生田緑地の生物多様性保全活動

上の田圃の稲の保護、オダ場の草刈り
日時:2020/9/17(木) 10:00〜12:00 
場所 生田緑地 上の田圃地区
参加者 岩田臣生、鈴木潤三、田村成美

今年の谷戸の田圃の稲刈りは、9/27(日) 里山の自然学校の活動として実施します。
そのため、稲刈りの準備もしなければならないと思いながら谷戸に降りました。
谷戸の田圃は、谷戸の生きものの棲息場所としての水域でもあります。
そのために通年湛水しているためか、稲の根の張り方が悪いためか、稲穂の重さを支えられないのか、雨の降り方が異常に強かったのか、 稲の中には、稲穂を水に着けそうになっているものが出始めていました。
そこで、この日は、数本の稲をイネワラで縛って倒れないようにする保護を行って、稲刈りまでもたせる活動を行いました。





また、稲刈りでは刈った稲をオダに掛けますので、オダ場の草刈り(ヤマグワ、ススキ、ミョウガ、イノコヅチ、アズマネザサ、ヤブカラシ、カナムグラなど)を行いました。
ただ、咲き始めたツリフネソウは刈らずにおきたいと思いました。
ツリフネソウだけなら、踏み潰しても構わないとして活動してしまえば良いだろうと思います。
刈った方が良い範囲を刈ってオダに触れられる状態になったところで、数年使っているオダが今年も使えるかを調べました。
オダの支柱はそのまま使えそうでしたが、稲を掛ける竿は、明らかに使用できないものが 1 本あり、その他も不安が残る状態でした。
稲刈り前に、竿は新しくした方が良さそうです。
ツリフネソウが咲き始めたというのに、ホウジャクなどの昆虫の姿が見えませんでした。
カマキリも、捕食対象を見つけられないようでした。





事件です!、萌芽更新地区下の園路沿いの草刈り
ところで、この日の田圃への往復で驚いたのは、萌芽更新地区下の園路沿いで草刈りが行われていて、開花し始めていたユウガギクが刈られていたのです。
9/15(火) には問題無かったので、9/16(水) に行われたものと思います。
日頃の管理の積み重ねによって、ユウガギクが開花し始めたというのに、誰が、何のために、根元から刈ってしまったのか理解できませんでした。

私たちが谷戸で活動を始めて間もない頃、来園者から、「もう直ぐ、花が咲くところだったのに、何故、刈ってしまったのか。」とクレームをいただいたことがありました。
この草刈りは北部公園事務所が業者に発注したものでしたので、このことを北部公園事務所に伝えて話し合い、草刈りの範囲と日程については事前に協議することにしました。
しかし、現地協議を行ったにも拘らず、決めた範囲を越えて、刈っては困る所まで刈られてしまい、再度の協議となり、谷戸の自然の保全は業者管理では無理だと判断し、 私たちがボランティアで保全管理を行うことになりました。

その後、生田緑地植生管理協議会では、「生田緑地では多様な団体が活動しているので、広義の植生管理計画を合議しておかないと、自然の保全はできない。」という専門家の意見を受けて、 植生管理計画づくりを進めました。
この植生管理計画は、生田緑地マネジメント会議が始まる時に、行政計画として位置付けられることになりました。
生田緑地の植生管理計画では、当該地区の植生管理の目標と管理主体を明記しています。

萌芽更新地区下の園路沿いの地区は、私たちが水田ビオトープ班や里山倶楽部の活動として、アズマネザサを刈ったり、セリバヒエンソウを駆除したり、かなりの頻度で活動していて、 ユウガギクが繁茂してきたことを良いこととして考えていました。
植生管理計画に管理主体として位置付けられている私たちが知らないところで、何者かが、私たちが保護の対象としていた植物を刈ってしまったのです。

ホタルの里では、ゴルフクラブを振り回して、ミゾソバやツリフネソウの花を叩き飛ばしている来園者がいますが、 この萌芽更新地区下の園路沿いの草刈りの状態は、中途半端ではあったものの、草刈りと思える状態であり、このようなことを一般の来園者が行ったとは考え難いものでしたので、 指定管理者が行ったのではないかと、私は、考えています。
そうだとすれば、生田緑地自然環境保全管理会議の事務局を担当している団体が、生田緑地における活動の大原則を破ったことになります。
これは、大問題です。
このようなことが、二度と起こらないようにするには、どうしたら良いのでしょうか。

  かわさき自然調査団の活動
特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for nature Research and Conservation