳥ネットは、田植え前から、シュレーゲルアオガエルの産卵が始まると飛来して、田圃の中をあさっていましたので、カルガモ避けとして張るようになったのですが、 防鳥ネットの上から飛び込んで、広範囲の苗を圧し潰してしまったり、ネットに脚を絡ませて逃げられなくなったカルガモが保護されたことがあって、 手間もかかる防鳥ネットを張るのは止めるようになりました。


緊急に対応しなければならないことは無さそうでした。
そこで、痩せ始めていた土嚢堰に、土嚢を二つ追加しました。
水漏れが無ければ、いくらか水深のある田圃にできるかも知れません。

田圃下草地の池は湛水して、溢れた水が草地中央の水路に流れ出していました。
この水路をメガネ池まで点検し、2ヶ所の水漏れを補修しました。
田圃下草地の池は、やっと水漏れが止まり、池として扱えるようになったかも知れません。


木道に上がったら、ムクノキが若い実をつけていました。

クサギの葉陰にウシカメムシがいました。
木道の住宅地側は、構成樹種は別として、樹林になってきたと感じました。

一昨日の里山の自然学校の時に、木道上に広がった枝葉で見つけた昆虫を、ゆっくり調べたいと思って持ち帰りましたが、 これはカメムシ目ハネナガウンカ科のマエグロハネナガウンカだと分かりました。
ウンカの仲間は、イネを吸汁したり、ウイルスを媒介したりする種がいたり、稲作の立場からは害虫扱いをすることになります。
ハネナガウンカの仲間の生態については分かりませんが、イネを吸汁することがあったとしても、私たちの田圃は「生きもののための田圃」を目標にしていますので、害虫扱いはしません。
これを採集した場所で放すために持って来ましたので、放しました。


(下の田圃地区)
上の田圃に着いた時に、雨に濡れた木道の上で吸水しているルリシジミが、5〜6匹いたのですが、下の田圃付近でも見られました。
濡れた緑の中で、鮮やかな青白色が 5〜6頭、浮き上がっていました。

下の田圃の水は土の表面を舐めている程度にしか見えませんでしたが、植えられた苗は元気に乱れていました。
子どもたちが活躍する田植えが済んだので、土嚢堰の改修をするタイミングになったと思いました。

(湿地地区)
田圃の状態は問題ありませんでしたので、湿地地区の水の状態も点検しておくことにしました。
すると、湿地地区に導いているハンノキ林からの水流も、竹林下からの水流も、両方とも、大きな水漏れ穴に消えていましたので、 点検して良かったと思いながら、水漏れ補修を行いました。
朝まで降った雨もあって、水涸れは起こしていませんでした。

保護している植物は、さほど成長を感じさせるものではありませんでしたが、枯れる様子もありませんでした。
周囲につくった水溜まりには、シュレーゲルアオガエルの幼生が数匹泳いでいました。

ドクダミが花期を迎えていました。

2段目のハンノキの樹下に生えていたオニスゲが寝ていました。
昨年も起きていたのですが、原因不明です。
オニスゲ、雨、夜、樹下などが関連要素なのですが、不思議です。

草の上に、ヒメジャノメが現れました。

低木の葉陰に、チャオビヨトウがいました。

小さなオオアカマルノミハムシ?がいました。


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