生田緑地の生物多様性保全活動

城山下谷戸生物保護区の湿地の水辺保全、ピクニック広場下の草刈り
日時 2019/12/10(火) 10:00〜12:00 
場所 城山下谷戸生物保護区、ピクニック広場下
参加者 岩田臣生、岩田芳美

城山下谷戸生物保護区は、地球規模の絶滅危惧種であるミゾゴイのために、昔は日本各地にあったような鬱蒼たる樹林の地区を目標に保全している地区です。
この地区の中央部にある湿地には、生田緑地を特徴づけるような水辺の甲虫が棲息しています。
生田緑地は、昭和 16 年 (1941) に、川崎市都市計画緑地第 1 号として都市計画決定された緑地であり、初めから都市公園として計画したものではないということに拘って、 自然を優先し、自然を残すことに気を配った整備を行うように努力していた先人が大勢いました。
平成 16〜17 年 (2004/6〜2005/3) に、川崎市公園緑地課が主催した生田緑地整備基本計画ワークショプにおいて提案した生物保護区は、その後に行政計画となった基本計画においても残されました。
都市公園生田緑地の公園整備が進む中で、中央地区北側の谷戸については、可能な限り、在来の自然を残し、多様な生物に出会える、里山らしい気持ちのいい景観づくりを行うことが 先人の努力に報いることであり、また、将来の大都市川崎の市民に引き継ぐべきことだと考えて、保全活動を行っています。
当該生物保護区は法令に元づくものではありませんが、都市公園だからこそ、一部に生物保護区が必要だと考える川崎市民の意識を象徴するものとして、良好な状態で保全されることを願っています。

当該生物保護区の湿地は、8/1(木) に、直径 1cm、高さ 4mのアズマネザサのヤブを刈る活動を行った時に、水面が消えていることが分かり、8/27(火) に下端部(東端部)に水溜まりをつくりました。
その水溜まりに、9/17(火) 、環境省モニタリングサイト1000 里地調査の中大型哺乳類調査の定点カメラを設置して、11/2(土) まで定点カメラによる調査を行いました。
この結果、水溜まりの水は、途中一度涸れたことが画像で確認されたものの、定点カメラ設置時も、回収時も水面が広がっていました。
また、哺乳類のみならず鳥類が水場として利用していることが分かったので、冬鳥の利用の様子を調べてみたいと思い、今回、自主的な調査として、定点カメラを使用させていただくことにしました。
現地に入ると、 8 月に湿地の下端部につくった水溜まりは湛水し、全体にも非常に浅い水面が広がっていました。
湿地際の立木に、ジョウビタキが飛んで来て、辺りの様子を見ていましたが、私が水辺にいたので、諦めたのか、反対側の斜面に飛んで消えました。 如何にも、「自分の水場に、何故、人間がいるのか。」とでも言いたげでした。


この湿地の下端部から上端部にかけて広がっていた非常に浅い水域の所々に、小さな浅い水溜まりをつくりました。 これらに水が溜まって、全体に一つの水面が広がるまでには時間が掛かりそうでした。
数年前に、イネ科植物が侵入して広がったため、シラコスゲが衰退することが心配されましたが、消えてはいませんでした。


この湿地の保全活動を始めた頃に、湿地下端部に立っていた樹木は枯れて、今は倒木としての姿を晒していますが、これに代わって、細いながら、ヤマコウバシが生育していました。
これと落枝などを束ねて、ツルグミのツルで縛って、定点カメラを設置するための支柱をつくりました。
やや不安定な支柱ですが、モニ1000 の調査期間外の試しの調査ですから、倒れて水没というようなことが無ければ問題無いと思います。




湿地近くには、オオバジャノヒゲの群落がありますが、殆んどが黒い実をつけている中に、白い花を咲かせている株が見られました。


城山下谷戸の活動を終えてから、ピクニック広場下に向かうのに遠回りをして、紅葉、黄葉盛期の谷戸の田圃付近を回り、晩秋の谷戸の景観を楽しみました。
田圃付近の木に、ルリビタキが止まって、忙しそうに体の手入れをしていました。








ピクニック広場下の草刈りも行いました。

   かわさき自然調査団の活動
特定非営利活動法人かわさき自然調査団
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